製品説明
Agrobacterium tumefaciens(Rhizobium radiobactor)は、自身の持つTiプラスミドの一部であるT-DNA(transfer DNA)を宿主植物の細胞内に移行させ、植物染色体DNAに挿入した後にT-DNA上の遺伝子を発現させることにより、感染部位にクラウンゴール(Crown gall)を形成させる。この仕組みを利用して、T-DNA上の病原性遺伝子を取り除き、選択マーカー遺伝子とともに目的外来遺伝子に置き換えることにより、宿主植物の細胞、核DNAに外来遺伝子を移行させ(Agrobacterium-mediated gene transfer)、植物を形質転換するバイナリーベクター法が考え出された1)。
Agrobacterium tumefaciens LBA4404株はバイナリーベクター法の開発者であるオランダのライデン大学の P. J.J.Hooykaas教授らが開発した菌株2)で、T-DNAのvir領域(T-DNAの切り出しから移行に関わる遺伝子が存在)のみを含むプラスミドpAL4404を保有しており、植物の形質転換での多くの使用実績がある。
本製品は、バイナリーベクター法に使用されるベクターDNAを菌体内に導入するためのエレクトロポレーション法3)用のコンピテントセルとして調製されており、得られた形質転換A. tumefaciensは様々な植物の感染実験(形質転換実験)に使用できる。
内容
Agrobacterium tumefaciens LBA4404 Electro-Cells | 40 μl×5 |
pRI 900 DNA*1(1 ng/μl) | 10 μl |
SOC Medium*2 | 1 ml×10 |
*1 pRI 900 DNA:pRI 910 DNA(製品コード 3261)からマルチクローニングサイトを除いたプラスミドDNAである。
*2 SOC Mediumの組成:
2% | Tryptone |
0.5% | Yeast extract |
10 mM | NaCl |
2.5 mM | KCl |
10 mM | MgSO4 |
10 mM | MgCl2 |
20 mM | Glucose |
【ご注意】
SOC Mediumを溶かした際に、稀に沈殿が生じる場合がありますが、品質には全く問題ありません。
沈殿が生じた場合は、室温で混ぜるかもしくは37℃で数分間温めて沈殿を溶かしてご使用ください。
保存
-80℃
注意:保存は-80℃で行います。温度管理が不十分な場合、形質転換効率が低下することがあります。そのような事態が予想される場合は、付属のpRI 900 DNAを用いて形質転換効率を確認の上、使用してください。
液体窒素では保存しないでください。
形質転換効率
使用方法に従って、1 ngのpRI 900 DNAで形質転換し、カナマイシンおよびストレプトマイシンを含むプレートでコロニーを選別した。
この時、>5×106 colonies/μg・pRI 900 DNAの効率を得た。