NucleoMag NGS Clean-up and Size Selectは、NGSライブラリー作製において、1回または2回のサイズ分画によりDNA断片を精製すると同時に目的サイズのDNA断片を回収するためのキットである。本製品の磁性ビーズは、結合バッファーに懸濁されており、目的のDNA断片サイズに合わせて希釈率を調整して使用する。希釈率は一般的に使用される精製用のビーズを使用する場合と大きな違いはなく、NGSライブラリー調製キットのプロトコールに容易に組み込むことが可能である。
原理 |
磁性ビーズ法 |
形状 |
高反応性超常磁性ビーズ |
操作 |
手動または自動化装置 |
サンプル種 |
NGSライブラリーの作製途中の反応液 |
サンプル量 |
17.5 pg~5 μg |
サンプル液量 |
50~150 μl |
回収量 |
>80% |
溶出液量 |
10~100 μl |
図1.DNA断片のサイズ選択
より大きなサイズまたは小さいサイズのDNAのどちらかを除去するサイズ分画では、サンプルをあらかじめ定めた比率でビーズと混合する(混合比率とサイズ分画のだいたいの大きさは下図参照)。より大きなサイズと小さいサイズの断片をカットオフする、特定サイズ領域のみのDNA分画の場合は異なった混合比率での2回の結合ステップを含む精製を行う。
図2.さまざまなサイズ断片の回収率
DNAサイズ分画のため、各100 μl DNA溶液 (10 ng/μl)に図に示される比率(ratio=ビーズ:DNA)となるようにNucleoMag NGS Clean-up and Size Selectビーズを加えて精製を行い、各DNA断片の回収率を算出した。DNAは、100~1,000 bpサイズの混合物を使用した。
図3.両側サイズ選択
マウス組織由来のゲノムDNAを断片化後、違った比率のNucleoMag NGS Clean-up and Size Selectを使用してサイズ分画を行った。
緑:断片化DNAのサイズ分布
赤:ビーズ比率が0.4と0.6でのサイズ分画後のライブラリーサイズ分布(平均サイズ:460 bp)
青:ビーズ比率が0.55と0.8でのサイズ分画後のライブラリーサイズ分布(平均サイズ:340 bp)
図4.短鎖DNAの除去
100~1,000 bpサイズのDNA混合物をアダプターダイマー除去のプロトコールに従ってサイズ分画を行い精製した。100~200 bpの大きさのDNA断片が取り除かれていることが示された。
図5.NGSライブラリーからのサイズ分画
大腸菌DNAをサンプルに、TruSeq DNA PCR Free kit(Illumina社)を用いてNGS用のライブラリーを作製した。その際、DNA精製とサイズ分画は、A社磁性ビーズ(赤)、B社磁性ビーズ(青)、NucleoMag NGS Clean-up and Size Select(緑)を使用した。図Aは、精製前の断片化
E. coli DNA(1 μg)を示す。図Bは、ライブラリー調製後のDNA断片の分布を示す。
図6.サイズ分画後のシーケンス解析
図5で作製されたライブラリーを用いて実際に塩基配列解析を行い、各磁性ビーズ精製で塩基配列結果を比較した。塩基配列解析はTruSeq Rapid SBS Kit(Illumina社)を用いて、HiSeq2500で解析を行った。
A.得られた塩基配列を大腸菌ゲノムにマッピングを行い、各塩基の解析数(depth)を比較した。3つの磁性ビーズで、グラフの形状はほぼ一致しており、ゲノム全体で解析結果に差は見られなかった。
B.塩基配列解析のGC比率の影響を確認するため、横軸にGCの比率、縦軸に各ビーズ精製のライブラリー由来のread depthの比率をプロットした。3つの精製ビーズで、GCによるバイアスの違いは見られなかった。