コメ判別用PCR Kit II

(2)判別

検体がコシヒカリの場合、約0.8 kb、約1.2 kb、約1.6 kb、約1.8 kbの大きさのPCR増幅産物がいずれも得られない。しかし、鋳型DNAが存在しない、あるいは阻害物等によってPCR反応が進行しない場合にも、PCR増幅産物が得られないという結果になるため、コシヒカリと誤判定する恐れがある。
従って、確実な判定結果を得るには、必ず下記のようなコントロール実験を行う必要がある。

<コントロール実験例(増幅物が得られなかった鋳型DNAの検定)>

本キットに用いたものと等量の検体鋳型DNAを、弊社製コメ判別用PCRキット I(製品コード RR211A)を用いて検査する。電気泳動の結果、コシヒカリのパターンを示せば、検体中に鋳型DNAは確かに存在し、PCRを阻害する物質は含まれていなかったことが証明される。

<コントロール実験例(キット内容の検定)>

品種が既知で、本キットで増幅産物が得られるサンプル(例:あきたこまち、きらら397など。表<コシヒカリ以外の48品種>参照)をPositive Controlとして用い、検体と同時にDNA抽出処理~本キットによるPCRを行って妥当な増幅産物が確認されれば、本キットの内容物(酵素・バッファー類)は正常に働いていると判断できる。また、検体DNAの溶解に用いた溶液(1/10 TEなど)をNo Template Controlとして本キットによるPCRを行い、増幅産物が検出されなければ、PCR反応液にコンタミネーションがないことが確認できる。 電気泳動パターンは下記を参照。


図 アガロース電気泳動例(2% Agarose、1×TAE buffer)

M1
M2
M3
1
2
3
4
5
6

:φX174-Hae III digest(100 ng/lane)
:DNA Marker Solution(10 μl/lane)
:pHY Marker(100 ng/lane)
:No Template Control(1/10 TE)
:コシヒカリ
:米検体A
:米検体B
:米検体C
:米検体D

* DNA Marker Solutionを構成する4つのフラグメントDNAが、本キットで使用している4種のプライマー対で得られる増幅産物の大きさを表す。
* 図では、約1.6 kbと約1.8 kbの増幅産物を分離するために、Loading Bufferの色素がウェルより約5 cm移動するまで泳動している。

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