製品説明
pUC118/pUC119ベクターは、pUC18/pUC19内に、M13ファージDNAのintergenic region(IG)を挿入したプラスミドである。ヘルパーファージM13KO7の感染により、pUC118/pUC119は一本鎖DNAとなり、優先的にファージ粒子内に包みこまれ、菌体外に放出される。
このシステムを用いることで、大きなDNAフラグメントでも欠失が起こることなく、安定して一本鎖DNAが得られる。
なお、pUC118はpUC18と、pUC119はpUC19とそれぞれ全く同じクローニングサイトを持っており、IPTGとX-Galを含むプレートで外来DNAの挿入の有無を容易に判別できる。
制限酵素切断BAP処理済みpUC118は、マルチクローニングサイトで1ヵ所のみ切断する比較的使用頻度の高い制限酵素を用いてpUC118を消化し、大腸菌由来アルカリフォスファターゼ(BAP)により脱リン酸化を行ったクローニングベクターである。そのままでクローニングに使用することができ、ベクターだけのセルフライゲーションが防げ、形質転換細胞のブランク値を下げることができる。
pTV118Nは、pUC118と同様、一本鎖DNA調製が可能なプラスミドベクター(ファージミドベクター)であるが、外来遺伝子を直接発現可能にすべくpUC118を改変したものである。pTV118N上のlacZαの開始コドン(ATG) の位置にNco I切断配列(CCATGG)が導入してある。
このNco I 部位に外来遺伝子を挿入し、翻訳のフレームを合わせれば、lacプロモーター、lacZのSD配列およびその開始コドンを利用して、外来遺伝子の誘導発現を行うことができる。SD配列と開始コドン間の塩基数は、翻訳開始効率が高いといわれている8塩基になっている。
なお、翻訳のフレームを合わせた外来遺伝子のクローニングのために、3種類のNco Iリンカーを別売りしている。
さらに、ヘルパーファージを用いて、一本鎖DNAとして回収し、RV-Nプライマーを用いてシーケンシングを行えば、開始コドン側から塩基配列を読み取ることができ、翻訳フレームの確認が容易に行える。
保存
-20℃
濃度
pUC118, pUC119, pTV118N | |
0.5 μg/μl |
pUC118 BAP処理DNA | |
0.1 μg/μl |
形状
10 mM | Tris-HCl(pH8.0) |
1 mM | EDTA |
GenBankへの登録
| Entry Name | Accession No. |
pUC118 | CVU07649 | U07649 |
pUC119 | CVU07650 | U07650 |
注)GenBankに登録されているpUC118の配列は2540位がCであるが、タカラバイオで販売しているpUC118ベクターは2540位がTである。 また、GenBank登録のpUC119の配列は597位、852位、901位および2540位がCであるが、タカラバイオで販売しているベクターはこれらの位置がTである。
pUC118, pUC119, pTV118NのDNAシーケンスデータ
鎖長(Messingらの構築法により計算)
pUC118/119:3,162 bp
pTV118N:3,163 bp
品質管理データ
用途
●外来遺伝子のクローニング
●M13 Primersを用いたDNAシーケンシング
●Kilo-Sequence用Deletion Kit(製品コード 6030)を用いたキロシーケンシング
●lacプロモーターを利用した遺伝子発現
使用上の注意
pTV118Nは、lacZ領域に対するM13 IG領域の向きが、pUC118の場合とは逆向きであるのでM13 forwardプライマーを用いて一本鎖DNAをシーケンシングすることはできない。