ノロウイルス(NoV)は、急性胃腸炎の主要な原因ウイルスです。感染源は、感染者の排泄物(便あるいは吐物)やNoVを保有する二枚貝(カキなど)と推定されています。感染すると数日の潜伏期間後に、主に嘔吐、下痢、腹痛、発熱(37~38℃)などの症状が現れます。
NoVは、構造的に表面をカップ状の窪みをもつタンパク質で覆われ、内部にプラス一本鎖RNAの遺伝子を有しています。現在のところ、組織培養法などを用いたNoVの分離・検出は困難なため、RT-PCR法やリアルタイムPCR法などによってウイルスの検査診断が行われています。また、NoVはGenogroup I~Xの10の遺伝子群に分類され、ヒトの疾患には主にGenogroup I (GI)とII (GII)が関与することが示唆されています。
本製品では、NoVのGIとGIIを検出対象とし、それに加えてヒト腸内で優勢な菌種である
Bacteroides属の16S rRNAを内在性コントロール(Endogenous Control:EC)として検出します。これにより、ヒト糞便由来検体の添加有無を客観的に判別することが可能です。なお、NoVのGIとGIIの検出には、国立感染症研究所より発行された 「病原体検出マニュアル ノロウイルス (第1版)(令和元年6月)」に記載された配列のプライマーならびにプローブを使用しています。
【特長】
- プローブによるマルチプレックス検出を行います。1反応でGI遺伝子またはGII遺伝子と内在性コントロールを同時に検出し、内在性コントロールにより検体サンプルの添加有無を客観的に判別可能です。
- 内在性コントロールの検出対象には、ヒト腸管内で優勢なBacteroides属の16S rRNA領域を採用しています。
- リアルタイムPCRの所要時間は約50分で迅速に結果が得られます。
- Uracil-N-glycosylase(UNG)を採用しており、PCR産物のキャリーオーバーによる偽陽性を防止できます。
【検出対象とプローブ標識】
GI検出系
検出対象 |
プローブ標識 |
GI遺伝子 |
FAM(レポーター)/ダーククエンチャー |
内在性コントロール(EC) |
Cyanine5(レポーター)/ダーククエンチャー |
GII検出系
検出対象 |
プローブ標識 |
GII遺伝子 |
FAM(レポーター)/ダーククエンチャー |
内在性コントロール(EC) |
Cyanine5(レポーター)/ダーククエンチャー |
※GI遺伝子とGII遺伝子は異なる反応で検出します。
Norovirus (GI/GII) Typing Kit (Endogenous Control)(製品コード RC160A)
*1 逆転写反応用試薬です。
*2 反応に必要な酵素、基質等を含みます。
*3 病原体検出マニュアルと同じNoV検出用プライマー、プローブ配列を採用しています。
*4 遮光に留意してください。
*5 Thermo Fisher Scientific社のリアルタイムPCR装置など、ウェル間の蛍光シグナルの補正を行う装置で解析する場合に使用してください。
◆ ROX Reference Dye IIを添加する機種
- Applied Biosystems 7500 Fast Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)
- QuantStudio 5 Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)
◆ 添加の必要がない機種
- Thermal Cycler Dice Real Time System IV with PC(製品コード TP1010)
- Thermal Cycler Dice Real Time System III (Cy5) with PC(製品コード TP990)
- Thermal Cycler Dice Real Time System II(製品コード TP900/TP960:終売)
- Thermal Cycler Dice Real Time System Lite(製品コード TP700/TP760:終売)
- CFX96 Touch Deep Well Real-Time PCR Detection System(Bio-Rad社)
- LightCycler 96 System(Roche Diagnostics社)