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メタゲノム解析

微量検体からのショットガンメタゲノムシーケンス解析

実験の背景
ヒトの健康や疾患に腸内細菌叢が大きく関わっていることが明らかになり、近年、DNAシーケンスコストの低下や解析技術の向上により、高精度で網羅的な解析が期待できるショットガンシーケンス手法が注目されている。しかしショットガンシーケンス解析法は様々な手法が取られており、複数ラボの解析結果を比較するには課題がある。さらに、細菌叢解析においては、核酸調製方法や採取する部位によって回収される核酸量は大きく変動し、非常に微量な検体を材料とする場合もあるため、これらに対応する解析プロトコールの開発が望まれる。
本実験において、複数の糞便検体および20菌種混合標準検体(ATCC)を材料とし、3種のライブラリー調製キット(ThruPLEX DNA-seq Kit、A社キット、B社キット)における細菌叢解析に及ぼす影響を比較した。
実験ワークフロー
糞便サンプル

DNA抽出
・NucleoSpin Microbial DNA
(製品コード 740235.10/.50/.250)

DNA断片化(必要に応じて)
・超音波断片化装置M220 (Covaris)

ライブラリー調製
・3種キット比較(ThruPLEX DNA-seq Kit、A社、B社)

シーケンス
・HiSeq2500 100 bp×2

情報解析
・Quality control (Trimmomatic)
・Contamination removal (Bowtie2)
・Taxonomic Profiling (MetaPhlan2)

比較
・GC bias(Picard)
・Assemble(SPAdes)
Mock DNA
20 Strain Even Mix Genomic Material
(ATCC、MSA-1002)
各種ライブラリー調製キットによる細菌叢解析への影響
  1. Mock DNA(20菌種由来ゲノム等量混合物)の解析
    Mock DNA(20菌種由来ゲノム等量混合物)の解析

    20菌種由来ゲノムDNAが等量混合されたMock DNAサンプルから3種のライブラリー調製キットを用いて、ショットガンメタゲノム解析を行った。検出された菌種の構成比を比較したところ、Mock DNAサンプルに存在する菌種はいずれのライブラリー調製キットでも検出されたが、検出される菌種の構成比はA社キットおいて理論値からの誤差が大きかった。

  2. 糞便サンプル(1、2、3)の解析
    Mock DNA(20菌種由来ゲノム等量混合物)の解析

    3種の糞便(1、2、3)由来のゲノムDNAから、3種のライブラリー調製キットを用いてショットガンメタゲノム解析を行った。(合計9解析)
    【A】 ライブラリー調製キットによって、検出される菌種の組成比が異なった。
    【B】 0.01%以上の組成比を持つ菌種をSpeciesレベルで比較したところ、ライブラリー調製キットによって検出される菌種が異なった。

異なるDNA量による細菌叢解析への影響
糞便1、2由来のDNAを2 ng、0.5 ng、50 pg用いてThruPLEX DNA-seq Kitでライブラリーを作製し、ショットガンゲノム解析した。

ショットガンゲノム解析
【A】 菌種存在比0.01%以上で、取得シーケンス量と検出された菌種数を比較したところ、30 Mリード以上で検出菌種数が収束した。
【B】 糞便1、2で検出された菌種の内、存在比の高い上位20種について、各インプットDNA量における菌種の存在比を比較した。各々の糞便において、インプットDNA量に関わらず菌種の存在比は同程度であった。
【C】 糞便1、2で検出された菌種の内、存在比が0.01%以上と0.01%以下において、2 ngインプットDNA量を基準に平均絶対誤差率(*MAPE)を比較した。0.01%以上の存在比ではMAPE値は低い値を示し、誤差が少ないことが示された。
結論
  • Mock DNAを用いて3種のライブラリー調製キットで菌種の存在比を比較したところ、いずれのキットでもすべての菌種を検出できたが、A社キットは存在比の誤差が大きかった。
  • 異なるインプットDNA量において、ThruPLEX DNA-seq Kitを用いて検証したところ、30 Mリード以上のシーケンス量で、0.01%以上の組成比の菌種を高精度に検出することができた。また、わずか50 pgのインプットDNA量でも、2 ngと同等の結果を示した。
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