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コールドショックベクターによる発現実施例

T7プロモーターによる発現系では発現量や可溶性度に問題があった遺伝子について、コールドショックベクターで発現を試みた例を以下に示す。なお、コールドショック発現ベクターはpCold I DNA(製品コード 3361)を用い、発現用宿主は大腸菌BL21株を使用した。T7プロモーターによる発現は、常法通りIPTGを添加後37℃で培養して行った。
(1) 発現が可能となった遺伝子の例
ヒト遺伝子A(推定分子量31 kDa)はT7発現系では発現が認められなかったが、コールドショック発現系では発現が確認された(図1)。
図1 ヒト遺伝子Aの発現
図1 ヒト遺伝子Aの発現


(2) 発現量が増大した遺伝子の例
好熱菌遺伝子B(推定分子量30 kDa)では、T7発現系と比較して可溶性度が向上すると同時に発現量も増大した(図2)。
図2 好熱菌遺伝子Bの発現
図2 好熱菌遺伝子Bの発現


(3) 可溶性発現量が増大した遺伝子の例
ヒト遺伝子C(推定分子量80 kDa)は、T7発現系では大部分が不溶性発現となる。一方、コールドショック発現系では可溶性画分の発現量が顕著に増加した(図3)。
図3 ヒト遺伝子Cの発現
図3 ヒト遺伝子Cの発現


(4) パルスラベル実験による比較試験
ヒト遺伝子D(推定分子量12 kDa)をパルスラベルにより標識し、両発現系を比較した(図4)。T7発現系では目的タンパク質以外の大腸菌タンパク質も標識されるが、コールドショック発現系では標識タンパク質の大部分は目的遺伝子の発現産物であり、目的遺伝子が特異的に発現誘導されていることがわかる。
図4 ヒト遺伝子Dのパルスラベル
図4 ヒト遺伝子Dのパルスラベル

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