製品説明
NucleoSpin RNA Plant and Fungiは、様々な植物サンプル、糸状菌サンプルからRNAを高純度に精製するキットである。植物や糸状菌には様々な種類があり、さらに器官毎に組織構造、細胞壁組成、生化学的成分などが異なっている。これらのサンプルのなかには核酸抽出の困難なものがあり、一般に用いられている植物用のRNA抽出試薬では効果的にRNAを精製することが難しいサンプルも多い。本製品は、糖、デンプン、二次代謝産物など、核酸抽出を阻害する成分が多く含まれるサンプルからも高純度なRNAを効率よく抽出することができる。シロイヌナズナの葉などの一般的なサンプルの他、種子、根、茎、針葉樹の葉など、様々なサンプルからのRNA精製に使用できる。別売りのNeutralization Buffer PFNを用いることにより、キウイフルーツ、レモン、リンゴ、トマト、オレンジなどの酸性サンプルからもRNA抽出が可能である。また、別売りのMN Bead Tubes Type Gは、サンプル破砕用ビーズを含むチューブで、ほとんどの植物サンプルの破砕に使用できる。乳鉢を用いる方法に比べて高収量が期待でき、クロスコンタミネーションの心配がなく、処理時間が節約できる。
原理 | シリカメンブレン法 |
形状 | ミニスピンカラム |
サンプル量 | 植物組織、真菌: <500 mg |
精製サイズ | >200 bases |
回収量 | 20~70 μg |
A260/280 | 1.9~2.1 |
A260/230 | ~2 |
標準的RIN* | 7~9 |
溶出液量 | 50 μl |
精製時間 | 25分 |
結合容量 | 200 μg |
* RNA integrity number
表1. NucleoSpin RNA Plant and FungiでRNA抽出に成功したサンプル例
生物種 | サンプルの種類 |
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana) | 葉、種子、長角果、根 |
アルパインロッククレス(Arabis alpina) | 葉、茎 |
タバコ(Nicotiana tabacum) | 葉 |
コムギ(Triticum aestivum) | 葉 |
オオムギ(Hordeum vulgare) | 根 |
トウモロコシ(Zea mays) | 粒、葉 |
モミ(Abies procera) | 針葉 |
トウヒ(Picea abies) | 針葉 |
ポプラ(Populus sp.) | 葉、茎、根 |
ジャガイモ(Solanum tuberosum) | 塊茎 |
ブドウ(Vitis vinifera) | 葉、果実 |
テンサイ(Beta vulgaris) | 根 |
サトウキビ(Saccharum officinarum) | 茎 |
エンドウ(Pisum sativum) | 根 |
ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa) | 根 |
タルウマゴヤシ(Medicago truncatula) | 根、葉 |
バナナ(Musa spp.) | 果実 |
キウイフルーツ(Actinidia deliciosa) | 果実 |
ミカン(Citrus sp.) | 果実 |
ヨーロピアンブルーベリー(Vaccinium myrtillus) | 果実 |
リンゴ(Malus domestica) | 果実 |
ショウガ(Zingiber officinale) | 根茎 |
オオキツネタケ(Laccaria bicolor) | 菌糸体 |
ハラタケ(Agaricus campestris) | 子実体 |
灰色カビ(Botrytis cinerea) | 菌糸体 |
図1. NucleoSpin RNA Plant and Fungiを用いた植物サンプルからのRNA精製
NucleoSpin RNA Plant and Fungi および他社製品(S、Q)を用いて様々な植物サンプル(各2サンプル)からRNAを精製し、Agilent Bioanalyzerで分析を行った。
図2. NucleoSpin RNA Plant and Fungi を用いた糸状菌サンプルからのRNA精製
NucleoSpin RNA Plant and Fungiを用いて担子菌の子実体およびカビの菌糸体、各3サンプルからRNAを精製し、Agilent Bioanalyzerで分析を行った。
使用サンプル
(D)ハラタケ(
Agaricus campestris)の子実体 50 mg
(E)灰色カビ(
Botrytis cinerea)の菌糸体 100 mg
内容
・Lysis Buffer PFL
・Reduction Buffer PFR
・Binding Buffer PFB
・Wash Buffer PFW1
・Wash Buffer PFW2 (concentrate)
・RNase-free H2O
・NucleoSpin RNA Plant and Fungi Filter
・NucleoSpin RNA Plant and Fungi Columns (light blue rings plus Collection Tube)
・Collection Tubes (2 ml)
・Collection Tubes (1.5 ml)
保存
室温
本製品以外に必要な試薬、機器(主なもの)
- 試薬
- ・96~100%エタノール
- ・Neutralization Buffer PFN(製品コード 740121.5)(酸性サンプルの場合に使用)
- 器具
- ・ピペットチップ(滅菌済)
- ・ピペット
- ・微量高速遠心器
- ・サンプル破砕用器具
- ・乳棒、乳鉢、液体窒素、またはMN Bead Tubes Type G(製品コード 740817.50)* など
* MN Bead Tube Holder(製品コード 740469)、Vortex-Genie 2 (サイエンティフィックインダストリーズ社)と組み合わせて使用すると便利である。
MN Bead Tube Holder(製品コード 740469)
この製品の使用方法はこちらをご覧ください。
操作手順
用途
- 植物サンプル、糸状菌サンプルからのRNA精製
- 精製RNAは、リアルタイムRT-PCR、ノーザンブロッティング、プライマー伸長、アレイ解析、RNase protectionアッセイなどに使用可能
NucleoSpinはマッハライ・ナーゲル社の登録商標です。