BidはBcl-2ファミリーに属する22 kDaのアポトーシス誘導タンパク質である(1)。ApoAlert pDsRed2-Bid Vectorは赤色蛍光タンパク質DsRed2を融合したBidをコードしており、Bidの細胞内分布に影響を及ぼす刺激に反応する。Bid融合タンパク質は蛍光標識されているため、蛍光顕微鏡で直接観察することにより細胞内を移動するBid融合タンパク質を追跡することができる。
Bidは通常、細胞質内に存在しているが、アポトーシスが誘導されると直ちにミトコンドリアに移行し、アポトーシスカスケードの重要な増幅段階であるチトクロムcの放出を促進する(2)。pDsRed2-Bidを導入した細胞では、蛍光顕微鏡でこの変化を観察することができる(図1)。この細胞内発現レポーターは他の組換えベクターと共に導入して、他のタンパク質やタンパク質ドメインがBidの移動に及ぼす影響を調べることも可能である。
図1. pDsRed2-Bidを用いたBid活性化の観察
3T3細胞にpDsRed2-Bid(パネルA, B)を一過性に導入した。約24時間後にアポトーシス誘導剤として700 nMのスタウロスポリンを細胞に加え、37℃で3時間インキュベートした。その後、細胞を固定して適切な蛍光フィルターを備えたZeiss Axioskopを用いて検討した。未処理の細胞(パネルA)では、予想されるようにBidレポーター(Bid-DsRed2)が細胞質内に均一に分布している。誘導後(パネルB)には、レポーターがミトコンドリアの表面に移行して強い蛍光クラスターを形成しており、Bid経路が活性化されていることを明確に示している。