レジオネラ属菌検査 生菌検出法(LC EMA-qPCR法)
<レジオネラ属菌迅速検査法について>浴槽水を用いた検討
岐阜県保健環境研究所報 第23号(2015)4-7 より引用
検討:
平成25年9月~平成26年11月に採取された県内入浴施設の浴槽水95検体を試料として、培養法、LAMP法及びLC EMA-qPCR法によるレジオネラ属菌の検出を行った。培養法は、新版レジオネラ症防止指針記載のろ過濃縮法に準じ、当所の他、県内4機関(岐阜保健所(平成25年度)、西濃保健所、東濃保健所、飛騨保健所)において分担して実施した。
方法:
- LAMP法
Loopampレジオネラ検出キットE(栄研化学)を用い、リアルタイム濁度測定装置(栄研化学)で測定を行った。なお、添付文書ではDNA抽出に検水の5,000倍濃縮液を用いるところを、本研究では検体調製の都合上、1,000倍濃縮液を用いた。それ以外の手順は添付文書に従った。
- LC EMA-qPCR法
検水の1,000倍濃縮液100 μLに等量の酸処理液(0.2M KCl-HCl, pH2.2)を加え、室温で5分間静置後、MWY液体培地900 μLを加え36℃、18時間培養した。培養後の培養液を用い、EMA処理、DNA抽出及びqPCRを順次実施した。EMA処理、DNA抽出、qPCRにはそれぞれViable Legionella Selection Kit for LC EMA-qPCR(タカラバイオ)、Lysis Buffer for Legionella(タカラバイオ)、Cycleave PCR Legionella(16S rRNA)Detection Kit(タカラバイオ)の各キットを添付文書に従い使用した。リアルタイムPCR装置は、StepOnePlus™リアルタイムPCRシステム(Life Technologies)を使用した。
また、液体培養前後及びEMA処理前後の遺伝子検出の変化を観察するため、液体培養前(0hLC)及び液体培養後(18hLC)時点の検体についても同様にDNA抽出及びqPCRを実施した。
結果:
浴槽水95検体中、培養法では27検体(28.4%)から10CFU/100 mL以上のレジオネラ属菌が検出され、LAMP法では37検体(38.9%)から、LC EMA-qPCR法では45検体(47.4%)からレジオネラ属菌遺伝子が検出された。
LAMP法では、培養法陽性27検体中21検体が陽性となり、培養法に対する感度は77.8%であった(表1)。また、培養法陰性68検体中52検体が陰性となり、特異度は76.5%あった。培養法陽性かつLAMP法陰性となった6検体の菌数の内訳は、10 CFU/100 mLが4検体、20 CFU/100 mL及び100 CFU/100 mLが各1検体であった。
レジオネラ属菌検査 生菌検出法(LC EMA-qPCR法)