タンパク質発現

無細胞タンパク質合成システム:ヒト細胞株由来の系とウサギ網状赤血球由来の系で合成レベルを比較

◆ヒト細胞株由来無細胞タンパク質合成システム


Human Cell-Free Protein Expression System(製品コード 3281)



本システムのCell Lysateにはin vitroでのタンパク質合成反応に必要な各種因子(リボソーム、翻訳開始・伸長因子、tRNA等)が含まれている。このCell Lysateに、キット添付のT7 RNA Polymerase、Mixture-3(ATP等やアミノ酸類)、Mixture-2(翻訳増強因子)などと、目的遺伝子をクローニングしたpT7-IRES Vectorを添加するだけの簡便なプロトコールで、速やかに目的タンパク質の翻訳を開始することができる。
本システムでは目的遺伝子からの転写反応と翻訳反応が同一チューブ内で行われるため、2ステップ反応系で懸念されるmRNAの分解を最小限に抑えることができる。また、一般的なウサギ網状赤血球系を用いた無細胞タンパク質合成システムよりも合成効率が高く、合成収量の増加が期待でき(実験例1)、150~200 kDaの高分子量タンパク質の合成にも利用できる(実験例2)。


実験例1:ウサギ網状赤血球系無細胞タンパク質合成システムとβ-ガラクトシダーゼ合成レベルを比較
・Human Cell-Free Protein Expression System(製品コード 3281)
・市販のウサギ網状赤血球系無細胞タンパク質合成システム
それぞれのプロトコールに従ってβ-ガラクトシダーゼ合成反応を行い、化学発光基質を用いてβ-ガラクトシダーゼ活性を測定した。その結果から、ウサギ網状赤血球系を用いた無細胞タンパク質合成系に比べ、ヒト細胞株由来の本システムでは非常に高いレベルでタンパク質合成が行われることが確認できた。



実験例2:Human Cell-Free Protein Expression Systemを用いた高分子量タンパク質(170 kDa, 200 kDa)の発現
本システムを用いて高分子量タンパク質の合成反応を行った。SDS-PAGE~CBB染色にて目的タンパク質の検出を行ったところ、目的サイズ(170 kDa, 200 kDa)のタンパク質を検出することができた。

Lane 1:Negative Control
Lane 2:Human Dicer(200 kDa)
Lane 3:Human eIF4G(170 kDa)