T細胞が持つ抗原特異性には特定のTCRα鎖-TCRβ鎖の組合せが関連するため、ペアリング情報を得ることは抗原認識に関する研究において非常に重要です。従来法のシングルセルT細胞のシーケンスは、個々のT細胞におけるα鎖-β鎖のペアリングを決定することはできますが、大量の細胞を個別にシーケンスする必要があるため、非常にコストが高く複雑な分析が必要でした。
ICELL8 TCR Chipと関連試薬を用いて、ICELL8システムによりシングルセル化された数百のT細胞のα鎖とβ鎖の情報を、1つのシーケンス用ライブラリーとして解析することができます。さらに、Indexing Primer Setを用いて最大10枚のTCR Chip由来のcDNAライブラリーをプールし、同時にNGS解析することができます。本製品はSMART法によるcDNA合成とRACEベースのTCR遺伝子特異的PCRを組み合わせて、TCRα鎖およびTCRβ鎖の可変領域(VDJ)の全長を増幅することができるため高感度なTCRシーケンスが実施できます。
TCR Chip(5,184ナノウェル)には1,728種類のウェルバーコード(SMARTer Oligoにウェルバーコードを付加)があらかじめプリントされており、各バーコードはチップ上に3ウェルずつプリントされています。ICELL8システムを用いてT細胞をチップに分注し、同システムでイメージングした後に生きた単一のT細胞を含むウェルを同定・選択します。RT-PCR試薬を選択した生きた単一のT細胞を含むウェルのみに分注し、cDNA合成と増幅反応を各ウェル内で行います。 次に、バーコード化されたcDNA増幅産物をチップから回収・プールし、精製したcDNAを1st TCR-specific PCRの鋳型として使用します。さらに2nd TCR-specific PCRによりイルミナインデックスプライマーの取り込むことでイルミナ社のNGS解析に対応したcDNAライブラリーが作製できます。
シングルセルTCR解析と同時に5' DE解析が可能
本製品を用いた応用例として、5' 末端のキャプチャーによる遺伝子差発現解析をシングルセルTCR解析と並行して行うことができます
*。回収したcDNA増幅産物の一部を用いて5' DE解析用のライブラリー作製を行うことで、特定のクロノタイプを持つT細胞についての遺伝子発現解析することが可能です。
* 5' DE解析用のプロトコールは近日中の公開を予定しています。
表1. TCR Chipと試薬の購入例
製品名 |
容量 |
製品コード |
必要数 |
ICELL8 TCR Chip |
1 Chip |
640178 |
1 |
ICELL8 Human TCR a/b Profiling - Indexing Primer Set |
1 Set |
640179 |
1 |
ICELL8 Human TCR a/b Profiling Reagent Kit |
1 Kit |
640182 |
1 |
ICELL8 Collection Kit |
1 Kit |
640048 |
1 |
ICELL8 Loading Kit |
1 Kit |
640109 |
1 |
1枚のTCR Chipに対して、Indexing Primer Set、Reagent Kit、Collection Kit、Loading Kitが各1点ずつ必要です。別売のIndexing Primer Set製品を購入することで、最大10枚のTCR ChipをプールしてNGS解析することができます。
MSND 384-well Source Plate and Sealsは細胞懸濁液の分注に用いるソースプレートとシールのセットです。表1の必要試薬に加えてご購入ください。