製品説明
Clontech社のIn-Fusionクローニングシステムは、それぞれのDNA断片の末端15塩基が相同であれば、短時間に効率よく、In-Fusion酵素がそれらのDNA断片を融合することができる。制限酵素切断や平滑末端化処理、リガーゼ反応などを行うことなく、1ステップの反応でPCR断片を任意のベクターにクローニングできる。
In-Fusion HD EcoDry Cloning Kitは、室温で保存できる便利な凍結乾燥タイプの試薬で、8連チューブと96ウェルプレートの2種類のタイプが用意されている。各ウェルにはプレミックスのIn-Fusion試薬が含まれているため、線状化ベクターとインサート、滅菌水を加えるだけで反応を開始することができ、作業効率の向上とコンタミネーションリスクの低減を図ることができる。
効率のよいIn-Fusionクローニングなら、最小限のスクリーニングで適切なクローンが得られる。また、2つのDNA断片の結合のみならず、1度の反応で4つのDNA断片を適切に連結することも可能である(1)。In-Fusionクローニング法はハイスループット(HTP)の系にも有用であり、ハーバード大学医学部(2)やスタンフォード大学医学部(3)、オックスフォード大学(4)などのHTPプロジェクトでも活躍している。
In-Fusion HD EcoDry反応の概略
- 利用するベクターの末端配列に相同な15塩基を、目的遺伝子増幅用プライマーの5'末端に付加し、目的遺伝子をPCR増幅する。
- 非特異的な増幅産物が検出される場合は、ゲルからの切出し精製を行う。シングルバンドが得られた場合はNucleoSpin*1などにより精製を行う。
- In-Fusion反応液で形質転換を行い、目的クローンをスクリーニングする。
※ 線状化ベクターは、制限酵素処理や全長のPCR増幅により調製してください。
任意のベクターの、任意の位置にクローニング
In-Fusionクローニングなら、どんなベクターのどんな制限酵素サイトにでもクローニング可能であり、サブクローニングを行う必要がない。インサートDNAが意図した方向に挿入されたクローンが確実に得られ、余分な塩基の付加も一切ない。
また、ベクターの全長をPCR増幅してIn-Fusion反応を行うことで、制限酵素サイトが存在しない部位へのクローニングも可能である。
PCR断片の調製にはPrimeSTAR Maxが最適
In-Fusion HD EcoDry Cloning Kit (8連チューブ又は96ウェルプレート) In-Fusionプライマーの設計
In-Fusionクローニング用プライマーの設計および目的DNA断片の増幅は、基本的に通常のPCRプライマーの設計、PCR増幅と同じである。唯一の違いは、利用するベクターの末端配列に相同な15塩基を、配列特異的プライマーの5’末端に付加することである(下図参照)。
お手持ちのベクターに対するIn-Fusion用プライマーの設計には、便利なオンラインツール「In-Fusion クローニング用プライマー設計サイト(In-Fusion Cloning Primer Design Tool)」をご利用ください。
※ リンク先はTB USA社サイトです。デザインツールが更新され、より使いやすくなりました。
※ これまでお使いいただいていた「In-Fusionクローニング用プライマー設計サイト(Primer Design tool for In-Fusion)」は
こちらから
内容
In-Fusion HD EcoDry Cloning Kit
(製品コード 639690、639691)
・In-Fusion HD EcoDry Mix
・pUC19 Control Vector, linearized
・2 kb Control Insert
保存
In-Fusion HD EcoDry Mix:デシケーター内で室温保存
コンピテントセル:-80℃
Control Vector、Control Insert:-20℃
NucleoSpin 96 PCR Clean-up:室温
オンラインツール
クローニング実験ハンドブック