製品説明
Cellartis Intestinal Epithelial Cells (from ChiPSC18)は、ヒトiPS細胞由来の小腸型腸管上皮細胞である。本細胞は、微絨毛構成タンパク質Villin、腸管上皮の転写因子CDX2等の各種腸管上皮マーカーの遺伝子発現やタイトジャンクション形成能等の腸管上皮細胞様の特長を有している。また、従来の薬剤透過吸収試験で使用されているヒト結腸癌由来細胞株Caco-2細胞と比較し、代謝酵素CYP3A4やトランスポーターPEPT1等を高発現している。したがって、Cellartis Intestinal Epithelial Cells (from ChiPSC18)を用いた薬剤透過吸収試験では、Caco-2細胞を用いた従来法と比較し、より生体に近い代謝吸収や薬物相互作用の評価が可能である。
本キットには、Cellartis Intestinal Epithelial Cells (from ChiPSC18)の凍結バイアルと、本細胞の成熟化に必要な基礎培地およびサプリメントからなるCellartis IEC Maturation Kitが含まれており、解凍したCellartis Intestinal Epithelial Cells (from ChiPSC18)は、Cellartis IEC Maturation Kitを用いた5日間の予備培養後に各種試験に使用できる。
※ 本製品は、大阪大学大学院薬学研究科教授、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 招へいプロジェクトリーダー 水口裕之博士、同大学助教 高山和雄博士によって研究開発されたヒトiPS細胞由来小腸型腸管上皮細胞の分化誘導法をタカラバイオが技術移管を受け、共同で開発した製品です。
※ 本製品の製造には、Cellartis DEF-CS 500 Culture System(製品コード Y30010)を用いてフィーダーフリー下で培養されたヒトiPS細胞株ChiPSC18(製品コード Y00305)を使用しています。
カスタムで、お手持ちのヒトiPS細胞からの分化誘導を承っております。
ご興味のある方はお問い合わせください。
内容
- Cellartis Intestinal Epithelial Cells (from ChiPSC18)(凍結品:1バイアル > 4.8×106 cells)
- Cellartis IEC Maturation Kit
-Cellartis IEC Maturation Basal Medium 凍結培地1 ボトル 100 ml
-Cellartis IEC Supplement A 凍結バイアル1本 100 μl
-Cellartis IEC Supplement B 凍結バイアル1本 100 μl
-Cellartis IEC Supplement C 凍結バイアル1本 50 μl
-Cellartis IEC Supplement D 凍結バイアル1本 40 μl
保存
Cellartis Intestinal Epithelial Cells (from ChiPSC18):液体窒素保存
到着後、ただちに液体窒素タンクにて保存してください。
Cellartis IEC Maturation Kit:-20℃(再凍結不可)
使用直前まで-20℃以下で保存。解凍後は4℃で保存し、解凍後は2週間以内に使用してください。
※ IEC Maturation Basal Mediumは4℃、オーバーナイトで解凍してください(推奨)。室温や常温水で解凍する場合は長時間放置しないようにご注意ください。解凍後はよく混合して使用してください。
※ IEC Supplement BとIEC Supplement DにはDMSOが含まれるため、4℃保管でも凝固する場合があります。室温下にて5~10分程で解凍できます。加温による解凍は行わないでだくさい。
また、長時間室温下に出したままにしないようご注意ください。
キット以外に必要な試薬
- コート剤
Corning Matrigel Growth Factor Reduced (GFR) Basement Membrane Matrix, *LDEV-Free, 10 ml(Corning, Code. 354230)
- DMEM(コート剤希釈用)
- 細胞培養容器
Tissue Culture Plates
Cell Culture Inserts and Companion Plates ※気液界面培養を行う場合
<推奨> Falcon Cell Culture Inserts and Companion Plates(Corning)
6ウェルの場合 (Insert:Code. 353090、Plate:Code. 353502)
12ウェルの場合 (Insert:Code. 353180、Plate:Code. 353503)
アプリケーションデータ
(以下のデータは、大阪大学大学院薬学研究科 分子生物学分野からご提供いただいたものです)
【凡例】
- グラフ中の“Cellartis”は、Cellartis Intestinal Epithelial Cells (from ChiPSC18) を示す(N=3)。
- グラフ中の“成人小腸”は、5人のドナー由来RNA(プールド)を使用してデータを取得した。
- グラフ中のエラーバーは±SD(標準偏差)を示す。
Villin mRNA
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Cellartis Intestinal Epithelial Cells の免疫染色画像(Villin / DAPI) |
CDX2 mRNA
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Cellartis Intestinal Epithelial Cells の免疫染色画像(CDX2 / DAPI) |
図2.腸管上皮細胞マーカーの発現解析と免疫染色
ユーザーマニュアルに従い、Tissue Culture Plates(12-well)を用いて誘導培養を行い、解凍後7日目にqPCRによりmRNAの発現解析を実施した。その結果、Cellartis Intestinal Epithelial Cells (from ChiPSC18)は、小腸微絨毛構成タンパク質Villin、腸管上皮の転写因子CDX2などの各種腸管上皮マーカーをCaco-2細胞と比較して高いレベルで発現していることが確認できた。
免疫染色においては、一次抗体として抗Villin抗体(Abcam社製, ab109516)または抗CDX2抗体(Abcam社製, ab15258)を使用(いずれも1:100の割合で希釈)、標識二次抗体として抗rabbit/mouse IgG抗体を使用した(いずれも1:1000の割合で希釈)。
ヒトiPS細胞由来分化細胞の使用について