製品説明
本酵素は、5’-P末端のオリゴヌクレオチドと、3’-OH末端のオリゴヌクレオチドを結合させる酵素である。補酵素としてATPを要求する。分子内ライゲーションによる環化反応、分子間ライゲーションともに起こる。
最小基質はNpNpNOH(3’-OHオリゴマー、受容体)、pNp(5’、3’DPモノマー、供与体)である。ライゲーション効率は受容体、供与体それぞれの塩基に大きく影響される。DNAはRNAよりもかなり効率が悪い。
保存
-20℃
濃度
40 U/μl
形状
20 mM | Tris-HCl(pH7.5) |
50 mM | NaCl |
1 mM |
DTT |
0.1 mM | EDTA |
50% | グリセロール |
添付Buffer組成(10×)
500 mM | Tris-HCl(pH7.5) |
100 mM | MgCl2 |
100 mM | DTT |
10 mM | ATP |
0.1% | BSA[別添付]* |
* BSAが沈殿する恐れがあるので、凍結・融解はできるだけ避ける。
活性の定義
Oligo(A)nを基質として、5℃、10分間に1 pmolの[5'-32P]pCpを酸不溶性沈殿物に取り込む酵素活性を1 Uとする(RNA 3'末端標識反応)。
活性測定用反応液組成
50 mM | HEPES-NaOH緩衝液(pH7.5) |
20 mM | MgCl2 |
3.3 mM | DTT |
6 μM | ATP |
0.001% | ウシ血清アルブミン |
10% | DMSO |
1.2 μM | 3'-OH RNA |
2.4 μM | [5'-32P]pCp |
品質管理データ
使用上の注意
- 分子間ライゲーションの至適反応温度は5~15℃で、それ以上では抑制される。
- PEG共存下で反応は促進されるが、反応特異性に変化はない。
- 10×添付Bufferに0.1%ウシ血清アルブミンを直接加えると多量の白沈が生じるので、反応液を調製する際は次の順番で試薬を加える。
滅菌精製水→10×添付Buffer→0.1%BSA→基質RNA or DNA
用途
- 一本鎖RNAおよび一本鎖DNAの3’-OH末端の標識
- 一本鎖oligo RNA、一本鎖oligo DNAの連結
起源
Escherichia coli carrying the plasmid encoding T4 RNA ligase gene
一般的性質
- 分子量
約47,000
- サブユニット
シングルポリペプチドからなる球状タンパク質
- 至適pH
pH7.2~8.4、(分子間反応)HEPES-NaOH Buffer
受容体がDNAオリゴマーの場合 |
pH8.3(ATP生成系なし) |
pH7.9(ATP生成系あり) |
- 補因子
ATP(必須であるが1 mM以上で阻害、ATP:供与体=3:1程度がよい)
dATPを用いると20%の効率しかない。他のNTPは代用にならない。
- 活性化剤
二価カチオン |
Mg2+(至適濃度:20 mM) |
受容体がDNAの場合はATP再成系に必要なMn2+の方がよい。 |
DMSO |
10~20%(40% DMSOでも活性あり) |
pCpを用いたRNAの末端ラベルで10% DMSOは2~3倍の活性化効果がある |
DNAオリゴマーへのpdNpの付加には効果がないが、10% DMSOで一本鎖 |
DNAオリゴマーの連結は促進される。 |
ヘキサアミンコバルトクロリド(HCC)
- 還元剤
DTT(1~20 mM、33 mM DTTでも阻害されない)
- 阻害剤
PPi、Pi、NH4+(基質を脱塩すると効率が上がることがある)
参考
Yeast tRNAphe基質としたとき、上記反応液中で50 Uの本酵素を5℃で16時間作用させると、80%以上のtRNApheの3'末端が標識される。