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Adenovirus Dual Expression Kit (CAG/EF1α)

付録5. 精製組換えアデノウイルスの調製

動物個体への投与実験(in vivo実験)を行う場合には、精製した組換えウイルスの使用をお勧めしております。ここでは、文献14、15、16をもとに、塩化セシウムステップ度勾配法での組換えウイルスの精製方法を記載します。

必要な器具・試薬
組換えアデノウイルスの精製には、さらに以下の器具・試薬が必要です。
・超遠心機
・超遠心機ローター
最高回転速度 28 krpm対応スウィングローター
最高回転速度 40 krpm対応スウィングローター
・超遠心用クリアチューブ
各ローター対応 超遠心用クリアチューブ
・滅菌済み透析カセット
または、滅菌済み透析チューブ(10kD)
・4.0 M塩化セシウム/10 mM HEPES(pH7.4)
・2.2 M塩化セシウム/10 mM HEPES(pH7.4)
・飽和塩化セシウム/10 mM HEPES(pH7.4)
・10%グリセロール-PBS(‐)

感染ウイルス粒子は、pHが大きく変わることにより感染性を失うおそれがあるので、これらの試薬はオートクレーブ後使用前にpHを確認する必要があります。またすべての操作は無菌的に行って下さい。

4次ウイルスの段階で、109 PFU/ml以上の力価が得られる組換えウイルスの場合、以下のスケールで、1010~1011 PFU/mlの精製組換えウイルスを4~5 ml得ることができます。

  1. コラーゲンコート225 cm2フラスコ6本に、70~100%コンフルエントまで培養した293細胞を用意する。
  2. 5% FCS-DMEMで、組換えウイルス液を希釈し0.6~1.2×108 PFU/mlとする。
  3. フラスコから培養液を除いた後、フラスコ1本あたり2.のウイルス液5 mlを静かに加える。
    * アデノウイルスを293細胞に感染、増殖させるとき、MOI(重複感染度; Multiplicity of infection)=10~20(PFU/cell)で感染を行うと効率よくウイルスを増殖させることができます。高い力価のウイルス液を得ようとして、293細胞に濃いウイルス液を感染させると、細胞が死滅してしまい、かえって力価が低下してしまうことがあります。
  4. フラスコをシーソーのように数回、ゆっくりと振とうさせ、ウイルス液をすべての細胞にいきわたらせ感染を行う。この操作を15~20分ごとに3~4回行う。この間、細胞はCO2インキュベーター(37℃、5% CO2)においておく。
  5. 1時間の感染後、フラスコ1本あたり5% FCS-DMEM 30 mlを加える(トータルで35 ml)。
  6. 3~4日培養し、細胞が完全に変性したら、培養液ごと細胞を6本の滅菌チューブに移し、3,000 rpm、10分、4℃で遠心する。
  7. 上清を、各チューブ10 mlずつ残して除去し、密閉系ソニケーターで破砕して、ウイルスを遊離させる。
    * 密閉型ソニケーターを使用されることをお勧めします。開放型のソニケーターはエアロゾルが発生するので使用しないで下さい。
  8. 3,000 rpm、10分、4℃で遠心し、上清を回収する。*このように“濃く作った”ウイルス液は、細胞毒性が強いので、精製せずに使わないでください。(Ⅷ. Q&A. Q7 参照)
  9. 塩化セシウム密度勾配を用いてウイルス精製を行う。最高回転速度28k rpm用スウィングローター対応クリアチューブに以下の順で、重層する。
    4.0 M塩化セシウム/10mM HEPES 10 ml
    2.2 M塩化セシウム/10mMHEPES 5 ml
    ウイルス液 20 ml
    * チューブは上から0.5~1 mmまで液体が埋まっていないと遠心中につぶれるおそれがあるので注意して下さい。
  10. 最高回転速度28 krpm用スウィングローターを用いて25,000 rpm、2時間、4℃で遠心する。
  11. ウイルスバンドをキャピラリーなどで回収する。
    * 黒色背景にすると、ウイルスバンドは見やすくなります。高い位置に濃く白く見えるのは細胞タンパクです。8.のウイルス液20 mlあたり2~3 mlのウイルス液が回収できます。
  12. 10.の回収ウイルス液に、等量の飽和塩化セシウムを加える。
  13. 2回目の塩化セシウム密度勾配を用いたウイルス精製を行う。最高回転速度40 krpm用スウィングローター対応クリアチューブに以下の順で、重層する。
    回収ウイルス+飽和塩化セシウム 4~5 ml
    4.0 M塩化セシウム/10mM HEPES 2 ml
    2.2 M塩化セシウム/10mM HEPES 3~4 ml
  14. 最高回転速度40k rpm用スウィングローターを用いて35,000 rpm、3時間、4℃で遠心する。
  15. ウイルスバンドをキャピラリーなどで回収する。
    * このとき2本のバンドが見えることがありますが、下のバンドがウイルスです。(上のバンドはタンパク質)。
  16. 滅菌済み透析カセット(または、滅菌済み透析チューブ)に無菌的に移し、10%グリセロール添加PBS(‐) 1 Lで透析する。2時間後透析外液を交換し、一晩透析する。
  17. 透析済みウイルス液を回収、1回の使用量ずつ分注し、‐80℃で保存する。
  18. 分注したチューブの1本を融解し、力価を測定(「Ⅶ D.」)した後、実験に用いる。
    * 「Ⅶ C.」と同様、「Ⅶ B-2.」の方法での構造確認、およびRCAチェックもあわせて行われることをお勧めします。
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