Tet-On® 3G 発現誘導システム(Adenovirusタイプ)

  • Tet-On 3Gによる厳密な遺伝子発現制御
  • All-in-oneベクターの採用により、簡単にテトラサイクリン誘導系を構築可能
  • シャトルベクターを介さず、直接アデノウイルスベクターへクローニング
製品コード メーカー
略称
製品名 容量 価格(税別) 特記事項 説明書、CoA
データシート
ベクター情報
参考資料 カート
Takara Code
631180

CLN

Clontech
Adeno-X™ Adenoviral System 3 (Tet-On 3G Inducible)
取寄 労働安全衛生法 安全データシート(SDS)添付 ライセンス
1 Set ¥374,000
説明書・データシート・ベクター情報
Z1180N
本製品に付属しておりますIn-Fusion HD Cloning Kit(製品コード 639648)は、2021年6月29日(火)出荷分よりIn-Fusion Snap Assembly Master Mix(製品コード 638947)に変更いたしました。In-Fusion Snap Assembly Master Mixは従来品であるIn-Fusion HD Cloning Kitのバージョンアップ品であり、実験の操作内容等に変更はございません。(2021年6月)
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製品説明

Adeno-X Adenoviral System 3 (Tet-On 3G Inducible)は、アデノウイルスベクターとテトラサイクリン発現誘導システムTet-On Systemを組合せることにより、厳密な遺伝子発現制御システムを簡単に構築できる。アデノウイルスベクターへの目的遺伝子のクローニングは、In-Fusion Snap Assembly Master Mixを使用することで通常のプラスミドと同様に行うことができ、従来のアデノウイルスベクターで必要とされていたシャトルベクターを経由する必要がない。

原理

Tet-On 3G活性化因子およびTRE3Gプロモーター(PTRE3G)でコントロール可能な目的遺伝子を含む標的細胞は、テトラサイクリンアナログであるドキシサイクリン(Doxycycline:Dox)存在下でのみ、目的遺伝子を高レベルに発現する(図1)。Tet-On 3G活性化因子はDoxが結合すると、コンフォメーション変化により、TRE3Gプロモーター内のtetオペレーター配列(tetO)に結合できる。Tet-Onシステムは転写を活性化させるため、非常に低い基底発現量と高い発現量、より迅速な反応時間を得ることができる。


図1. AdenoX- Adenoviral System3 (Tet-On 3G Inducible) はDoxycycline存在下でのみ遺伝子発現が誘導される
システムに含まれるIn-Fusion Snap Assembly Master Mixを用いて簡単にpAdenoX-Tet3G発現ベクターに目的遺伝子をクローニングできる。

簡単なシステム構築

All-in-oneベクター:Tet-On 3G 活性化因子遺伝子はあらかじめアデノウイルスのE3領域に組込まれており、CMVプロモーターにより恒常的に発現する。さらに、発現させたい目的遺伝子はIn-Fusion Snap Assembly Master Mixを使用して、厳密に制御されるTRE3GプロモーターとSV40ポリAシグナル間に位置するE1領域内へクローニングすることができる。Tet-On 3G活性化因子とTRE3Gプロモーターは充分に離れた位置にあるため、CMVプロモーターのTRE3Gプロモーターへの干渉はほとんど起こらず、非常に低い基底発現と誘導時の高い発現が実現される(図2~4)。


図2. 高タイター上清を用いたAdenoX Adenoviral System 3の高い誘導性の確認
Adeno-X Tet-On 3G LacZウイルスを感染させたHeLa細胞を上図のDox濃度で培養した。培養液を回収後、培地中のβ-ガラクトシダーゼ活性をLuminescent Beta-gal Reporter System 3(製品コード 631713)を用いて測定した。

高感度、低バックグラウンド

Tet-On 3Gシステムは2つの因子を最適化することにより、高感度かつ低バックグラウンド誘導発現が可能である。
  1. TRE3Gプロモーター塩基配列の改良により、従来のTet-On Systemよりもプロモーターからのバックグラウンド発現が非常に低く抑えられている。
  2. Tet-On 3G 活性化因子―従来の活性化因子と比較して明らかにドキシサイクリンに対する感度が向上している。
2つの因子の組合せにより、Dox誘導後の高い発現量だけではなく、Dox濃度依存的に発現レベルをコントロールすることができる(図2)。また、非誘導時と比較して約3000倍の誘導倍率を得ることも可能である(図3)。最大発現量は細胞当たりに感染させるウイルス量を増減させることにより調節できる(図4)。


図3. Adeno-X Tet-On 3Gにより、非常に高い誘導倍率を得ることができる
誘導倍率は誘導、非誘導間で3,000倍以上である。同じ量の高タイター上清を使用し、HeLa細胞にAdeno-X Tet-On 3G Luciferase Virusを感染させ、表中で示したDox濃度で培養を行った。その後、培地を回収しルシフェラーゼアッセイを行った。




図4. M.O.I上昇に伴い増大する発現量
ルシフェラーゼを発現するpAdenoX-Tet 3GアデノウイルスのM.O.Iを変化させてHeLa細胞への感染を行った。 4時間後、Doxを含むもしくは含まない新鮮な培地と置換した。細胞を回収後、ルシフェラーゼ活性測定を行ったところ、最大発現量はM.O.Iの上昇に伴い増大した。また、同様にバックグラウンドの発現量もわずかながら上昇した。

表1. Adeno-X Systemと競合製品の比較 横にスクロールできます
 Adeno-XCompetitor
クローニング所要時間2~3日8日
クローニング手順・簡単
・実働30分
・複雑
・長時間
クローニング技術In-Fusion反応大腸菌での相同組換え
シャトルベクターへの載換え必要無しシャトルベクターへの載換えが必要
ウイルスDNA量高い組換え株のため低い
大腸菌株添付のStellar competent cell2株必要
クローニング効率10個中9個は陽性クローン10個中1~3個が陽性クローン
スクリーニング方法PCRベースミニプレップ後の制限酵素処理
発現誘導Tet-On 3Gによる厳密な制御今のところできない
蛍光タンパク質を用いた観察・赤色および緑色
・明るく長持ち
・緑色のみ
・蛍光が弱い
複数断片のクローニング1回の操作で可能複数の操作が必要

究極の柔軟性 1反応で変異体や融合タンパク質を作製

In-Fusionクローニングを利用することにより、pAdeno-X Tet3Gベクターに複数のDNA断片を1回の反応で同時にクローニングすることができる。即ち、1回の操作で目的遺伝子と蛍光タンパク質またはタグとの融合タンパク質を作製したり、目的遺伝子に点変異を加えることができる(3)。まず、PCR産物を2種類用意し、それぞれの末端をpAdenoX-Tet3Gベクターと15 bp相同性を持つように設計する。もう一方の末端はそれぞれのPCR産物のもう一方の末端と15 bp相同性を持つように設計する。両断片の連結領域は融合タンパク質の連結部分もしくは点変異を導入した配列となる(図5)。

図5. In-Fusionを用いたクローニングと点変異の導入法

内容

(1)Linearized pAdenoX-Tet3G Vector DNA
(2)Adeno-X Screening Primer Mix 3
(3)Adeno-X Control Fragment
(4)In-Fusion Snap Assembly Master Mix(製品コード 638947)
(5)NucleoSpin Extract II (製品コード 740609.10)
(6)Stellar Competent Cells (製品コード 636763)
(7)NucleoBond Xtra Midi kit (製品コード 740410.10)
(8)Tet System Approved FBS, US Sourced (製品コード 631105)

保存

室温:(5)、(7)
-20℃(1)、(2)、(3)、(4)、(8)および(6)中のSOC MediumとTest plasmid
-70℃(6)中のcompetent cell
注意事項
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