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Human iPS Cell Generation™ All-in-One Vectorを用いたヒトiPS細胞誘導実験例

I.レトロウイルスベクターの産生
(1)必要な装置・器具
  • CO2インキュベーター
  • 安全キャビネット
  • 細胞観察用顕微鏡
  • 超低温フリーザー(-80℃)
  • 0.45 μm滅菌済みフィルター(低吸着タイプ)
  • 電動ピペッター
  • 6 cmφコラーゲンコートシャーレ
  • フィルター付滅菌済みチップ
(2)必要な試薬類
  • レトロウイルスベクタープラスミド Human iPS Cell Generation All-in-One Vector(製品コード 3671)
  • レトロウイルス産生用細胞 293T細胞、G3T-hi細胞(製品コード 6163)など
  • Retrovirus Packaging Kit Ampho(製品コード 6161)
  • トランスフェクション用試薬 TransIT-293(製品コード MIR2704)など
  • トランスフェクションバッファー (Opti-MEMなどのSerum-free media)
  • 培地(DMEM High glucose)
  • 血清(Fetal Bovine Serum)
  • ペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza社 Code 17-602Eなど)
  • トリプシン-EDTA液(Lonza社 Code 17-161Eなど)
(3)ウイルス産生

<ウイルス産生用細胞としてG3T-hi細胞、トランスフェクション用試薬としてTransIT-293を使用>
レトロウイルスベクタープラスミド Human iPS Cell Generation All-in-One Vectorを用いて以下の操作を行い、組換えレトロウイルス溶液を調製する。All-in-One Vector(pDON-5 OKSLN DNA)は、0.5 μg/μlの濃度でTEバッファーに溶解されているので、必要に応じて、脱塩、脱エンドトキシン、濃縮を行ってから使用することを推奨する。

  • 前日

    G3T-hi細胞を6 cmφコラーゲンコートシャーレに2×106 cells(4 ml/dish)で播く(通常の細胞培養用シャーレを用いてもよいが、トランスフェクションなどの影響により、細胞が剥がれやすくなるので、コラーゲンコートを推奨する)。

  • 1日目:トランスフェクション
    1. 細胞が70~80%コンフルエントであることを確認し、培養上清を新たな培地に交換する(10% FBS/DMEM、50 U/mlペニシリン, 50 μg/mlストレプトマイシン含有、4 ml/dish)。
    2. レトロウイルスベクタープラスミド水溶液とRetrovirus Packaging Kit AmphoのpGPおよびpE-amphoを解凍する。
    3. トランスフェクションバッファー500 μlに対して、10 μl のTransIT-293を懸濁、室温で5分間インキュベートする。
    4. DNA混合液を調製する。
      (注意:Retrovirus Packaging Kit Amphoのプロトコールとは若干異なります。)
      レトロウイルスベクタープラスミド水溶液(1 μg/μl)2 μl
      pGP Vector(1 μg/μl)2 μl
      pE-ampho Vector(1 μg/μl)1 μl
    5. 3.で調製した溶液に、4.で調製したDNA混合液を添加。15分間室温でインキュベートする。
    6. G3T-hi細胞の培養上清に5.で調製した溶液を添加し、37℃のCO2インキュベーター内で24時間細胞を培養する。
  • 2日目(トランスフェクションより24時間後)

    培地を交換する(10% FBS/DMEM、50 U/mlペニシリン, 50 μg/mlストレプトマイシン含有、4 ml/dish)。

  • 3日目(トランスフェクションから48時間後)

    上清を回収し、0.45 μm滅菌済みフィルターでろ過し、ウイルス溶液とする。
    回収後即座に使用しない場合、小分けに分注して超低温フリーザー内に保存し、感染実験時に必要量を融解して使用する。凍結融解の繰り返しは避ける。

II.RNAタイターの測定
(1)必要な装置・器具・試薬
  • 安全キャビネット
  • フィルター付滅菌済みチップ
  • Retrovirus Titer Set (for Real Time PCR)(製品コード 6166)
  • One Step TB Green PrimeScript RT-PCR Kit (Perfect Real Time)(製品コード RR066A/B)
  • リアルタイムPCR装置
    Thermal Cycler Dice Real Time System II((製品コード TP900)など
  • リアルタイムPCR用 8連チューブおよびキャップ
    0.2 ml Hi-8-Tube/0.2 ml Hi-8-Flat Cap(製品コード NJ300/NJ302)など
  • リアルタイムPCR用プレートおよびシール
    96well Hi-Plate for Real Time(製品コード NJ400)、Sealing Film for Real Time(製品コード NJ500)など
(2)DNase I処理
  1. Retrovirus Titer Set (for Real Time PCR)を用いて以下の反応液を調製し、ピペッティングでよく混合する。レトロウイルス液の添加は安全キャビネット内で行うこと。

    試薬使用量
    10×DNase I Buffer2.5 μl
    DNase I (5 U/μl)2.0 μl
    RNase Inhibitor (40 U/μl) 0.5 μl
    RNase Free dH2O7.5 μl
    レトロウイルス液12.5 μl
    Total25 μl

  2. 37℃ 30分、70℃ 10分でDNase I処理を行う。
(3)リアルタイムPCR
  1. Retrovirus Titer Set (for Real Time PCR)に付属のRNA Control TemplateをEASY Dilutionで10倍ずつ段階希釈し、1×103 copies/μlから1×108 copies/μlまでの検量線作成用サンプルを調製する。
  2. リアルタイムPCR反応液を下記のように混合し、マスターミックスを作製する。混合液を氷上でリアルタイムPCR用チューブまたはプレートに分注した後、各ウェルに検量線作成用サンプルまたはDNase I処理後のウイルス液サンプルを2 μlずつ加える。ウイルス液は安全キャビネット内で加える。1サンプルあたり2反応以上行うことが望ましい。
    試薬使用量(1反応あたり)
    2×One Step TB Green RT-PCR Buffer III12.5 μl
    TaKaRa Ex Taq HS(5 U/μl)0.5 μl
    PrimeScript RT enzyme Mix II0.5 μl
    Forward Titer Primer FRT-1(10 pmol/μl)0.5 μl
    Reverse Titer primer RRT-1(10 pmol/μl)0.5 μl
    RNase Free dH2O8.5 μl
    ウイルス上清、もしくは検量線作成用サンプル 2 μl
    Total25 μl

  3. Thermal Cycler Dice Real Time Systemにて、以下の反応条件でqPCR反応を行う。
    Pattern 1:逆転写反応
     Hold
     42℃ 5分
     95℃ 10秒
    Pattern 2:PCR反応
     Cycle:40
     95℃ 5秒
     60℃ 30秒
    Pattern 3:Dissociation
  4. 反応終了後、増幅曲線と融解曲線を確認し、検量線の作成と被検サンプルの定量を行う。
III.レトロウイルスベクターを用いた遺伝子導入(RetroNectin法)
(1)必要な装置・器具
  • CO2インキュベーター
  • 安全キャビネット
  • 細胞観察用顕微鏡
  • 超低温フリーザー(-80℃)
  • 電動ピペッター
  • フィルター付滅菌済みチップ
  • マイクロプレートが遠心可能な冷却遠心機
(2)必要な試薬類
  • 培地(DMEM High glucose)
  • 血清(Fetal Bovine Serum)
  • ペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza社 Code.17-602Eなど)
  • トリプシン-EDTA液(Lonza社 Code.17-161Eなど)
  • PBS
  • 標的細胞 正常ヒト皮膚線維芽細胞(成人)(製品コード C-12302)など
  • RetroNectin(製品コード T100A/B)とノントリート培養容器
    もしくはRetroNectin Dish(製品コード T110A)
  • ヒト血清アルブミン(HSA)
(3)準備

ノントリート培養容器にRetroNectinをコーティングする(詳細はRetroNectinの説明書を参照、RetroNectin Dishを使用する場合にはこの操作は不要)。


(4)感染
  1. pDON-5 OKSLN DNA用いて作製した組換えレトロウイルスは、必要に応じて培地(10% FBS/DMEM、50 U/mlペニシリン, 50 μg/mlストレプトマイシン含有)で希釈する。
  2. RetroNectinをコートしたプレートをPBSで2回洗浄する。
  3. RetroNectinプレートに組換えレトロウイルス溶液を200~250 μl/cm2で加える(12well plateの場合は1 ml/well、6well plateの場合は2~2.5 ml/wellで加えるとよい)。
  4. 冷却遠心機の温度設定を32℃に設定し、2,000×gで2時間、ウイルス液を添加したRetroNectinプレートの遠心を行う。
    (RetroNectin Dishを使用する場合などは、32℃または37℃のCO2インキュベーター内で3~5時間インキュベートしてもよい。)
  5. 増殖期にある標的細胞を回収し、新たな培地に懸濁する。
  6. RetroNectinプレートからウイルス液を吸引除去し、1.5% HSA/PBSで1回洗浄後、細胞懸濁液を添加する。感染効率が著しく低下するので、プレートが乾かないように注意すること。細胞の播種密度は細胞の種類によって異なるが、ヒト皮膚線維芽細胞の場合には1.0~1.5×104 cells/cm2(200~250 μl/cm2)で播種する。
  7. 37℃のCO2インキュベーター内で培養する。
  8. 24時間後に遺伝子導入細胞を回収し、1.~7.の操作を再び行うことで、感染を2回行ってもよい。
IV.iPS細胞誘導
(1)必要な装置・器具
  • CO2インキュベーター
  • 安全キャビネット
  • 細胞観察用顕微鏡
  • 超低温フリーザー(-80℃)
  • 電動ピペッター
  • フィルター付滅菌済みチップ
  • 細胞培養用容器
(2)必要な試薬類
  • 培地(DMEM High glucose)
  • 血清(Fetal Bovine Serum)
  • ペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza社Code. 17-602Eなど)
  • L-glutamine
  • PBS
  • トリプシン-EDTA液(Lonza社Code. 17-161Eなど)
  • 0.1%ゼラチン水溶液
  • Feeder細胞
    マイトマイシンC処理を行ったSNL細胞、STO細胞など
  • ES細胞培養用培地
  • Basic Fibroblast Growth Factor(bFGF)
(3)Feeder細胞の準備
  1. 細胞培養用容器に0.1%ゼラチン水溶液を添加し、室温で30分間インキュベートすることで、容器底面にゼラチンをコートする。
  2.     
  3. ゼラチンコート容器にFeeder細胞を2~3×104 cells/cm2で播種する(培地は50 U/mlペニシリン, 50 μg/mlストレプトマイシン含有、2 mM L-glutamine含有10% FBS/DMEMを使用。約200 μl/cm2で添加する。6well plateの場合は2 ml/well、10 cmシャーレの場合は10 ml/dishで加えるとよい)。
  4. 37℃のCO2インキュベーター内で一晩培養し、細胞を容器底面に接着させる。
(4)誘導培養
  1. ウイルス感染から4~6日後の遺伝子導入細胞を回収し、新たな培地に懸濁し、細胞数を計測する。
  2. Feeder細胞の培養上清を吸引除去し、遺伝子導入細胞懸濁液を添加し、Feeder細胞上に播種する。播種密度は細胞の種類によって異なるが、ヒト皮膚線維芽細胞の場合には、0.1~1.0×104 cells/cm2(200~250 μl/cm2)で播種する。余った遺伝子導入細胞からゲノムDNAを回収し、プロウイルスコピー数の定量を行う(V. プロウイルスコピー数の定量を参照)。
  3. 37℃のCO2インキュベーター内で培養する。
  4. 培養24時間後に上清を吸引除去し、4 ng/mlのbFGFを含有するES細胞用培地に交換する。
  5. 以後、2日ごとに4 ng/mlのbFGFを含有するES細胞用培地で培地交換を行う。培養開始から約20日後にiPS細胞のコロニーが形成される。
V.プロウイルスコピー数の定量
(1)必要な装置・器具・試薬
  • フィルター付滅菌済みチップ
  • ゲノムDNA精製キット
    NucleoSpin Tissue(製品コード 740952.10/.50/.250)
  • Provirus Copy Number Detection Primer Set, Human (for Real time PCR)(製品コード 6167)
  • CycleavePCR Core Kit(製品コード CY501)
  • リアルタイムPCR装置
    Thermal Cycler Dice Real Time System II(製品コード TP900)など
  • リアルタイムPCR用 8連チューブおよびキャップ
    0.2 ml Hi-8-Tube / 0.2 ml Hi-8-Flat Cap(製品コード NJ300/NJ302)など
  • リアルタイムPCR用プレートおよびシール
    96well Hi-Plate for Real Time(製品コード NJ400)、Sealing Film for Real Time(製品コード NJ500)など
(2)ゲノムDNAの抽出
  1. NucleoSpin Tissueの説明書に従い、ウイルス感染細胞よりゲノムDNAの抽出を行う。
  2. ゲノムDNA濃度を測定し、200 ngを分取する。
  3. 95℃、5分間の熱変性後、氷上にて急冷しリアルタイムPCR用サンプルとして用いる。
(3)リアルタイムPCR
  1. Provirus Copy Number Detection Primer Set, Humanに含まれているDNA Control Template for Provirus, HumanをEASY Dilutionで100倍希釈し、2 pg/μl(約 5.7×105 copies/μl)となるように調製する。
  2. 1.で調製したDNA Control TemplateをEASY Dilutionで10倍ずつ段階希釈し、0.2 fg/μl(約 57 copies/μl)までの検量線作成用サンプルを調製する。
  3. 95℃、5分間熱変性した後、氷上にて急冷する。
  4. リアルタイムPCR反応液を下記のように混合し、マスターミックスを作製する。混合液を氷上でリアルタイムPCR用チューブまたはプレートに分注した後、各ウェルに検量線作成用サンプルまたはゲノムDNAを5 μlずつ加える。1サンプルあたり2反応以上行うことが望ましい。

    試薬使用量(1反応あたり)
    10×CycleavePCR Buffer*12.5 μl
    dNTP Mixture (2.5 mM each)*13 μl
    Mg2+ solution (25 mM) *15 μl
    TaKaRa Ex Taq HS (5 U/μl)*10.25 μl
    Tli RNase H II (200 U/μl)*10.5 μl
    Retrovirus Primer Mix for Provirus, Human
    またはhIFNγ Primer Mix for Provirus (10 pmol/μl each)*2
    0.5 μl
    Retrovirus Probe for Provirus, Human
    またはhIFNγ Probe for Provirus (10 pmol/μl)*2
    0.5 μl
    ゲノムDNAもしくは検量線作成用サンプル5 μl
    dH2O*17.75 μl
    Total25 μl

    *1 :CycleavePCR Core Kitのコンポーネント
    *2 :Provirus Copy Number Detection Primer Set, Human (for Real Time PCR)のコンポーネント
  5. Thermal Cylcer Dice Real Time System IIにて、以下の反応条件でqPCRを行う。
    Pattern 1:初期変性
     Hold
     95℃ 30秒
    Pattern 2:PCR反応
     Cycle:40
     95℃  5秒
     55℃ 15秒
     72℃ 15秒(検出 ON)
  6. 反応終了後、FAMフィルターで増幅曲線を確認し、検量線を作成して以下の計算方法でサンプルのプロウイルスコピー数を算出する。
    プロウイルスコピー数=(サンプルのレトロウイルス濃度/サンプルのヒトIFNγ濃度)×2
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