製品説明
骨芽細胞のマーカー酵素であるアルカリ性ホスファターゼと破骨細胞の酵素マーカーである酒石酸耐性酸性ホスファターゼの発色性基質に加え、破骨細胞の多核化を可視化するための核染色試薬をセットにした骨関連細胞染色キットである。
骨代謝は骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収の相互バランスで成り立っているので、2つのマーカー酵素を同時に検出することにより、骨関連細胞の分化や、骨組織における分布を調べることが可能である。
これまで血液や細胞サンプル中の酸性およびアルカリ性ホスファターゼの酵素活性をそれぞれ試験管内で測定するキットは数多く市販されているが、本キットは、細胞中の酸性およびアルカリ性ホスファターゼ両方の活性を同時に染色比較できることが特長である。基質はプレミックスとなっているため、試薬調製も非常に簡便である。
内容
1. |
細胞固定基礎液 *使用前にアセトンおよびエタノールの添加が必要です。 |
13.5 ml |
2. |
酒石酸ナトリウム緩衝液 |
4 ml |
3. |
酸性ホスファターゼプレミックス基質 (NABP/FRVLB) |
10 ml用×3 |
4. |
アルカリ性ホスファターゼプレミックス基質 (BCIP/NBT) |
10 ml用×3錠 |
5. |
核染色試薬 メチルグリーン |
10 ml |
保存
-20℃
開封後はそれぞれの試薬に適切な温度で保存すること
キット以外に必要な試薬
・アセトン
・エタノール
※いずれも一般試薬グレードで可
染色原理
1)酸性ホスファターゼ活性染色の原理
Naphthol-AS-BI-phosphate
↓ 酸性ホスファターゼ
HPO42-+naphthol-AS
↓ Fast Red Violet LB(ジアゾニウム塩)
アゾ色素(赤紫)(pH 5.2)
2)アルカリ性ホスファターゼ活性染色の原理
Bromo-Chloro-Indolyl phosphate
↓ アルカリ性ホスファターゼ
HPO42-+ Br-Cl-Indol
↓ Nitro Blue Tetrazolium Chloride
ホルマザン色素(青紫)(pH 9.5)
特長
- 試薬の調製が簡単である。
- 各酵素活性の単独染色および二重染色ができる。
- 細胞固定基礎液および核染色用の試薬も含まれている。
染色原理の説明
1) 酒石酸耐性および感受性酸性ホスファターゼ活性染色
マイクロプレートのウェルやスライド上に固定した細胞をサンプルとして用いる。2つの同じ由来のサンプルを用意し、酒石酸を添加しないプレミックス基質液(NABP/FRVLB)を一方に、酒石酸を添加したプレミックス基質液を他方に加えて反応を行う。前者の場合は酒石酸耐性と感受性のトータルの酸性ホスファターゼ活性が検出され、後者の場合は酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRACP)活性が検出される。酒石酸感受性酸性ホスファターゼ(TSACP)活性は両者の比較により知ることができる。それぞれの場合において、検出対象の酵素が存在すると、プレミックス基質液中に含まれる成分によって反応が起こり、赤紫色のアゾ色素が生成する。
破骨細胞と血液中のhairy cellはTRACP活性をもっているので、酒石酸を添加した場合と添加しない場合の両方で赤紫色の色素が生成する。
2) アルカリ性ホスファターゼ活性染色
プレミックス基質液(BCIP/NBT)をサンプルに添加して反応を行う。アルカリ性ホスファターゼ(ALP)が存在すると、プレミックス基質液中に含まれる成分によって反応が起こり、青紫色の色素が生成する。
骨関連細胞では、アルカリ性ホスファターゼ活性をもつ骨芽細胞が青紫色に染色される。