製品説明
カンピロバクターによる食中毒の発生件数は年々増加の傾向にあり、主要な食中毒原因菌のひとつとして注目されている。カンピロバクターが引き起こす主たる症状は腸炎であるが、その原因菌の約90%がCampylobacter jejuniであり、数%がCampylobacter coliであると言われている。
本キットは、カンピロバクター属菌が保有するCytolethal distending toxin遺伝子(cdt genes)のCサブユニット遺伝子(cdtC gene)をターゲットとして、C. jejuni、C. coliの2菌種をリアルタイムPCR装置を用いて検出および同定するためのキットである。
本キットの増幅にはHot Start PCR用酵素、TaKaRa Ex Taq HSを使用し、増幅産物の検出にはサイクリングプローブ法を採用している。サイクリングプローブ法はRNAとDNAからなるキメラプローブとRNase Hの組み合わせによる高感度な検出方法で、増幅中や増幅後の遺伝子断片の特定配列を効率良く検出することができる。プローブは片方の端が蛍光物質で、もう片方の端がその蛍光物質の発する蛍光を消光する物質(クエンチャー)で標識されている。このプローブは、インタクトな状態ではクエンチングにより蛍光を発することはないが、配列が相補的な増幅産物とハイブリッドを形成した後にRNase HによりRNA部分で切断されることにより、強い蛍光を発するようになる。この蛍光強度を測定することで、増幅産物量をモニターすることができる。
本キットには、C. jejuni検出系として、C. jejuniのcdtC geneを検出するためのFAM標識プローブと、インターナルコントロールDNAとインターナルコントロール検出用のROX標識プローブが含まれ、C. coli検出系として、C. coliのcdtC geneを検出するためのFAM標識プローブと、インターナルコントロールDNAとインターナルコントロール検出用のROX標識プローブが含まれている。FAMとROXの二波長を同時にモニタリングすることで、一本のチューブでC. jejuniのcdtC geneまたはC. coliのcdtC geneの検出と、インターナルコントロールDNAの検出による偽陰性のモニターが可能である。リアルタイム検出なので電気泳動が不要であり、迅速に結果が得られる。
なお、本キットではC. jejuniとC. coliのcdtC geneを検出・同定するために1サンプルに対してC. jejuni検出系とC. coli検出系の反応液をそれぞれ調製してリアルタイムPCRを行う。(注意:C. jejuni, C. coli検出用Primer/Probe Mix を混ぜて使うことはできない。)
本キットの製品化にあたりましては、大阪府立大学および扶桑薬品工業株式会社のご協力をいただきました。
内容
(25 μl反応、
C. jejuni,
C. coli各25回分)
● | 1. | 2×Cycleave Reaction Mixture | 625 μl |
| 2. | C. jejuni Primer/Probe Mix(FAM, ROX)* (5×) | 125 μl |
| 3. | C. coli Primer/Probe Mix(FAM, ROX)* (5×) | 125 μl |
○ | 4. | dH2O | 1 ml |
● | 5. | C. jejuni Positive Control | 50 μl (10回分) |
● | 6. | C. coli Positive Control | 50 μl (10回分) |
* 蛍光標識プローブを含んでいるので、遮光に留意すること。
保存
-20℃
キット以外に必要な試薬、機器(主なもの)
【機器】
- リアルタイムPCR装置および専用チューブ
Thermal Cycler Dice Real Time System II(製品コード TP900/TP960:終売)
Thermal Cycler Dice Real Time System Lite(製品コード TP700/TP760)
Applied Biosystems 7500 Fast Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)
- ヒートブロック(95℃まで温度を上げられるもの)
【その他】
- 1000 μl、200 μl、20 μl、10 μl 各マイクロピペット
- マイクロピペット用チップ(疎水性フィルター付き)
- 卓上遠心機
- 微量高速遠心機(4℃設定可能)
補足資料