ヒト骨芽細胞(Human Osteoblasts:HOB)

PromoCell社 正常ヒト細胞(一般)Q&A

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Q1 PromoCell社の細胞の分裂保証回数は?
A1 推奨の専用増殖培地と推奨の継代用試薬キットDetachKitを使用した場合、ほとんどの細胞で15回の細胞分裂(population doublings (PD))を保証しています。各細胞の分裂保証回数はWEBカタログの各細胞紹介ページをご覧ください。
Q2 "population doublings" (PD) と "passage"の違いは?
A2 1 population doubling (PD) は培養中に細胞数が2倍に増えることです。population doublingの回数(PDs)を計ることは真に細胞の世代を計ることになります。これに対して、passage(継代)は単に細胞を培養プレートから剥がして低い細胞密度で再播種する操作を示しています。継代時にどの程度の細胞密度で何枚のプレートに分けるかによって、次の継代までの培養日数や細胞の分裂回数が異なり、継代の回数にも差が生じます。継代数は単に培養の世代の概算にすぎません。
Q3 PromoCell社の正常ヒト細胞は何回継代できるか?
A3 継代数は細胞を培養プレートから剥がして再播種する操作の回数を表しています。
PromoCell社ではpopulation doublingを算出して細胞の分裂回数を保証しており、各細胞の継代数は測定していません。
継代後に用いるプレートの枚数は継代時のトリプシン処理後の細胞収率と推奨播種密度(Plating Density)から計算します。ほとんどの細胞は3~6枚プレートに分けることができます。推奨播種密度(Plating Density)は各細胞のInstruction Manualかタカラバイオ(株)のWEBカタログをご覧ください。
Q4 PromoCell社の正常ヒト細胞の培養には培養フラスコ/プレートのコーティングが必要ですか?
A4 ほとんどの正常ヒト細胞は特殊なコーティングフラスコは必要ありませんが、使用することも可能です。 コーティングに用いる細胞外マトリクスが細胞の代謝に影響を与える可能性があるため、同じ実験には同じコーティング剤を使用することをお勧めします。 しかし、以下の細胞の培養には、コーティングしたフラスコ/プレートを必ずご使用ください。
  • 肝臓細胞(製品コード C-12850):コラーゲンタイプIコーティングが必要。
  • CD34前駆細胞(製品コード C-12921、C-12924)と単核細胞(製品コード C-12907、C-12901、C-12904)を内皮前駆細胞に分化させる場合:フィブロネクチンコーティングが必要。
  • 間葉系幹細胞(製品コード C-12974、C-12971、C-12977)をMSC Growth Medium XF(製品コード C-28019)で培養する場合:フィブロネクチンコーティングが必要
Q5 PromoCell社の正常ヒト細胞は再凍結保存できるか?
A5 PromoCell社の正常ヒト細胞は再凍結保存可能です。しかし、再凍結操作は細胞の増殖能や細胞数の低下を招くため、お勧めしておりません。また、再凍結後の細胞の品質は保証できません。
細胞を再凍結したい場合は、継代数の少ない細胞を使用し、PromoCell社の凍結保存用培地Cryo-SFM(製品コード C-29910)をご使用ください。Cryo-SFMは無血清の凍結用培地でPromoCell社で使用しています。
Q6 PromoCell社のgrowth mediumを細胞凍結保存培地に使用することはできるか?
A6 いいえ。PromoCell社のgrowth mediumは組成が複雑なため凍結培地として使用することはお勧めしません。growth mediumを凍結すると不可逆的な沈殿が生じます。
細胞凍結にはPromoCell社の無血清Cryo-SFM(製品コード C-29910)の使用をお勧めします。標準的なcomplete freezing mediumである70% DMEM+20% FCS+10% DMSOも使用可能です。
培養用培地に低血清/無血清の培地を使用している場合は Cryo-SFMなどの無血清凍結保存培地を使用してください。
Q7 同じドナー由来の異なる種類の細胞を入手することは可能か?
A7 はい、ケラチノサイト(NHEK)、メラノサイト(NHEM)、皮膚微小血管内皮細胞(HDMEC)、線維芽細胞(NHDF)は同じ皮膚サンプルから単離されたロットがあります。同じドナー由来の細胞の入手をご希望の場合はお問い合わせください。

培地一般

Q8 PromoCell社の正常ヒト細胞の培養に使用できる培地は?
A8 それぞれの細胞に専用の増殖培地が用意されています。培養には、必ず専用増殖培地を使用してください。各細胞の推奨培地についてはWEBカタログをご覧ください。
Q9 Growth Medium KitとGrowth Medium(Ready-to-use)の違いは?
A9 PromoCell社の細胞培養用増殖培地は基本培地と添加因子セット(SupplementMixまたはSupplementPack)で構成されており、基本培地に添加因子セットを全量添加することにより増殖培地が作製できます。
SupplementMixは添加因子が1本のバイアルに混合された製品、SupplementPackは各添加因子が別々のバイアルに分注されたセット品です。
Growth Medium(Ready-to-use)にはSupplementMixが含まれています。
Growth Medium KitにはSupplementPackが含まれており、実験の目的に応じて個々の添加因子の濃度を変化させることが可能です。ただし、添加因子の濃度を変化させると細胞の増殖に影響が出ますので条件検討が必要です。
Q10 基本培地、添加因子の組成は?
A10 基本培地の組成は公開されていません。
添加因子の種類と終濃度はPromoCell社のカタログや培地のInstruction Manualに記載されています。なお、記載がない製品の組成は非公開です。
Q11 PromoCell社の培地にはL-Glutamineが含まれているか?
A11 はい。PromoCell社の専用培地には適切な濃度のL-Glutamineが含まれています。さらに、L-Glutamineを追加添加すると細胞増殖に影響を与えますので、添加しないでください。
Q12 PromoCell社の培地には抗生物質が含まれているか?
A12 PromoCell社の培地には抗生物質は含まれていません。
抗生物質を添加する場合は、以下の濃度をお勧めします。
 100 U/ml penicillin + 100 μg/ml streptomycin、または、
 50 μg/ml gentamicin+50 ng/ml amphotericin B
ただし、抗生物質の添加により細胞の増殖率が低下する可能性がありますのでご注意ください。
Q13 SupplementMixを小分けにすることはできるか?
A13 はい。SupplementMixは2~4つに分けて-80℃保存することが可能です。それにより、小容量の完全培地(250 ml×2、125 ml×4)を調製でき、培地の使用期限を延ばすことができます。
Q14 PromoCell社の培地を長期保存するために凍結することはできるか?
A14 PromoCell社の培地は凍結しないでください。培地を凍結すると不可逆的な沈殿が生じ、品質が低下するため、品質を保証できません。
Q15 どんな時にフェノールレッドフリーの培地を使用するのか?
A15 フェノールレッドにはエストロゲン様の性質が見られます。フェノールレッドフリーの培地は、エストロゲン応答細胞の培養でステロイドホルモンの働きを評価する研究に使用されています(Berthois et al., 1986)。また、フェノールレッドは吸光度測定など、培地の光学分析を行う場合にも影響を与えます。
Q16 自分で調製した培地や他社の培地をPromoCell社の正常ヒト細胞の培養に使用することはできるか?
また、10% FCSを添加したDMEMやRPMI1640などの一般的な培地で培養できるか?
A16 PromoCell社の正常ヒト細胞はPromoCell社の培地と培養条件でテストされています。他の培地を使用すると、栄養分や成長因子が適さないために十分な結果が得られない可能性があります。PromoCell社では推奨培地で培養した場合にのみ良好な細胞の生育を保証しています。また、正常細胞用の培地は、DMEM+FCSやRPMI+FCSより複雑で特殊な組成となっています。不死化した細胞株に比べて初代細胞は栄養や成長因子の要求性が高く、古典的な培地ではよい結果は得られません。
Q17 PromoCell社の培地の組成を変えた製品を注文することはできるか?
A17 PromoCell社の培地をベースにしたカスタム培地は、例えば、内皮細胞培地やケラチノサイト培地では、最小単位として、500 ml×10で作製可能です。価格、納期はお問い合わせください。

継代試薬について

Q18 PromoCell社の正常ヒト細胞の継代にはDetachKitが必要か?
A18 PromoCell社の正常ヒト細胞の継代には継代用試薬キットDetachKit(製品コード C-41210)の使用をお勧めします。
DetachKitにはHepesBSS wash buffer、0.04%トリプシン/0.03% EDTA、Trypsin Neutralizing Solution(TNS:大豆由来トリプシンインヒビター+BSA)が含まれています。PromoCell社のほとんどのGrowth Mediumは低血清、または無血清のためトリプシン中和効果がありません。
Q19 DetachKitとDetachKit 2の違いは?
A19 DetachKit(製品コード C-41210)は初代細胞の継代に至適化されており、PromoCell社の全ての正常ヒト細胞と成人由来幹細胞(間葉系幹細胞、脂肪由来幹細胞)の継代処理に使用できます。DetachKit 2は特に穏やかな剥離のために開発されたもので、ヒト鼻腔上皮細胞(HNEpC)の継代に使用可能です。
Q20 DetachKit(製品コード C-41200、C-41210、C-41220)のトリプシンの由来は?
A20 ブタの膵臓由来です。
Q21 Trypsin/EDTA Solutionは使用前に温める必要があるか?
A21 Trypsin/EDTA Solutionは、過反応と細胞への不可逆的なダメージを避けるため、他の継代試薬同様、室温で使用することをお勧めします。
Q22 PromoCell社の正常ヒト細胞は37℃でTrypsin/EDTA Solution処理することが可能か?
A22 全ての正常ヒト細胞のTrypsin/EDTA Solution処理は室温で顕微鏡により観察しながら行うことをお勧めします。37℃で長時間Trypsin/EDTA Solution処理すると細胞に不可逆的なダメージを与えます。
Q23 説明書にTrypsin/EDTA Solution処理時間の記載がないのは何故か?
A23 細胞を剥がすのに必要な時間は、細胞のタイプ、細胞密度、ロット、トリプシン濃度、トリプシン処理前の洗浄、処理温度などによって異なります。Trypsin/EDTA Solution処理は室温で行い、顕微鏡で直接モニターすることをお勧めします。この方法でTrypsin/EDTA Solution処理に必要な時間を知ることができ、最小限の時間で処理できます。ほとんどの細胞は2~8分間で剥がれます。
Q24 継代に自家調製した試薬、または他社のトリプシンを使用することはできるか?
A24 市販のトリプシンはほとんどが0.05%以上の濃度になっており、初代細胞に有害です。正常ヒト細胞の継代には0.04% トリプシン/0.03% EDTAの使用をお勧めします。
Q25 正常ヒト細胞の継代に、トリプシンの代わりにアクターゼを使用できるか?
A25 はい、使用できます。Accutase-Solution(アクターゼ、製品コード C-41310)は非常に細胞に穏やかに作用します。細胞膜や表面エピトープに影響が少ないため、フローサイトメトリーなど細胞表面マーカーが変化しないことが必要な実験や、より繊細な細胞に適しています。
Q26 トリプシンとアクターゼの違いは?
A26 トリプシンとアクターゼは、どちらもタンパク質分解酵素です。トリプシンはブタ膵臓から調製されており、アクターゼは無脊椎動物から調製されています。アクターゼは接着細胞の培養プレート表面からの剥離および解離目的にトリプシンの代わりに使用することができ、また、浮遊細胞の計測時に凝集塊をほぐす目的にも使用できます。従来から使用されているトリプシンに対してアクターゼを使用する利点は、穏やかで細胞へのダメージが少ない(生存率が高い)点と哺乳類やバクテリア由来のタンパク質を含まない点です。アクターゼはトリプシンに比べて温度感受性が高く、通常、反応後の不活化のステップは必要ありません。

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