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Q1 超音波処理して下図のようになったフラグメントはT4 Polで修復できるか?
A1 できません。5'突出が脱リン酸化されたDNAなら基質となりますが、3'陥没末端にリン酸基を持つDNAには働きません。Mung Bean Nuclease(製品コード 2420)を作用させると平滑になります。
Q2 3'突出末端をT4 Polで削って平滑末端にしたいが、dNTPは必要か?
A2 必要です。ただし、必ずしも4種類必要でなく、平滑末端になったとき、3'側の一番端になる塩基を0.1 mM程度反応系に加えるだけでかまいません。T4 Pol 1 U、37℃、5 minの反応で充分でしょう。
Q3 Replacement synthesisの際、Tris-acetate系のバッファーで反応を行うと約40分でDNAがなくなってしまった。カタログに載っている活性測定用バッファー(Tris-HCl)で同じ実験をするとうまくいった。どういうことか?
A3 Tris-acetate系とTris-HCl系におけるT4 DNA Polymeraseのexonuclease活性を調べたところ、Tris-HCl系ではexonuclease活性がかなり抑えられることがわかりました。Tris-acetate系でreplacement synthesisを行うときには反応時間を短めにした方がよいでしょう。
Q4 KlenowとT4 DNA Polymeraseの差異は?
A4 T4 DNA Polymeraseの方が100~1000倍高い3'-exonuclease活性を持っています。またKlenowはT4 DNA PolymeraseほどDNAの二次構造の影響を受けません。したがってKlenowは、dideoxy法によるシークエンシング、DNAの3'陥没部分のfill-inや3'末端の標識に向いており、T4 DNA Polymeraseは3'末端の平滑化に向いています。
また、dNTP〔αS〕に対する活性も異なります。KlenowはdNTP〔αS〕を取り込みますが、exonuclease活性で削ることはできません。したがってDNAを一方向からのみ欠失させたい場合、KlenowとdNTP〔αS〕で一端を修復すれば、その末端はKlenowのexonuclease活性やBAL 31、Exo III等にも抵抗性になります。
しかし、T4 DNA PolymeraseはdNTP〔αS〕を取り込んでも削ってしまいます。