2006年4月の発売以来、皆さまに支えられ、
Dice Real Time Systemシリーズは2026年4月に20周年を迎えました。
そしてこれからも、研究の進化とともに、お客様と歩み続けます。
■自社開発リアルタイムPCR装置登場の背景
qPCRを、より身近な技術へ
― 試薬メーカーとして向き合った装置開発 ―
リアルタイムPCR装置が研究現場に普及し始めた当時、その装置は1,000万円を超える高価なシステムでした。その頃、私達タカラバイオはqPCR試薬の開発を通じて、その技術が持つ有用性と将来性を強く認識すると同時に、試薬の性能を最大限に引き出すためには装置の再現性や安定性、操作性が極めて重要であると考えていました。
そこで私達は、「試薬を開発する企業だからこそ実現できるqPCR装置を、必要としている全てのお客様にご提供したい」という熱い思いのもと、自社技術による理想のリアルタイムPCR装置の開発に着手しました。目指したのは、行き過ぎた多機能化製品ではなく、光学系や温度制御系といった基本性能を確実に実現し、日々の実験を安心して行っていただけるような堅実な装置です。
こうした思いのもと、2006年、ついに完成したのがThermal Cycler Dice Real Time Systemです。本体価格360万円。私達の思いは全てこの360万円という価格に詰まっていました。当時としては大幅な低価格化を実現しながら、測定性能や信頼性を重視した設計が評価され、結果、私達の思いは多くのお客様から好評を得ることになりました。
導入から運用までを支えるという考え方
― トータルサポートと、20年間変わらない思い ―
私達は、単に装置を提供するだけでなく、「試薬と装置のトータルサポート」 を重要な価値と位置づけ、合言葉にしてきました。それは、PCR装置を国内で初めて販売して以降、今日に至るまでずっとPCRと寄り添ってきた私達だからこそ実現できるサービスであり、PCR試薬メーカーのディファクトリーダーである私達の使命であると考えていたからです。
こうした背景のもと、私達は、自社で培ってきたqPCR試薬開発の知見と装置性能を組み合わせることで、装置導入前の検討から、測定系の立ち上げ、日常の運用に至るまで、一貫したサポートの提供を実現してきました。
Thermal Cycler Dice Real Time Systemは、その後も改良と進化を重ね、世代を超えて受け継がれています。市場環境や求められるものが変化し、それに合わせて装置の仕様が変化しても、「測定の確かさ」「再現性へのこだわり」「試薬性能を正しく引き出すこと」 という基本方針とqPCRに込める思いは揺らぐことなく一貫しています。
この20年の歩みは、タカラバイオがqPCRという技術に真摯に向き合い、研究現場に寄り添いながら積み重ねてきた取り組みの歴史そのものなのです。
■Thermal Cycler Dice Real Time System 20年の歩み
Thermal Cycler Dice Real Time Systemは、2006年の初代機発売以来、qPCRを現場で安心して使える技術として支え続けてきました。ここでは、各世代の装置開発コンセプトとともに、その進化の歩みをご紹介します。
Thermal Cycler Dice Real Time System(2006年4月発売)
記念すべきタカラバイオ製初代リアルタイムPCR装置です。2種類の蛍光フィルター(FAM、ROX)を標準装備しており、光学系や温度制御系といった装置の基本性能を確実に作り込むことで、日常的な実験において安心してご使用いただける測定環境を実現しました。当時としては低価格である360万円で発売され、リアルタイムPCRの普及に大きく貢献しました。
Thermal Cycler Dice Real Time System Single(2008年1月発売)
TB Greenなどのインターカレーター検出/FAM標識プローブ検出に特化した1波長モデルとして、よりお求めやすい価格で発売されたリアルタイムPCR装置です。マルチプレックス解析を必要としない遺伝子発現解析用途に最適であり、シンプルな実験系において高い評価を得ました。
Thermal Cycler Dice Real Time System II(2010年7月発売)
2種類の蛍光フィルター(FAM、ROX)を標準装備し、新たに熱伝導率の高い銅ブロックを採用することで、温度均一性の向上を図ったモデルです。基本光学系を踏襲しつつ反応性能の向上を実現し、遺伝子発現解析から検査用途まで幅広く対応可能なリアルタイムPCR装置として、多くの研究現場で評価されてきたモデルです。
Thermal Cycler Dice Real Time System Lite(2012年6月発売)
2種類の蛍光フィルター(FAM、ROX)を標準装備し、光源にはシリーズで初めて長寿命のLEDを採用することで、安定した蛍光検出とメンテナンス性の向上を実現しました。48ウェルのコンパクト設計とシンプルな操作性により、遺伝子発現解析や検査用途まで幅広く対応可能で、低価格なリアルタイムPCR装置として多くの研究現場で評価されてきたモデルです。
Thermal Cycler Dice Real Time System III(2015年9月発売)
2種類の蛍光フィルター(FAM、ROX)を標準装備し、LED光源を採用することで安定した蛍光検出と高いメンテナンス性を実現しました。本体のみでスタンドアロン操作が可能で、高速化と反応・検出の高い均一性を両立した96ウェル仕様のリアルタイムPCR装置です。幅広い用途に対応する高性能モデルとして完成度を高めました。
Thermal Cycler Dice Real Time System IV(2022年12月発売)
4種類の蛍光フィルター(FAM、HEX、ROX、Cy5)を標準装備し、LED光源を継承したシリーズの最新モデルです。マルチプレックス解析を含む幅広いアプリケーションに対応しています。本体のみでスタンドアロン操作が可能な、96ウェル仕様のシリーズ最上位モデルです。温度制御の高速化により、従来モデルと比べて反応時間の短縮を実現しました。