TaKaRa DEXPAT™

スライド上のパラフィン切片からの部位限定抽出法

TaKaRa DEXPATと高感度PCR増幅用TaKaRa Ex Taqとの組合せで、より確実なPCR増幅が可能である。以下にTaKaRa Ex Taqを用いた例を示す。
大腸癌パラフィン包埋切片を用い、同スライド上にて正常部並びに癌部をDEXPATで抽出後、マイクロサテライト解析法によるアリルの変化を調べた。

操作

  1. スライドに固定した大腸癌切片(4.5×1.5 cm)を、HE染色した切片と比較し顕微鏡下で癌部と判断した部分(2.3×0.9 cm)をスライドグラスの裏側よりマジックで囲む。
  2. マイクロチューブにDEXPAT 500 μlを取り、ヒートブロックで100℃に温めておく。1 ml用チップでDEXPATを吸い取り、マークした癌部に少量のせチップの先で擦り、切片をスライドよりはがしゲルや切片を残らず回収する(正常部の組織を擦らない限り混ざることはないので、特に正常部をマスクする必要はない)。同様に残りの正常部もスライドよりはがす。
  3. 試料の入ったマイクロチューブをヒートブロックで100℃、10分間ボイルし、その後4℃で12,000 rpm 10分間遠心分離を行う。上清を別のチューブに移し、これをPCRテンプレートとする。このときゲルや、境界面にある残渣を吸い取らないようにする。
スライド上のパラフィン切片からの部位限定抽出法
図1 スライド上のパラフィン切片からの部位限定抽出法

操作フローチャート

PCR反応液

10×Ex Taq Buffer2.5μl
dNTP Mixture2.5μl(250 μM each)
each primer0.25μl(final 10 pmol)
Template DNA2.5μl(DEXPAT抽出液)
TaKaRa Ex Taq0.125μl(0.625 U/25 μl)
dH2Oup to 25μl
【TaKaRa Thermal Cycler MPを使用】
94℃、90 sec

94℃、30 sec
54℃、60 sec
72℃、60 sec


│35 cycles


72℃、5 min

結果

下記のマイクロサテライトマーカーを使用し、LOH(Loss of heterozygosity、ヘテロ接合性の消失)が検出された。
△100%LOHマイクロサテライトマーカー
△100%LOH
使用したマイクロサテライトマーカー
:TP53
△81%LOHマイクロサテライトマーカー
△81%LOH
使用したマイクロサテライトマーカー
 :D3S1067

図2 部位限定抽出したDNAによるLOH解析
N:正常細胞
T:腫瘍細胞

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