PrimeDirect® Probe RT-qPCR Mix
PrimeDirect® Probe RT-qPCR Mix, with UNGの実施例
本製品はRNA精製を行うことなく、培養細胞や生体試料からダイレクトにリアルタイムPCR解析を行うことができます。ここでは培養細胞やウイルス、細菌、血液、尿をサンプルとした事例をご紹介いたします。
- K562細胞
試料: K562細胞懸濁液の希釈系列1×103~105 cells/μlをPBSにより調製し、各1 μlを使用した。
プライマー/プローブ検出領域: WT1遺伝子(Cy5標識)/GAPDH遺伝子(FAM標識)
リアルタイムPCR反応液の調製
コンポーネント | 液量(μl) |
PrimeDirect Probe RT-qPCR Mix, with UNG (2×) | 12.5 |
Forward Primer (10 μM) | 0.5 |
Reverse Primer (10 μM) | 0.5 |
TaKaRa qPCR Probe (10 μM) | 0.5 |
K562細胞懸濁液 | 1 |
RNase Free H2O | 10 |
合計 | 25 |
※他社試薬は各社推奨プロトコールに従って反応液を調製した。
リアルタイムRT-PCR反応
90℃ 3 min
60℃ 5 min
95℃ 5 sec
60℃ 30 sec
40 Cycles
※他社試薬の逆転写反応時間は、各社推奨の30 minとPrimeDirect Mixと同じ5 minの2通りで行った。その他の条件は、各社推奨プロトコールの反応条件に従った。
結果と考察: 1×103~105個のK562細胞を用いて、WT1遺伝子(白血病マーカー)およびGAPDH遺伝子(ハウスキーピング遺伝子)の発現解析を行った。逆転写反応5 minの条件において、PrimeDirect Mixは他社試薬よりも高感度にそれら遺伝子の発現を検出することができた。また、他社試薬の推奨逆転写反応時間である30 minの場合と比較しても、PrimeDirect Mixは他社試薬と同等か、それ以上の感度を示した。
WT1 遺伝子
GAPDH遺伝子
- 黄色ブドウ球菌
試料: 黄色ブドウ球菌懸濁液の希釈系列 1×101~103 cfu/μlをPBSにより調製し、各1 μlを使用した。
プライマー/プローブ検出領域: 16S rRNA遺伝子(Cy5標識)
リアルタイムPCR反応液の調製
コンポーネント | 液量(μl) |
PrimeDirect Probe RT-qPCR Mix, with UNG (2×) | 12.5 |
Forward Primer (10 μM) | 0.5 |
Reverse Primer (10 μM) | 0.5 |
TaKaRa qPCR Probe (10 μM) | 0.5 |
黄色ブドウ球菌懸濁液 | 1 |
RNase Free H2O | 10 |
合計 | 25 |
※他社試薬は各社推奨プロトコールに従って反応液を調製した。
リアルタイムRT-PCR反応
反応条件1(No RT)
90℃ 3 min
95℃ 5 sec
60℃ 30 sec
40 Cycles
反応条件2(RT 5 min)
90℃ 3 min
60℃ 5 min
95℃ 5 sec
60℃ 30 sec
40 Cycles
※他社試薬は各社推奨プロトコールの反応条件に従って行った。
結果と考察: PrimeDirect Mixは、10 cfuの黄色ブドウ球菌を安定して検出することができた。また、ゲノムDNAのみをターゲットとした反応条件1(No RT)よりも、逆転写反応を行うRNAもターゲットとした反応条件2(RT 5 min)の方が高い検出感度を示した。他社試薬との比較においても、PrimeDirect Mixは逆転写反応5 minの条件において、他社の逆転写反応30 minより高い検出感度を示した。
- 全血中の黄色ブドウ球菌
試料: 全血(ヘパリン血及びEDTA血)とその10倍希釈液(PBS)に、黄色ブドウ球菌を1×101~105 cfu/μlの濃度でスパイクしたサンプルを調製し、各1 μlを使用した。
プライマー/プローブ検出領域: 16S rRNA遺伝子(Cy5標識)
リアルタイムPCR反応液の調製
コンポーネント | 液量(μl) |
PrimeDirect Probe RT-qPCR Mix, with UNG (2×) | 25 |
Forward Primer (10 μM) | 1 |
Reverse Primer (10 μM) | 1 |
TaKaRa qPCR Probe (10 μM) | 1 |
血液サンプル(黄色ブドウ球菌を含む) | 1 |
RNase Free H2O | 21 |
合計 | 50 |
※他社試薬は各社推奨プロトコールに従って反応液を調製した。
リアルタイムRT-PCR反応
90℃ 3 min
60℃ 5 min
95℃ 5 sec
60℃ 30 sec
40 Cycles
結果と考察: 血液成分による検出阻害は見られたものの、PrimeDirect Mixは全血原液(ヘパリン血、EDTA血ともに)では100 cfuの、その10倍希釈液では10 cfuの黄色ブドウ球菌を直接検出することができた。このことは、全血1 μl中に100 cfu程度の黄色ブドウ球菌が存在すれば、検出可能であることを示唆した。
- a.尿中のジカウイルス
試料: 尿及びその10倍希釈液(生理食塩水)に、NATtrol Zika Virus(ZeptoMetrix社)を2×103 copies/μlの濃度でスパイクしたサンプルを調製し、各1 μlを使用した。
プライマー/プローブ検出領域: Polyprotein遺伝子(ROX標識)
リアルタイムPCR反応液の調製
コンポーネント | 液量(μl) |
PrimeDirect Probe RT-qPCR Mix, with UNG (2×) | 12.5 |
Forward Primer (10 μM) | 0.5 |
Reverse Primer (10 μM) | 0.5 |
TaKaRa qPCR Probe (10 μM) | 0.5 |
尿サンプル(Zika virusを含む) | 1 |
RNase Free H2O | 10 |
合計 | 25 |
リアルタイムRT-PCR反応
90℃ 3 min
56℃ 5 min
95℃ 5 sec
56℃ 30 sec
40 Cycles
結果と考察: PrimeDirect Mixは尿原液でさえ大きな阻害の影響を受けることなく、尿中のジカウイルスを直接検出することができた。
b.尿中のジカウイルス(検出感度)
試料: 尿原液にNATtrol Zika Virusを2×10-2~103 copies/μlの濃度でスパイクしたサンプルを調製し、各1 μlを使用した。
プライマー/プローブ検出領域: Polyprotein遺伝子(ROX標識)
リアルタイムPCR反応液の調製
コンポーネント | 液量(μl) |
PrimeDirect Probe RT-qPCR Mix, with UNG (2×) | 12.5 |
Forward Primer (10 μM) | 0.5 |
Reverse Primer (10 μM) | 0.5 |
TaKaRa qPCR Probe (10 μM) | 0.5 |
尿サンプル(Zika virusを含む) | 1 |
RNase Free H2O | 10 |
合計 | 25 |
リアルタイムRT-PCR反応
90℃ 3 min
56℃ 5 min
95℃ 5 sec
56℃ 30 sec
40 Cycles
結果と考察: PrimeDirect Mixは尿による阻害の影響をほぼ受けることなく、尿中のジカウイルス2コピー以上を検出できた。感染者の尿中の本ウイルスRNA濃度が2.1×10 copies/μlであったとの事例も報告されていることから(下記)、本試薬を用いた検査は十分な感度を満たす可能性がある。
*Zikaウイルス感染者の尿中ウイルスRNA濃度の事例: 2.1×10 copies/μl
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/2358-disease-based/sa/zika-fever/7169-zikara-11-170331.html)
- a. 全血中のジカウイルス
試料: 全血(EDTA血)及びその10倍希釈液(生理食塩水)に、NATtrol Zika Virus を2×103 copies/μlの濃度でスパイクしたサンプルを調製し、各1 μlを使用した。
プライマー/プローブ検出領域: Polyprotein遺伝子(ROX標識)
リアルタイムPCR反応液の調製
コンポーネント | 液量(μl) |
PrimeDirect Probe RT-qPCR Mix, with UNG (2×) | 12.5 |
Forward Primer (10 μM) | 0.5 |
Reverse Primer (10 μM) | 0.5 |
TaKaRa qPCR Probe (10 μM) | 0.5 |
血液サンプル(Zika virusを含む) | 1 |
RNase Free H2O | 10 |
合計 | 25 |
リアルタイムRT-PCR反応
90℃ 3 min
56℃ 5 min
95℃ 5 sec
56℃ 30 sec
40 Cycles
結果と考察:全血原液(EDTA血)では検出阻害を生じ、ジカウイルスの直接検出が困難であったが、その10倍希釈液では可能であった。
b.全血中のジカウイルス(検出感度)
試料:全血(EDTA血)の10倍希釈液(生理食塩水)に、NATtrol Zika Virusを2×10-2~103 copies/μlの濃度でスパイクしたサンプルを調製し、各1 μlを使用した。
プライマー/プローブ検出領域: Polyprotein遺伝子(ROX標識)
リアルタイムPCR反応液の調製
コンポーネント | 液量(μl) |
PrimeDirect Probe RT-qPCR Mix, with UNG (2×) | 12.5 |
Forward Primer (10 μM) | 0.5 |
Reverse Primer (10 μM) | 0.5 |
TaKaRa qPCR Probe (10 μM) | 0.5 |
血液サンプル(Zika virusを含む) | 1 |
RNase Free H2O | 10 |
合計 | 25 |
リアルタイムRT-PCR反応
90℃ 3 min
56℃ 5 min
95℃ 5 sec
56℃ 30 sec
40 Cycles
結果と考察: 血液成分による検出阻害はなお見られたものの、全血10倍希釈液中のジカウイルス2コピー以上を検出することができた。このことは、全血原液1 μl中に20コピー程度のジカウイルスが存在すれば、検出可能であることを示唆した。
製品情報
PrimeDirect® Probe RT-qPCR Mix