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Protocols

T4 DNA Ligase

T4 DNA Ligaseによる30分間DNA連結反応

一価カチオンは、DNA Ligaseと基質DNAとの親和性を低下させ、多くの場合200 mMのNa+またはK +存在下で、ほぼ完全にDNA連結反応を阻害する。したがって、高塩濃度(100~200 mM NaClまたはKCl)を至適とする制限酵素で切断したDNA断片を連結する際、そのままではDNA Ligaseが一価カチオンにより阻害を受けるため、反応効率は悪い。このため過剰量の酵素で長時間反応させるか、もしくはエタノール沈殿等の操作で溶液中のDNAを回収し、低塩濃度反応液に再溶解させた後、DNA Ligaseで連結反応を行う必要がある。しかし、平滑末端連結を促進させることが報告されているポリエチレングリコール(PEG)存在下では、高濃度一価カチオンにより分子間連結反応が著しく促進されることが示された。この促進現象は10%(W/V)PEG 6000反応液中で認められた1)

10% PEG 6000反応液中でのNa+の効果
反応液組成
66 mM Tris-HCl(pH7.6)*
6.6 mM MgCl2*
10 mM DTT*
0.1 mM ATP*
0~300 mM NaCl
10%(W/V) PEG 6000
0.25μg 直鎖状pBR322DNA
[EcoR I(突出末端)
または、Pvu II(平滑末端)で切断]
Total 20μl
* 10×Bufferとして製品に添付
反応条件
16℃および37℃で30分間保温
電気泳動条件
0.7%アガロースゲル(1μg/mlエチジウムブロマイド含有)
結果
図3および4の(A)に16℃で30分間反応させた結果を示す。突出末端連結は0.35 U、平滑末端連結は7.0 UのT4 DNA Ligaseを働かせた。突出末端連結の場合は150 mM Na +存在下(図3(A)、Lane 6)、平滑末端連結の場合は150~200 mM Na+存在下(図4(A)、Lane 6、7)で分子間連結反応が促進されている。PEGを含まない通常の反応液中で、350 UのT4 DNA Ligaseを働かせても、150~200 mM Na+存在下では平滑末端連結は全く起こらない。図3、4の(B)に37℃で30分間反応させた結果を示す。16℃の場合と比較して、150 mM以上のNa+存在下での反応効率は高くなっている。また、100 mM Na+存在下では16℃の場合、分子間連結反応の促進は起こらないが、37℃では突出および平滑両末端共に分子間連結反応が促進される(図3、4の各(B)、Lane 5)
K+ はNa+ と同等の促進効果を持つが、その効果は誘起されるイオン濃度がNa+の場合よりも高く、その濃度は16℃では200~250 mM、37℃では150~250 mMであった。
類似の現象は、10~15%PEG 6000反応液中で大腸菌DNA Ligaseを働かせた場合にも誘起され、15%PEG 6000反応液中では、高濃度一価カチオンの存在により平滑末端連結が可能になった2)
このように、一価カチオンとPEGを共存させた反応系は、過剰量の酵素を使わずに、しかも短時間でDNA連結反応を完了させる有効な方法である

図3 突出末端連結反応
T4 DNA Ligase 0.35 U添加
16℃(A)、37℃(B)で30分間保温

図4 平滑末端連結反応
T4 DNA Ligase 7.0 U添加
16℃(A)、37℃(B)で30分間保温
Lane 1:λDNA-Hind III分解物 Lane 5:100 mM NaCl Lane 9:300 mM NaCl
Lane 2:pBR 322DNA RF I Lane 6:150 mM NaCl LM(linear monomer)
Lane 3: 0 mM NaCl Lane 7:200 mM NaCl CM(circular monomer)
Lane 4:50 mM NaCl Lane 8:250 mM NaCl
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