phi29 DNA Polymerase

phi29 DNA PolymeraseによるIVT鋳型増幅

【目的】
製造におけるIVT鋳型の調製は主に大腸菌による増幅であり、短時間で大量にIVT鋳型を得ることができない。
phi29 DNA Polymeraseを用いることで短時間で大量にIVT鋳型を得ることを目的とした。

【方法】
phi29 DNA Polymeraseを用い、FLuc BspQ I vector(環状)5 ngを鋳型として20 μl反応系にて30℃で16時間増幅反応を行った。プライマーは、random primer(3‘ Phosphorothioate-modified Random Hexamer(製品コード 3807))またはホスホロチオエート修飾により3’末端を保護したspecific primerまたは未修飾specific primerを用った(反応詳細は図1参照)。
反応後のサンプルを精製したのちBspQ I処理し、得たサンプルそれぞれを鋳型としてTakara IVTpro T7 mRNA Synthesis Kit (low dsRNA)(製品コード 6134)またはTakara IVTpro T7 mRNA Synthesis Kit(製品コード 6144)を用いて、IVT反応を行った。同時に、ポジティブコントロールとして、直線化したFLuc BspQ I vectorを鋳型としたIVT反応も行った。
反応後の各サンプルについて、mRNA収量の測定と、アガロースゲル電気泳動を行った。

鋳型使用したプライマー
IVT鋳型-1random primer
IVT鋳型-2ホスホロチオエート修飾により3’末端を保護したspecific primer
IVT鋳型-3未修飾specific primer
phi29 DNA Polymeraseのエキソヌクレアーゼ活性による分解を保護する目的

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ReagentStock Conc.Final Conc.1 rxn
Nuclease-free water9 μl
10× phi29 Buffer10×2 μl
pVAX1 P1 (ホスホロチオエート修飾or未修飾)100 μM5 μM1 μl
Poly(A) Primer R (ホスホロチオエート修飾or未修飾)100 μM5 μM1 μl
dNTP mix10 mM each2 mM4 μl
FLuc BspQ I vector(環状)5 ng/rxn2 μl
Total volume19 μl
 ↓
95℃ 5 min、氷冷2 min
 ↓
1 μl phi29 DNA Polymerase(10 U/μl)
 ↓
30℃ 16 h
 ↓
精製
図1.phi29 DNA Polymeraseを用いたIVT鋳型作製の手順

【結果】
phi29 DNA Polymeraseを用いて作製したIVT鋳型のmRNA
図2.phi29 DNA Polymeraseを用いて作製したIVT鋳型のmRNA
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表1. phi29 DNA Polymeraseを用いて作製したIVT鋳型のmRNA収量
IVTキットCleanCap
(mM)
IVT鋳型Avg.mRNA
収量(μg)
61344 mMFLuc BspQ I vector197.04
IVT鋳型-1193.53
IVT鋳型-2178.66
IVT鋳型-3184.06
61448 mMFLuc BspQ I vector206.08
IVT鋳型-1198.37
IVT鋳型-2194.86
IVT鋳型-3199.18
どのIVT鋳型を用いた場合も、ポジティブコントロールと同等の収量と品質のmRNAが得られることが示された。
ただし、特異的プライマーを使用する場合は、phi29 DNA Polymeraseの3’-5’エキソヌクレアーゼ活性によりプライマーが分解され、IVT鋳型の増幅が妨げられる可能性がある。そのため、3’末端が保護修飾されたプライマーの使用を推奨する。

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