製品説明
Capturem Pepsin Miniprep Kitはタンパク質サンプルを迅速、効率的、完全にペプシン消化できるスピンカラムタイプの製品である。室温で使用することができ、プロテオミクス解析の連続したワークフローの実現に有用である。本製品は次世代メンブレン技術であるCapturemテクノロジーを利用しており、スピンカラムにペプシンを固定したメンブレンが装着されている。一般的な溶液内での酵素消化には一晩程度の長時間反応が必要であるが、Capturem Pepsinは3分以内に抗体サンプルを切断することができる。処理時間が短いため、酵素自己消化断片の混入が起こりにくく効率のよい切断が可能である。
プロテオミクス解析に有用
一般的な溶液中でのペプシン消化は長時間の反応を行うが、長時間反応を行うと、タンパク質の酸化やその他の修飾反応、ペプシンの自己消化が起こってペプチドやタンパク質の同定が困難になったり、再現性が得られなかったりする懸念がある。本製品はごく短時間で効率的に酵素消化ができるため、タンパク質の酸化やその他の修飾反応、酵素の自己消化の懸念が少なく、MS解析用のサンプル調製に適している。
迅速・簡単なプロトコール
Capturem Pepsinには、スピンカラム(Pepsin Column)と活性化バッファーが含まれている。
本製品によるペプシン消化は迅速で簡単である。まず、200 μlの活性化バッファーをカラムに加え、1分間遠心する。次にタンパク質サンプル(Digestion Bufferに溶解し、必要に応じて変性、還元しておく)をカラムに加え、遠心によってペプチドを溶出する。溶出したペプチドは以降の実験に使用可能である。
図1.Capturem Pepsinのワークフロー
- 前処理として抗体サンプルの変性、還元処理をおこなう。
- キットに含まれるActivation Bufferを用いてカラム(Capturem Pepsin Column)を活性化し、還元済みの抗体サンプル溶液(50~800 μl)をカラムに添加する。
- カラム上でペプシン消化が起こり、続いて2回目の1分間の遠心でペプチドフラグメントが溶出される。
- 溶出されたペプチドにNaOHを添加して中和し、サンプル調製を完了させる。
図2.Capturem Pepsinによるマウス抗体の切断
アイソタイプが異なるマウスIgG(IgG1、IgG2a、IgG2b、and IgG3)各100 μgをTCEPと酢酸で75℃、15分間保温して変性させ、5%ギ酸バッファーで希釈した。続いて、希釈したサンプルをCapturem Pepsin columnで切断した。切断サンプルと未切断サンプル各4 μgを用いてSDS-PAGEを行った。その結果、全てのアイソタイプで切断が確認された。
図3.Capturem Pepsinによるペプシン消化-HPLCによるLot間の比較
アポミオグロビン各50 μgを5%ギ酸で希釈し、異なる3ロットのCapturem Pepsin columnで処理した。HPLC分析の結果、全てのロットで同様に切断されたフラグメントが検出され、ロット間の差は認められなかった。
図4.Capturem Pepsinと従来法(溶液内でのペプシン消化)の比較
anti-HER2抗体各50 μgをCapturem Pepsin、および溶液内消化(4時間、または一晩反応)によって切断し、質量分析を行った。
溶液内消化ではピークが左にシフトしており、全体的にピーク数が多く、過剰切断されていることが示された。Capturem Pepsinでは、これらの傾向は見られなかった。
内容
- Capturem Pepsin Miniprep Kit
-
Capturem Pepsin Miniprep Column 20本
Capturem Pepsin 1X Activation Buffer (5% Formic Acid) 5 ml
保存
室温
本製品以外に必要な試薬等
Capturem Pepsin
- Digestion Buffer
Capturem Pepsin Columnには、5%ギ酸、塩酸、およびTFAベースのバッファーが使用できる。Digestion Buffer として5%ギ酸を用いる場合は、カラムの活性化に添付の1X Activation Bufferが使用できる。Digestion Bufferとして他のバッファーを用いる場合はDigestion Bufferでカラムの活性化を行う。
- Collection Tube
タンパク質サンプルの溶出には2 ml Tubeを用いる。