主要なAlkaline Phosphataseである大腸菌由来の酵素(BAP)と仔牛小腸由来の酵素(Calf Intestinal Alkaline Phosphatase、CIAP)について、両者の特性比較を下表に示します。
表1 BAPとCIAPの特性比較
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BAP |
CIAP |
分子量 |
約80,000 |
約100,000 |
サブユニット |
2 |
2 |
金属イオン |
Zn2+ |
Zn2+ |
糖鎖 |
なし |
ある |
至適pH (測定条件) |
8.0 (1 M Tris-HCI, 1 mM pNPP) |
9.8 (1 M diethanolamine, 15 mM pNPP) |
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Tris濃度の影響 *1 1 M |
100% |
100% |
0.1 M |
35% |
25% |
0.01 M |
21% |
14% |
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温度の影響 *2 25℃ |
100% |
100% |
37℃ |
140% |
135% |
50℃ |
222% |
139% |
56℃ |
282% |
182% |
65℃ |
412% |
129% *3 |
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熱安定性(65℃) |
active |
30分で失活 |
pNPP:
p-nitrophenyl phosphate
*1 各々の酵素活性測定条件(後述の各製品説明の項参照)を100%としたときのTris濃度の影響を調べている。
*2 添付Buffer条件下、10分間反応時の活性の影響を調べている。
*3 反応時間中に失活
上記のように、BAP、CIAPは熱安定性が差があるため、失活条件が異なります。BAPは非常に安定性の高い酵素であり、反応終了後少なくとも2回フェノール処理を行う必要があります。CIAPは、キレート剤存在下65℃、30分の熱処理で99%以上の活性が不可逆的に失活しますが、使用条件によっては不充分な場合もあるため、完全に失活させるためにはフェノール処理を行ってください。
平滑末端や5'陥没末端の脱リン酸化は一般的に効率が低いため、BAPを用いた高温(55~60℃)での脱リン酸化反応を推奨します。