図3および4の(A)に16℃で30分間反応させた結果を示す。突出末端連結は0.35 U、平滑末端連結は7.0 UのT4 DNA Ligaseを働かせた。突出末端連結の場合は150 mM Na
+存在下(図3(A)、Lane 6)、平滑末端連結の場合は150~200 mM Na
+存在下(図4(A)、Lane 6、7)で分子間連結反応が促進されている。PEGを含まない通常の反応液中で、350 UのT4 DNA Ligaseを働かせても、150~200 mM Na
+存在下では平滑末端連結は全く起こらない。図3、4の(B)に37℃で30分間反応させた結果を示す。16℃の場合と比較して、150 mM以上のNa
+存在下での反応効率は高くなっている。また、100 mM Na
+存在下では16℃の場合、分子間連結反応の促進は起こらないが、37℃では突出および平滑両末端共に分子間連結反応が促進される(図3、4の各(B)、Lane
5)。
K
+ はNa
+ と同等の促進効果を持つが、その効果は誘起されるイオン濃度がNa
+の場合よりも高く、その濃度は16℃では200~250 mM、37℃では150~250 mMであった。
類似の現象は、10~15%PEG 6000反応液中で大腸菌DNA Ligaseを働かせた場合にも誘起され、15%PEG 6000反応液中では、高濃度一価カチオンの存在により平滑末端連結が可能になった
2) 。
このように、一価カチオンとPEGを共存させた反応系は、過剰量の酵素を使わずに、しかも短時間でDNA連結反応を完了させる有効な方法である
図3 突出末端連結反応
T4 DNA Ligase 0.35 U添加
16℃(A)、37℃(B)で30分間保温
図4 平滑末端連結反応
T4 DNA Ligase 7.0 U添加
16℃(A)、37℃(B)で30分間保温
Lane 1:λDNA-Hind III分解物 |
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Lane 5:100 mM NaCl |
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Lane 9:300 mM NaCl |
Lane 2:pBR 322DNA RF I |
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Lane 6:150 mM NaCl |
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LM(linear monomer) |
Lane 3: 0 mM NaCl |
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Lane 7:200 mM NaCl |
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CM(circular monomer) |
Lane 4:50 mM NaCl |
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Lane 8:250 mM NaCl |
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