O-157 (ベロ毒素1型、2型遺伝子) One Shot PCR Typing Kit Ver.2

菌体熱抽出サンプルからの検出例
(O-157 One Shot PCR Typing Kit Ver.2)

A.菌体熱抽出サンプルの調製

【調製方法-I】
1. 増菌培養液4 μlを1.5 ml tubeに、または2 μlを0.2 ml PCR tubeに採る。
2. 滅菌水を1.5 ml tubeの場合は196 μl、0.2 ml tubeの場合は98 μl加えて混合する。
3. 95℃で5分間熱処理する。(0.2 ml PCR tubeの場合はTaKaRa PCR Thermal Cycler Diceを利用すると簡便に行うことができる。)
4. 遠心分離(12,000 rpm, 4℃, 10分)し、上清を回収する。これを熱抽出サンプルとして25 μlをPCR反応に用いる。さらに感度を上げたい場合は、【調製方法-II】をお試しください。

【調製方法-II】
1. 増菌培養液(ノボビオシン加mEC培地など)1 mlを1.5 ml tubeに採る。
2. 遠心分離(5,000 rpm、4℃、5分)し、上清を捨てる。
3. 沈殿物(菌体など)に滅菌水100 μlを加えて懸濁する。
4. 95℃で5分間熱処理する。
5. 遠心分離(12,000 rpm、4℃、5分)し、上清を回収する。これを熱抽出サンプルとして25 μlをPCR反応に用いる。

この方法で調製した熱抽出サンプルを用いてPCRを行ったときに反応が阻害されるようであれば、以下の(1)あるいは(2)(または(1)と(2)の組み合わせ)の手法を試してください。

(1) 滅菌水で懸濁する前の沈殿物(菌体など)をPBS Bufferで2、3回洗浄する(Buffer 500 μlで懸濁→遠心→上清を捨てるを2、3回繰り返す)。
(2) 調製した熱抽出サンプルの10 倍希釈液、100倍希釈液(希釈は滅菌精製水を使用)を調製し、その25 μlをPCR反応に用いる。

増菌培養液は、それぞれ適当な標準プロトコールに従って食品サンプルから調製したものを用いる。
また、熱抽出サンプルは-20℃で保存可能である。

B. PCR反応例

  1. 2 × One Shot PCR solution tubeに調製した熱抽出サンプルを25 μl添加する。 Negative controlとして滅菌精製水を25 μl加えたものを1本用意する。
  2. 各チューブ のキャップをしっかりと閉め、サーマルサイクラーにセットしてPCR反応を開始する。

    PCR条件

    94℃、1 min35 cycles
    55℃、1 min
    72℃、1 min
    72℃、10 min1 cycle

    ※反応は約2.5時間で終了する。反応後のサンプルは4℃、または-20℃で保存可能である。

  3. 反応終了後、反応液10 μlをアガロース電気泳動する。
    アガロースゲルは3% PrimeGel Agarose PCR-Sieveが望ましい)

C. 判定(下図参照)

サンプル中にベロ毒素1型遺伝子が存在すれば、349 bpの増幅産物(バンド)が検出される。また、ベロ毒素2型遺伝子あるいはその変異型遺伝子が存在すれば、112 bpのバンドが検出される。 Positive control(Control template)由来では1,070 bpのバンドが検出される。

電気泳動結果 判  定
(1)349 bp、112 bpいずれのバンドも検出されず、かつPositive controlのバンド(1,070 bp)が検出された。 ベロ毒素遺伝子は検出限界以下である。
(2)349 bpのバンドが検出された。 Positive controlのバンドの有無に関わらず、ベロ毒素1型遺伝子(VT1)陽性である。(VT1が多量に存在する場合、Positive controlのバンドが消失することもある)
(3)112 bpのバンドが検出された。 Positive controlのバンドの有無に関わらず、ベロ毒素2型遺伝子(VT2)陽性である。(VT2が多量に存在する場合、Positive controlのバンドが消失することもある)
(4)349 bp、112 bpのバンドが検出された。 Positive controlのバンドの有無に関わらず、VT1、VT2ともに陽性である。(VT1、VT2が多量に存在する場合、positive controlのバンドは消失する)
(5)何もバンドが検出されない。陽性、検出限界以下を確定できない。何らかの原因でPCR反応が正常に行われていない可能性が高いので、再度PCRを行う。
(6)Negative controlのレーンに1,070 bpのバンドのみが検出された。 コンタミネーションはない。(349 bpあるいは112 bpのバンドが検出された場合、コンタミネーションを起こしていると考えられるので、反応液調製場所および使用した機器を除染したうえで再度検出を行う。

電気泳動像

D. 実験例

VT1およびVT2遺伝子陽性株培養液からプロトコールにしたがって調製したサンプルをtemplateとして本キットを用いてPCRを行った。

Lane M: 100 bp DNA Ladder
上からそれぞれ1,500、1,000、900、800、700、600、500(一番太いバンド)、400、300、200、100 bp
Lane 1:negative control
Lane 2:VT1 & 2 陽性株100 cell/tube
Lane 3:VT1 & 2 陽性株101 cells/tube
Lane 4:VT1 & 2 陽性株102 cells/tube
Lane 5:VT1 & 2 陽性株103 cells/tube
Lane 6:VT1 陽性株104 cells/tube
Lane 7:VT2 陽性株104 cells/tube

3% Agarose gelで電気泳動。エチジウムブロマイドで先染めしたものである。

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