一価カチオンは、DNA Ligaseと基質DNAとの親和性を低下させ、多くの場合200 mMのNa+またはK +存在下で、ほぼ完全にDNA連結反応を阻害する。したがって、高塩濃度(100~200 mM NaClまたはKCl)を至適とする制限酵素で切断したDNA断片を連結する際、そのままではDNA Ligaseが一価カチオンにより阻害を受けるため、反応効率は悪い。このため過剰量の酵素で長時間反応させるか、もしくはエタノール沈殿等の操作で溶液中のDNAを回収し、低塩濃度反応液に再溶解させた後、DNA Ligaseで連結反応を行う必要がある。しかし、平滑末端連結を促進させることが報告されているポリエチレングリコール(PEG)存在下では、高濃度一価カチオンにより分子間連結反応が著しく促進されることが示された。この促進現象は10%(W/V)PEG 6000反応液中で認められた1)。
66 mM | Tris-HCl(pH7.6)* |
6.6 mM | MgCl2* |
10 mM | DTT* |
0.1 mM | ATP* |
0~300 mM | NaCl |
10%(W/V) | PEG 6000 |
0.25μg | 直鎖状pBR322DNA または、Pvu II(平滑末端)で切断] |
Total | 20μl |
Lane 1:λDNA-Hind III分解物 | Lane 5:100 mM NaCl | Lane 9:300 mM NaCl | |||
Lane 2:pBR 322DNA RF I | Lane 6:150 mM NaCl | LM(linear monomer) | |||
Lane 3: 0 mM NaCl | Lane 7:200 mM NaCl | CM(circular monomer) | |||
Lane 4:50 mM NaCl | Lane 8:250 mM NaCl |