グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)などのエピトープタグは、タンパク質の発現や精製の際に融合タグとしてよく使用されている。グルタチオントランスフェラーゼは求電子性化合物に対する細胞の防御に関与する存在量の多い酵素であり、グルタチオンに高親和性かつ特異的に結合する。この相互作用は強度と選択性が高いため、グルタチオンを結合した親和性樹脂を利用すると、GSTタグ融合タンパク質を効率的に精製することができる。GSTタグ融合タンパク質は通常の条件でグルタチオン樹脂に選択的に結合するため、全細胞抽出物から特定の目的タンパク質を迅速かつ効率的に分離することが可能である。わずか1回のクロマトグラフィーで高純度に精製することができる。
GSTは生化学的にも免疫学的にも測定可能な35 kDaのタンパク質である。GSTは上記のような特長で単に短いペプチドから構成される他の多くのエピトープタグとは異なるが、分子量が大きいため、他の小さなタグよりプロテアーゼで分解される可能性が高くなる。このため、試料の損失を最小限にするためには、分解を受けない条件で可及的速やかにGST融合タンパク質を精製する必要がある。なお、GSTは変性するとグルタチオン樹脂に対する結合活性を失うため、精製用緩衝液に塩酸グアニジンや尿素など強力な変性剤を使用することはできない。
グルタチオン樹脂
Glutathione-Superflow Resinは、親和性を利用してGSTタグ融合タンパク質を速やかに精製することができる。これらの樹脂は、支持体としてそれぞれ6%架橋アガロースを使用し、樹脂にグルタチオンが共有結合している。
Glutathione-Superflow ResinはFPLCでの用途に適している。高い流量と圧に耐え、最高15 ml/cm2/分の流量を実現する。
さらに利便性を高めたGST Purification Kit(製品コード 635619)には、バッチ法や自然流下による精製5回分の濃縮バッファーと充填済みGlutathione-Superflow Columnが同梱されている。GST Purification Kitを使用するとカラム当り最高10 mgのGSTタグ融合タンパク質を精製することができる。
内容
GST Purification Kit
(製品コード 635619)
・Glutathione-Superflow Columns
・Extraction/Loading Buffer
・Elution Buffer
・Glutathione
保存
4℃