製品説明
リステリア菌はグラム陽性、鞭毛を持つ無芽胞の短桿菌(0.4~0.5×0.5~2.0 μm)である。分類学的にはListeria属で、この属には8菌種がある。これらの中でヒトリステリア症の病原菌はリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)1菌種と報告されており、発熱、頭痛をともなった髄膜炎や敗血症、心内膜炎、肺炎などの多発性膿瘍を引き起こす。
1980年以降、食品を媒介とする集団食中毒の原因菌であったことから、食中毒病原菌として注目されるようになった。
本キットはListeria monocytogenesが細胞内に侵入するときに関与する分子Internalin A(inlA)をコードする遺伝子配列領域をターゲットとし、リアルタイムPCRによる検出を行うためのキットである。
本キットの増幅にはHot Start PCR用酵素、TaKaRa Ex Taq Hot Start Versionを使用している。
また、増幅産物の検出にはサイクリングプローブ法を採用している。サイクリングプローブ法は、RNAとDNAからなるキメラプローブとRNase Hの組み合わせによる高感度な検出方法で、増幅中や増幅後の遺伝子断片の特定配列を効率良く検出することができる。
プローブは片方の端が蛍光物質で、もう片方の端がその蛍光物質の発する蛍光を消光する物質(クエンチャー)で標識されている。このプローブは、インタクトな状態では、クエンチングにより蛍光を発することはないが、配列が相補的な増幅産物とハイブリッドを形成した後にRNase HによりRNA 部分で切断されることにより、強い蛍光を発するようになる。この蛍光強度を測定することで、増幅産物量をモニターすることができる。
本キットには、細胞侵入関連分子をコードするinlA遺伝子を検出するための FAM標識プローブと、インターナルコントロールとインターナルコントロール検出用のROX標識プローブが含まれている。二波長を同時にモニタリングすることで、一本のチューブでinlA遺伝子の検出とインターナルコントロールの検出による偽陰性のモニターが可能である。リアルタイム検出なので、電気泳動が不要であり、迅速に結果が得られる。
本キットの開発には、東京海洋大学 木村凡先生、高橋肇先生にご協力いただきました。
内容
● | 1. | 2×Cycleave Reaction Mixture | 2×conc. | 625 μl |
● | 2. | INL A Primer/Probe Mix(FAM, ROX)* | 5×conc. | 250 μl |
○ | 3. | dH2O | | 1 ml |
● | 4. | INL A Positive Control | | 150 μl |
* 蛍光標識プローブを含んでいますので、遮光に留意してください。
保存
-20℃
キット以外に必要な試薬、機器(主なもの)
- 【機器】
- ・リアルタイムPCR装置および専用チューブ
Thermal Cycler Dice Real Time System II(製品コード TP900/TP960:終売)
Applied Biosystems 7500 Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)など
- ・ヒートブロック(95℃まで温度を上げられるもの)
- 【その他】
- ・200 μl、20 μl、10 μl各マイクロピペット
- ・マイクロピペット用チップ(疎水性フィルター付)
- ・卓上遠心器
- ・微量高速遠心機(4℃設定可能)
補足資料