製品説明
iDimerize Regulated Transcription Systemは、細胞膜透過性の低分子化合物 A/C Heterodimerizerの培地への添加により、目的遺伝子の誘導発現を非常に厳密に行うことができるARGENT技術
*を利用したシステムである。
* | ARGENT技術は、米国ARIAD Pharmaceuticals, Inc.が所有する、目的タンパク質間の相互作用をコントロールするための技術である。すでに2,000以上の研究機関で使用され、400報を超える論文が発表されている。 |
iDimerize論文紹介
システム原理
iDimerize Regulated Transcription Systemは、2種類のベクターとリガンドA/C Heterodimerizerから構成されている。pHet-Act1-2ベクターは、DmrC/transcriptional activator(DmrC/TA;DmrCドメインと転写因子活性化ドメインの融合タンパク質、図1中、黄色で示す)及びDmrA/DNA binding domain(DmrA/DB;Dmr-AドメインとDNA結合ドメインの融合タンパク質、図1中、緑色で示す)を発現する。目的遺伝子はpZFHD1-2ベクターのPZI-1 promoter下流にクローニングされる。
非誘導時には、核移行シグナル(NLS)を持つDmrA/DBとNLSを持たないDmrC/TAはそれぞれ、細胞内で核と細胞質に分かれて存在しているため、活性型転写因子は形成されず目的遺伝子の発現は誘導されない。しかし、A/C Heterodimerizer(図1、赤色で示す)を添加するとDmrA/DBとDmrC/TAが結合、二量体化し活性型転写因子を形成する。活性型転写因子はDmrA/DBが持つNLSにより核へと移行し、PZI-1 promoterに結合して目的遺伝子の発現を誘導する(図1)。
図1. iDimerize Regulated Transcription Systemの概要
A/C Heterodimerizer (AP21967)
A/C Heterodimerizerは細胞膜透過性の低分子化合物で、DmrAドメインとDmrCドメインの二量体化の誘導に用いられる。本システムにおいては、A/C Heterodimerizerの添加によりDmrA-融合DNA結合ドメインとDmrC-融合転写因子活性化ドメインの二量体化が誘導され、活性型転写因子が形成される。なお、A/C HeterodimerizerはARIAD社から提供されていたAP21967と同一の化合物である。
図2. A/C Heterodimerizer (AP21967) の化学構造式
図3. iDimerize Regulated Transcription Systemを用いたルシフェラーゼの転写調節
ホタルルシフェラーゼ遺伝子をpZFHD1-2ベクターにクローニングし、pHet-Act1-2ベクターと共にHEK293細胞へコトランスフェクトした。細胞は各濃度のA/C Heterodimerizerによって処理し、24時間後に誘導された遺伝子の発現量をルミノメーターで測定した。 RLU=Relative Light Units
図4. iDimerize Regulated Transcription Systemを用いたSEAP遺伝子の転写調節
iDimerize Regulated Transcriptionシステムを用いてHT1080細胞での分泌型アルカリフォスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子の発現を調節した。A/C Heterodimerizer非添加時は、目的遺伝子の発現は確認出来なかった。
図5. ベクターマップ
左:pHet-Act1-2ベクター、右:pZFHD1-2ベクター
内容
iDimerize Regulated Expression System(製品コード 635081)
・pHet-Act1-2 Vector
・pZFHD1-2 Vector
・pZFHD1-2 Control Vector
・A/C Heterodimerizer(製品コード 635057)
保存
-20℃
用途
・リガンド用量依存的な目的遺伝子の発現調節
・細胞死を促進する遺伝子、細胞周期を阻害する遺伝子、または他の毒性遺伝子の機能解析