ブレビバチルス分泌発現システム

分泌タンパク質の大量生産に最適
製品コード メーカー
略称
製品名 容量 価格(税別) 特記事項 説明書、CoA
データシート
ベクター情報
参考資料 カート
Takara Code
HB121

HIG

ヒゲタ醤油(株)
pNC-HisT DNA
ライセンス
10 μg ¥39,000
在庫なくなり次第終売 説明書・データシート・ベクター情報
HB121
HB122

HIG

ヒゲタ醤油(株)
pNC-HisF DNA
ライセンス
10 μg ¥39,000
在庫なくなり次第終売 説明書・データシート・ベクター情報
HB122
HB123

HIG

ヒゲタ醤油(株)
pNC-HisE DNA
ライセンス
10 μg ¥39,000
在庫なくなり次第終売 説明書・データシート・ベクター情報
HB123
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※BIC法(Brevibacillus In vivo Cloning法)を採用した高効率分泌発現システム「BIC System(Expression System III)(製品コード HB300)」についてはこちら

製品説明

Brevibacillus(ブレビバチルス、Bacillus brevis)発現システムは高効率分泌発現を特長とするタンパク質生産能に優れたシステムである。本菌はグラム陽性の細菌で、タンパク質を大量に分泌生産する特長を有している1)。この特長を生かし、これまでに多数の異種タンパク質生産に成功してきた。本システムには以下に示すような特長があり、特に分泌タンパク質の生産において能力を発揮する。
  • 大量のタンパク質を菌体外に分泌生産する。
  • プロテアーゼ活性をほとんど示さない。
  • 活性型のタンパク質を生産する。
  • 培養、滅菌が容易
  • 遺伝子操作が簡単
  • 安全な宿主
本システムによるタンパク質生産実績の一部を表1に示した。酵素、抗原、サイトカインなどの高発現を達成しており、これらには全て活性があることを確認している。また、バクテリア、古細菌、真核生物由来のタンパク質生産実績もあり、遺伝子の由来にかかわらず、高い実績を有している。特に、真核生物由来の分泌タンパク質は通常S-S結合を介した構造を有しており、他の原核生物の発現系では一般に生産が難しいとされているが、本宿主においては、分泌生産という特徴からS-S結合を有するタンパク質でも効率的に生産できることが確認されている。
表1 B. choshinensis  宿主―ベクター系による異種タンパク質の発現例
タンパク質起源発現量(g/L)文献
Enzymes
α - アミラーゼB. licheniformis3.7 
SphingomyelinaseB. cereus3.0 
キシラナーゼB. halodurans0.2 
CGTaseB. macerans5.0 
キトサナーゼB. circulans1.4 
超耐熱性プロテアーゼA. pernix0.1 
超耐熱性ヌクレアーゼP. horikoshii0.7 
PDIヒト1.03)
抗原
表層抗原E. rhusiopathiae0.9 
表層抗原T. pallidum0.8 
抗体
VHH(抗NDOM)ラマ3.0 
scFv(抗fluorescein)マウス0.2 
Fab(抗erbB)マウス0.4 
サイトカイン
EGFヒト7.0 
NGFマウス0.2 
IFN-γニワトリ0.55)
TNF-αウシ0.4 
GM-CSFウシ0.2 
GHヒラメ0.2 

本宿主は形質転換効率が高いため、遺伝子操作を簡単に行うことが出来る。大腸菌とのシャトルベクターを用いて、発現ベクターを大腸菌内で構築する方法や、ライゲーションDNAを直接、発現宿主に導入することも可能である。System IIでは形質転換に特別な装置を必要としないBrevibacillus Competent Cellsを使用する。
形質転換体コロニーを選択し、試験管やフラスコを用いて振とう培養を行い、培養上清を遠心分離によって回収することにより、簡単に目的タンパク質を得ることができる。菌体の破砕工程などが必要ないため、遠心による除菌操作により清澄な上清画分から目的タンパク質が得られ、後の精製工程に有利である。

内容

Brevibacillus Expression System II(製品コード HB200:終売)
  • 発現ベクター
    pNY326 DNA 10 μg(200 ng/μl)(製品コード HB111:終売)
    pNCMO2 DNA 10 μg(200 ng/μl)(製品コード HB112:終売)
  • コントロールベクター
    pNY326-BLA DNA 1 μg(製品コード HB114:終売)
  • コンピテントセル
    Brevibacillus Competent Cells(製品コード HB116)
      ・Brevibacillus Competent Cells(100 μl×10)
      ・MT medium(1 ml×10)
      ・Solution A(1 ml)
      ・Solution B(1 ml×2)

保存

コンピテントセル Brevibacillus Competent Cells-80℃
Hisタグ融合発現ベクター pNC-HisT DNA、pNC-HisF DNA、pNC-HisE DNA -20℃

DNAシーケンスデータ

Brevibacillus 発現システムの概略

  1. 発現ベクターの選択
    (1)pNCMO2 DNA
    pNCMO2はBrevibacillusと大腸菌のシャトルベクターである。そのため、大腸菌内で発現プラスミドを構築後、Brevibacillusに導入し、発現試験に進むことができる。pNCMO2の発現プロモーターには宿主菌の細胞壁タンパク質由来のP2プロモーターを用いている。P2プロモーターは大腸菌内では働かないため、目的遺伝子のクローニングに有利である。しかし、Brevibacillusにおいては非常に強いプロモーターとして働く。従って、Brevibacillusでの効率的なタンパク質生産を行うことができる。

    注:P2プロモーターの強力なプロモーター活性が、形質転換体の生育を妨げてしまう場合がある。そのような場合は、pNY326ベクターの使用を検討する。


    図1. pNCMO2 DNA ベクターマップ
    プライマーの設計

    PCRによる目的遺伝子の増幅・
    pNCMO2のE. coliでのクローニング

    シーケンスの確認

    B. choshinensisへの形質転換

    タンパク質発現試験


    (2)pNY326 DNA
    pNY326はBrevibacillus内で複製するプラスミドで、大きさが3.4 kbと比較的小さく、pNCMO2よりもプロモーター活性は弱めであるため、宿主内で非常に安定に保たれ、発現産物が宿主に対してストレスとなる場合には効果的である。このベクターを用いることにより、良好な生育を示し、生産量が向上する場合もある。植え継ぎ等による生産量の変動が少ないため、ラージスケールでの培養に適している。Brevibacillus専用ベクターである為、宿主菌を用いて直接クローニングをする必要がある。
    高い形質転換効率が要求される為、高効率が得られるコンピテントセル(Brevibacillus Competent Cells)(105 transformants/μg DNA) の利用を推奨する。


    図2. pNY326 DNA ベクターマップ
    プライマーの設計

    PCR による目的遺伝子の増幅・
    pNY326のB. choshinensisでのクローニング

    シーケンスの確認

    タンパク質発現試験


  2. 発現ベクターへのクローニング
    発現ベクターには細胞壁タンパク質由来の分泌シグナルを採用している。分泌シグナルの切断部位の下流に目的遺伝子を挿入するように設計する。シグナルペプチド上および、その下流のマルチクローニングサイト上の2種類の制限酵素部位を用いることによって、インサートを目的の方向にクローニングできる。


    図3. B. choshinensis発現ベクターの構築



  3. Brevibacillusの形質転換
    Brevibacillusの形質転換はNTP法(New Tris-PEG法)によって行う。選択はネオマイシン耐性によって行う。シャトルベクターを用いて大腸菌でサブクローニングする場合は、アンピシリン耐性によって選択できる。


  4. タンパク質生産の確認とスケールアップ
    ネガティブコントロールとポジティブコントロール(pNY326-BLA: Bacillus licheniformis由来α-アミラーゼ)を用い、目的タンパク質の発現を確認する。目的タンパク質発現プラスミドを導入した形質転換体をピックアップし、指定の液体培地で振とう培養することにより、48~64時間で目的のタンパク質が得られる。培養上清をSDS-PAGE等で解析することにより、発現の有無が確認できる。生産量を上げるためには、スケールアップを行う。Brevibacillusのラージスケールでの培養は比較的容易である。

Brevibacillus Hisタグ融合分泌発現ベクターについて

pNC-HisT DNA、pNC-HisF DNAならびにpNC-HisE DNAは、Brevibacillusと大腸菌のシャトルベクターかつ分泌発現用ベクターであるpNCMO2 DNA(製品コード HB112)を部分的に改変したベクターである。pNCMO2上の分泌シグナルの下流にHisタグ配列(6×His配列)とタグの除去のためのプロテアーゼ認識配列が挿入された構造をとっている。pNCMO2同様大腸菌内で発現プラスミドを構築後、Brevibacillusに挿入、発現実験に進むことができる。
Hisタグ配列の後に、pNC-HisT DNAはThrombinの配列が、pNC-HisF DNAはFactor Xaの配列が、pNC-HisE DNAはEnterokinaseの配列が挿入されており、目的タンパク質に合わせて最適のベクターを選択できる。
pNCMO2と同じく発現プロモーターには宿主菌の細胞壁タンパク質由来のP2プロモーターを用いている。P2プロモーターは大腸菌内では働かないため、目的遺伝子のクローニングに有利である。しかし、Brevibacillusにおいては非常に強いプロモーターとして働く。従って、Brevibacillusでの効率的なタンパク質生産を行うことができる。
注:強力なプロモーター活性のために、形質転換体の生育を妨げてしまう場合がある。そのような場合は、プロモーター活性が弱めで宿主内で安定に保たれるpNY326 DNA(製品コード HB111)の使用を検討する。(ただし、N末端へのHisタグ導入はできない。)


pNC-HisT DNA:5,260 bp
pNC-HisF DNA:5,260 bp
pNC-HisE DNA:5,263 bp
図4.pNC-His DNA ベクターマップ

pNC-Hisシリーズを使った場合、TALON Metal Affinity Resin(製品コード 635501)などの市販のHisタグ融合タンパク質精製樹脂を用いることにより簡単に目的タンパク質を精製することができる。また、精製後、それぞれの認識配列に対応したプロテアーゼ(Enterokinase、Factor XaまたはThrombin)で処理することにより容易に付加されたHisタグを除去することができる。

使用上の注意

本製品のうち、Brevibacillus choshinensis HPD31-SP3には、Saccharomyces cerevisiae由来2μmプラスミドDNAの部分配列が含まれます(製品コード HB300、HB200、HB116)。これらは、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」で規定する遺伝子組換え生物等に該当します。また、「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置を定める省令」(平成16年文科省・環境省令第1号)における実験分類ではクラス1に分類されます。ご使用の際は、上記の省令および貴組織内の安全委員会の指示に従い拡散防止措置を行ってください。

ブレビバチルス発現システム関連製品は、ヒゲタ醤油株式会社が開発・製造し、タカラバイオ株式会社が販売しています。本製品は研究目的にのみ使用が許可されています。
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