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Q1 ApopLadder Exによって抽出される断片化DNAの量と質は?
A1 細胞の種類、アポトーシスの誘導方法、サンプリングの時期によって異なりますが、弊社では次のようなデータを得ています。
細胞の種類 | アポトーシスの誘導法 | サンプル量 | 断片化DNA収量 | OD260/OD280 |
P3U1 | アクチノマイシンD (10 μM)、20時間 | 1×106 cells | >20 μg | >1.9 |
HL60 | スタウロスポリン (1 μM)、5時間 | 1×106 cells | >25 μg | >1.9 |
Q2 ApopLadder Exはどんな試料に応用できるか?
A2 基本的には培養細胞用として開発されています。しかし、例えば全血からリューコプレップ(Falcon/Becton & Dickinson社)などのリンパ球分離用チューブで分離されたリンパ球や、脾臓から分離されたリンパ球のように、培養細胞と同等の均一性をもった細胞集団には応用が可能と考えられます。なお、臓器片からの直接抽出には利用できません。
Q3 凍結した細胞からでもうまく抽出できるか?
A3 サンプリングした細胞は、凍結しないで速やかに抽出操作に用いることをお勧めします。弊社のデータでは、3回の凍結融解処理を施した培養細胞からでも断片化DNAの抽出、検出は可能でしたが、収量は著しく減少しました。
Q4 抽出した断片化DNAの保存方法は?安定性は?
A4 小分けして-20℃以下で保存し、凍結融解を繰り返すことは避けてください。弊社データでは-20℃で少なくとも1ヵ月、また4℃保存で少なくとも7日間は安定でした。
Q5 抽出操作がうまくいったかどうかの目安となるコントロール系はないのか?
A5 アポトーシスによるDNAの断片化は、ターゲットの細胞、誘導剤、濃度、タイミングによって大きく影響を受けます。さらに最近では、DNAの断片化を伴わないアポトーシスも報告されています(Application“アポトーシスの早期検出”参照)。従って「これぞ」というコントロールの系は存在しないといえます。ただし、弊社の今までの経験では、HL60細胞を1 μMスタウロスポリン(Merck社Code. S4400)で処理する系がコントロールとしてお勧めできます。
Q6 電気泳動の結果、DNAがスメアしてきれいなラダーが得られないが?
A6 次の原因が考えられます。
- アポトーシスが進行しすぎて非特異的にDNAが切断されている。
- 操作の途中でDNaseの混入があった。
それぞれの解決策として、次のことを試してみてください。
- 検体サンプリングの時間をもっと早期にする。
- 手袋を着用するなどにより、DNaseの混入を防ぐ。
Q7 電気泳動の結果、全くバンドが検出できないが?
A7 次の原因が考えられます。
- アポトーシスが起こっていない。
- 検出限界以上のDNA量が得られていない。
それぞれの解決策として、次のことを試してみてください。
- 別の方法(例えばIn situ Apoptosis Detection Kit(製品コード MK500)や形態学的判定法)で、アポトーシスが起こっているか否かを確認する。このような別の方法によっても検出できなければ、アポトーシス誘導剤の使用濃度を上げるか、誘導時間を延長する。
- 処理する検体の細胞数を増やすか、エタノール沈殿などで最終のDNA溶液を濃縮する。
Q8 10%SDS Solutionを室温で解凍したが、沈殿が生じてしまった。どうすればよいか?
A8 問題ありません。約40℃で少し温めるとSDSはすぐに溶解します。
Q9 アポトーシス断片化の定量の際に、SYBR Green I 以外の蛍光色素は使えないのか?
A9 Pico Green(Thermo Fisher Scientific社)も使用できます。
Q10 適しているアガロースゲルの大きさ、種類は??
A10 5×5 cm程度です。アガロースとしては、Agarose L03「TAKARA」(製品コード 5003)またはPrimeGel Agarose PCR-Sieve(製品コード 5810A)をお勧めします。
Q11 キットの6×Loading bufferが黄褐色をしているが、大丈夫か?
A11 DNAバンドの写真撮影を妨害しない黄色系色素を用いています
Q12 接着細胞でのDNAの断片化を確認したい。細胞を剥がすにはどのような方法を用いればよいか?
A12 セルスクレーパーで細胞を剥がす方法をお勧めします。セルスクレーパーを用いた場合の方が、トリプシン処理して細胞を剥がした場合と比べ、検出されたDNAラダーがきれいであることを確認しています。