過食や食生活の変化、運動不足によってエネルギーの過剰摂取となり、脂肪細胞に脂肪として蓄積されて肥満を引き起こすことは良く知られている。肥満を解消することは現代の大きな課題でもあり、肥満という白色脂肪細胞の過剰な蓄積にいたるまでの発生と分化についてメカニズムの解明が急がれている。
脂肪細胞には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の全く働きの異なる2種類の細胞がある。一般的に脂肪と呼ばれるのは白色脂肪細胞のことで、皮下や内臓周囲などに広く分布し体中の細胞のうちの1%を占めている。白色脂肪細胞は、過剰なエネルギーを中性脂肪として貯蔵し、エネルギー不足状態に応じてそれを脂肪酸に分解し血中に放出する機能をもつだけでなく、体の働きに必要な化学物質も分泌している。
形態学的に成熟した白色脂肪細胞は単房性の大脂肪滴で満たされており、核や細胞質は細胞周辺へおしつけられている。多房性の脂肪滴と豊富なミトコンドリアで満たされている褐色脂肪細胞とは異なった様子をしている。
下記は白色脂肪前駆細胞(製品コードVMK428)を適切な培地にて分化後、白色脂肪細胞を調製した際の細胞像である。
 白色脂肪前駆細胞:分化前 |
 分化後 |