PrimeSTAR® LongSeq DNA Polymerase
PrimeSTAR® LongSeq DNA Polymeraseを用いる場合のプライマー設計
PrimeSTAR LongSeq DNA Polymeraseの特性:
PrimeSTAR LongSeq DNA Polymerase(製品コード R055S/A/B)は非常に高い特異性を持ち、プライマーのTm値が70℃以上であることが必要です。一般的なPCR酵素よりも高いTm値が求められるため、既存のプライマーが十分に高いTm値でない場合、良好な増幅が得られない可能性があります。そのため、プライマーの5’末端側を伸長し、プライマー長を長くすることでTm値を高くすることが推奨されます。
以下のように、「プライマー推奨設計方法」を基に検証を行いました。
プライマー推奨設計方法:
- 35 mer程度(Tm値>70℃)を強く推奨
- Tm値が70℃以下の場合、3 Step PCRにしてアニーリング温度をTm値より5℃以上下げる
- マルチプレックスPCRではプライマーのTm値を合わせる
- 低いTm値のプライマーでは増幅が得られない可能性があるため、70℃以上、可能な限り74℃以上のTm値のプライマーを使用することを推奨
- 3’末端塩基にホスホチオエート修飾塩基を使用することで、良好な増幅が得られることがある
検証内容:
- プライマー:Tm値の低いプライマーの5’末端側を伸長し、Tm値44~77℃のプライマーを設計(図1)
- PCR条件:2 Step PCRまたは3 Step PCR(アニーリング温度はそれぞれ68℃および57℃)(図2)
- 鋳型:ヒトゲノムDNA(100 ng/50 μl反応系)
- ターゲット:β-globin 24 kb
- PCR装置:Clontech PCR Thermal Cycler GP(製品コード WN400)を使用
結果:
2 Step PCRではアニーリング温度を68℃に設定し、Tm値が69℃以上のプライマーを使用した場合に特異的な24 kbの長鎖増幅が確認されました。3 Step PCRにおいて、短いプライマーでは24 kbの長鎖増幅は確認できなかったものの、アニーリング温度を57℃に設定し、Tm値が62℃以上のプライマーを使用した場合に特異的な24 kbの長鎖増幅が確認されました。(図2)
図1.プライマー配列とTm値
図2.PCR条件と結果
PrimeSTAR® LongSeq DNA Polymerase