CAR(キメラ抗原受容体)遺伝子治療は、細胞表面に発現しているがん抗原を特異的に認識するCAR遺伝子を、患者由来のリンパ球(T細胞)に導入し、再び生体内へ輸注するがん治療法です。
CAR遺伝子の導入には通常、恒常的な発現を期待してゲノムへ挿入されるウイルスベクターを使用しますが、複数候補のCAR遺伝子の機能評価を行うようなケースでは、複数種類のウイルスベクターを準備する必要があり、探索の初期段階においては煩雑な作業となるケースがあります。今回、
in vitro transcription(IVT)にて作製したCAR mRNAをT細胞に導入することで、一過的にCAR-T細胞を作製し(mRNA CAR-T細胞)、その機能評価を実施した事例を紹介します。mRNA導入には、米国MaxCyte社が開発したエレクトロポレーション装置『ExPERTシステム』を使用しました。
タカラバイオでは、ラボレベルでの高収量mRNA作製に適した一連の試薬群を取り揃えています。より大スケールでのmRNA製造が必要なお客様向けには、受託製造・品質試験サービスも展開しています。また、MaxCyte ATxエレクトロポレーターを用いた細胞加工サービス(遺伝子導入細胞作製、ゲノム編集細胞作製など)にも対応していますので、お気軽にご相談ください。