ヒトや動物由来の細胞株からバイオ医薬品を製造する場合、製造中の適切なステージにおいて、製品への感染性ウイルスの混入を否定するための試験が実施されなければなりません。そのような試験は、マスターセルバンク、ワーキングセルバンク、医薬品製造のためにin vitro 細胞齢の上限で培養された細胞(CAL)、そして未精製バルク製品について要求されます。また同様の試験が、ウイルスベクターやワクチンのシードストックについても必要となります。ただし、このような生きたウイルスの存在下で混入ウイルスを検出するのは困難な場合があり、そのときはカスタムで試験を構築することが必要となります(ICH Q5A; FDA PTC 1993; Ph.Eur. 2.6.16)。 |
多くの細胞が内在性レトロウイルスやレトロウイルス様配列を含んでおり、例えばマウス細胞などでは感染性レトロウイルスが産生されることがあります。ガイドライン(ICH Q5A, FDA PTC 1993, 1997)では、通常、未精製バルクだけでなくマスターセルバンク(MCB)やCAL(医薬品製造のためにin vitro 細胞齢の上限まで培養された細胞)の段階でも感染性試験、及び電子顕微鏡試験によるレトロウイルス試験の実施を要求しています。 感染性試験は、混入が予想されるレトロウイルスに関して実施されます。エコトロピックのマウスレトロウイルスを検出するためのXCアッセイ、アンフォトロピックまたはゼノトロピックのマウスレトロウイルスを検出するためのS+L-アッセイ、エコトロピック、アンフォトロピック、ゼノトロピック、ミンク細胞フォーカス形成ウイルスの検出のためのMus dunni細胞を使用したアッセイがあります。 |