ThruPLEX® DNA-Seq Kit

【ユーザー様実施例】 ThruPLEX DNA-Seq Kitを使用した出芽酵母のDMS-Seq解析

データご提供:理化学研究所 生命医科学研究センター マイクロバイオーム研究チーム 梅山大地様


■実験の背景・目的
ゲノムの働き方を包括的に理解するためには、ゲノムDNAのどこに転写因子やヒストンなどのタンパク質が結合しているかを網羅的に明らかにする必要がある。これまで用いられてきたゲノムフットプリンティングというアプローチでは、細胞から単離した核に対してDNA分解酵素を働かせる方法などが用いられてきた。しかし、それらの方法は操作が難しく、核を単離する過程でタンパク質とDNAの相互作用が変化あるいは消失する危険性があった。そこで、我々は細胞膜透過性のDNAメチル化試薬であるジメチル硫酸(DMS)に着目し、新規のインビボフットプリント法であるDMS-Seq法の開発に取り組んでいる。プロトコールのさらなる高度化を目指して、タカラバイオ社のThruPLEX DNA-Seq Kitを用いたライブラリー化を行った。

■使用製品
製 品 名容 量製品コード
SMARTer ThruPLEX DNA-Seq Kit24回R400674

■実験ワークフロー
出芽酵母の培養液を集菌し、108~109の細胞懸濁液1 mlを2 mlチューブに分注

30 μl DMSを加え、室温で2分インキュベート

800 μlのin vivo STOP bufferを加え反応を停止し、細胞をwash bufferで2回洗浄

Zymolyase処理とProK/SDS処理で細胞を溶菌し、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿

RNaseA処理、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿

12.5 μl超純水で復水し、50 ng DMS処理DNAを分取し、Putrescine/APE1処理

ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いたNGSライブラリー化

MiSeqで75 bpペアエンドシーケンス

Bowtie2でSaccharomyces cerevisiae S288C(R64-1-1)にマッピング

ワークフローの詳細は下記文献を参照ください。
Umeyama, T. et al. DMS-Seq for In Vivo Genome-wide Mapping of Protein-DNA Interactions and Nucleosome Centers. Cell Rep. 22, 289-300 (2017)

■実験データ
  • 検出された断片長の従来法との比較
    検出された断片長の従来法との比較
    ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いることで従来よりも短い断片を含むライブラリーが調製できた。

  • IGVによるピーク検出の比較
    IGVによるピーク検出の比較
    マッピングの結果、ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いることで、従来観察されなかったシャープなピークが周期的に表れる領域を見出すことができた。

■今回の実験結果を受けてのコメント
ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いることで、従来見過ごしていた小さなフラグメントのシーケンスを得ることができるようになり、これまでよりも網羅性の高い解析を行うことが可能となった。

■ThruPLEX DNA-Seq Kitを使ったことがない方へのコメント
簡便な操作でライブラリーを作製することができ、チューブも色分けされていてわかりやすい構成になっているため、ライブラリー作製に慣れていない方にもお勧めします。

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