Marathon-Ready cDNAは高品質なPremium Poly A
+ RNAから作製したcDNAであり、Marathon Adaptorが連結されているため、そのまま5’-RACEと3’-RACE PCRに使用可能である(1)。各種Marathon-Ready cDNAは組織特異的な二本鎖cDNAのプールとして作製済みであり、遺伝子特異的プライマーをセットにして用いることにより、全長の各種遺伝子を増幅することができる。また、組織特異的な遺伝子発現の研究、mRNAの多型性の検出、多重遺伝子ファミリーに属するmRNAの検討にも使用可能である。
Marathon-Ready cDNAは、3’側の不均一性を排除し、全長cDNAを作製するために最適化した方法を用いて、Premium RNAから合成する(2、3)。合成後に平滑末端を形成させ、二本鎖cDNAの両端にMarathon Adaptorを連結している。
各Marathon-Ready cDNAには、30反応分のcDNA(濃度~0.1 ng/ μl)、アダプタープライマー、nested用アダプタープライマー、5’と3’のG3PDHコントロールプライマーが含まれている。Marathon-Ready cDNAを用いて5’-および3’-RACEを行う際は、目的遺伝子の遺伝子特異的プライマーとPCR用のポリメラーゼミックスを別途用意する。ポリメラーゼには、Advantage 2 Polymerase Mixの使用をお勧めする。
図1. end-to-end 増幅によるアダプターライゲート済みds cDNAからの全長cDNAの作製
以下に示すプライマーを用いて、各鋳型からRACE PCRによる増幅を行った。レーン1~3にはHuman Placenta Marathon-Ready cDNA(#639311)、レーン4, 5にはHuman Skeletal Muscle Marathon-Ready cDNA(#639313)を鋳型として用いた。
レーン1:TFR cDNAの5’-RACE産物
レーン2:TFR cDNAの3’-RACE産物
レーン3:5’および3’の両TFRプライマーを用いたend-to-end増幅で作製した全長TFR cDNA(5.1 kb)
レーン4:5’および3’の両IGFR 2プライマーで増幅した、ほぼ全長のIGFR2 cDNA(8.8 kb)
レーン5:5’および3’の両IGFRプライマーで増幅した、全長のIGFR1 cDNA(5.0 kb)
レーンM:1 kb DNAラダー
図2. G3PDHプライマーを用いてヒト、マウス、ラットのHeart Marathon-Ready cDNAから増幅したMarathon RACE産物
RACE PCRにはAP1プライマーおよびポジティブコントロールであるG3PDHプライマーを用いた。鋳型には、Human Heart(#639304)、Mouse Heart(#639409)、Rat Heart(#639416)の各Marathon-Ready cDNAsを用いた。
レーンM:1 kb DNAラダー