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Protocols

レンチウイルスベクターによる遺伝子導入 <製品選択ガイド>

組換えレンチウイルスの力価測定

Lentiviral High Titer Packaging Mix(製品コード 6194)
  1. 各種力価測定方法
    最適な多重感染度(MOI)を調べて再現性のある遺伝子導入(トランスダクション)結果を得るためには、調製したレンチウイルスストック液の力価を測定することが必要である。回収したばかりのレンチウイルスストック液を用いて力価を直ちに測定することも、少量ずつ分注して-80℃で保存してから力価を測定することも可能である。凍結融解を繰り返すたびにウイルスストック液の力価が1/2~1/4低下することに注意する。力価の値は、細胞のタイプと使用する力価測定法に大きく依存する。さらに、力価測定に一般的に用いられる細胞(例えばHT-1080細胞株)で求めた力価と最終的に遺伝子導入された標的細胞の数との間で、大きな差が出ることもある。しかし力価測定は、種々のベクターから調製されたストック液の相対的なウイルス含量の決定のほか、以下のために重要である。
    ・ウイルスストック液の生存率の確認
    ・最適な遺伝子導入条件の決定
    ・遺伝子導入される細胞中のウイルスコピー数を制御するためのMOIの調整
    ・ウイルスストック液によって感染させることができる細胞の最大数の決定

    力価測定は、マーカーの存在やそのタイプに応じて、種々の方法で行うことができる。
    ・qRT-PCR
    Lenti-X qRT-PCR Titration Kit(製品コード 631235)を用いれば、インターカレーター法の1ステップqRT-PCRで上清中のRNAタイターを迅速に約4時間で測定することができる。この方法は、マーカーに関係なく、どのようなレンチウイルスベクターにも使用でき、種々のベクターの力価比較や、回収したばかりのウイルスストック液の力価測定に有用である。
    ・p24 ELISA
    Lenti-X p24 Rapid Titer Kit(製品コード 632200)はELISA法を用いてウイルス上清中のp24キャプシドタンパク質の量を測定する。p24の量はウイルス力価と相関する。本アッセイの所要時間は約4時間である。
    ・フローサイトメトリー
    蛍光タンパク質搭載のレンチウイルスベクターの場合、フローサイトメトリーにより蛍光値を測定することで、導入効率を測定することができる。
    (B. フローサイトメーターを用いた生物学的力価測定法参照。)
    ・抗生物質選択
    選択マーカーを含むレンチウイルスベクターの場合、ウイルスストック液の段階希釈系列を作製してそれぞれを細胞に感染させ、適切な抗生物質を用いて安定な遺伝子導入細胞を選択する。選択終了後に増殖する薬剤耐性コロニーの数から力価を計算する。

    [備考] Lenti-X GoStixは、ウイルス上清20 μlとChase BufferをGoStixに加えるだけの簡単な操作で、Test Bandの有無により最短30秒(~10分)でレンチウイルス力価を簡易判定できる。パッケージング細胞の培養上清からウイルスを回収するか培養を続けるかを判断する際に非常に便利である。

  2. フローサイトメーターを用いた生物学的力価測定法
    生物学的力価の測定では、導入する遺伝子発現を検出してその力価を算出する。以下に蛍光タンパク質であるAcGFP1遺伝子を搭載したpLVSIN-AcGFP1-N1 Vector(製品コード 6187)とLentiviral High Titer Packaging Mix、TransIT-293 Transfection Reagentを使用して調製したレンチウイルスベクターの生物学的力価測定法を紹介する。
    B-1.HT-1080細胞播種
    HT-1080細胞を12ウェル細胞培養用プレートに2.5×104 cells/1 ml/wellで播種し、5% CO2インキュベーター内で37℃にて培養する。
    培地は10% FBS含有DMEM 培地を使用する。1% Penicillin-Streptomycinを添加したDMEM培地も使用できる。
    B-2.レンチウイルス感染(細胞播種翌日)
    1.10% FBS含有DMEM培地にポリブレンを添加する。(培地450 μlに対して8 mg/mlポリブレン溶液0.5 μl)
    2.B-1.にて播種したHT-1080細胞の培地を450 μlのポリブレン含有培地と交換する。
    3.調製したレンチウイルス液を10% FBS含有DMEMで段階希釈する。希釈倍率はウイルス力価にもよるが、20~2,000倍での段階希釈が望ましい。
    4.希釈したレンチウイルス液50 μlを2.のHT-1080細胞に滴下し、感染させる。(ポリブレン終濃度:8 μg/ml、ウイルス最終希釈倍率:200~20,000倍)
    5.5% CO2インキュベーター内で37℃にて一晩培養する。
    B-3.培地交換
    1.翌日にウイルス含有培地を1 mlの10% FBS 含有DMEMに交換する。
    2.5% CO2インキュベーター内で37℃にて二晩培養する。
    B-4.フローサイトメーターで評価
    翌々日(感染から3日後)、細胞をTrypsin/EDTAで剥がして回収し、フローサイトメーターにてAcGFP1陽性率を測定する。
    B-5.Viral biological titerの算出
    得られたAcGFP1 陽性率を以下の式に当てはめて生物学的力価(IFU/ml)を算出する。計算に使用するAcGFP1陽性率は1.0~20.0%が望ましい。

    Titer(IFU/ml)=感染細胞数×AcGFP1陽性率(%)/100×ウイルス希釈倍率/感染時液量(0.5 ml)

    注:厳密に生物学的力価を算出したい場合は、HT-1080細胞を播種する際にセルカウント用のウェルを作製することをお勧めする。レンチウイルスの感染日にHT-1080細胞をセルカウントすることで感染時の正確な細胞数が得られる。
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