Clontech PCR-Select Differential Screening Kitを利用すれば、サブトラクション済みライブラリー中で真に差次的に発現しているcDNAの検出を行える(1~4)。Clontech PCR-Select cDNA Subtraction Kitで発現量に差のある遺伝子をプールした後に本キットを用いれば、その発現差を簡便に確認することが可能である。
PCR-Select Differential Screeningではサブトラクション済みライブラリーに対して、テスターおよびドライバーcDNA (ssあるいはds)から直接合成したプローブ、フォワードサブトラクション済みcDNAから作製したプローブおよびリバースサブトラクション済みcDNA(2回目のサブトラクションを逆方向に行ったもの)から作製したプローブを用いてハイブリダイズを行う。差次的発現クローンはドライバーとはハイブリダイズせずにテスターのみとハイブリダイズするが、サブトラクション前のプローブでは感度が不足するために、本来の情報を検出できない。一方、サブトラクション済みプローブには差次的発現cDNAが高度に濃縮されているが、結果が偽陽性を示すことがある。本法ではサブトラクション前後の両プローブを使用することで、差次的発現遺伝子の同定を最高の効率で行うことができる(図1)。
PCR-Select Differential Screening Kitには、サブトラクション前後の両プローブ作製に必要な試薬およびコントロールが含まれている。PCR用のDNAポリメラーゼは別途用意する。ClontechではAdvantage 2 Polymerase Mix(製品コード 639201)の使用をお勧めする。
図1. Clontech PCR-Select Differential Screeningによる稀少な差次的発現cDNAの検出
SMART PCR cDNA Synthesis Kit(製品コード 634902)を用いて、γ-グロビン産生細胞株およびβ-グロビン産生細胞株からtotal RNAの予備増幅を行った。γ株由来cDNAをテスター、β株由来cDNAをドライバーに用いて、PCR-Select cDNAサブトラクションを行った。リバースサブトラクションは、テスターとドライバーを入れ替えて行った。続いてサブトラクション済みcDNAをクローン化し、無作為に選んだクローンを各ナイロンメンブレンの同一位置にプロットした。メンブレンはそれぞれ図中に示したプローブを用いてハイブリダイズした。