製品説明
本製品は、polyA+ RNAからリンカープライマー法1)により作製したプラスミドDNA型cDNAライブラリーである。制限酵素 Not I 認識部位を有するoligo(dT)18リンカープライマーとBamH I(Bgl II)-Sma Iアダプターを用いて、unidirectional cloningしている。クローニングの前にサイズ分画を行い、約300 bp以下の断片をある程度除去している。ライブラリーは、プレート培養法により1度だけ増幅した菌体(>1.0×107 cfu/ml)からプラスミド抽出キットを使用して調製している。
クローニングベクター
cDNAライブラリーに使用しているベクター pAP3
neo は、SV40プロモーターを有し、哺乳動物細胞で発現可能である。また、ssDNA生成に必要なf1
ori、
in vitro RNA合成のためのT7およびT3 RNAポリメラーゼプロモーターを含んでいる(図1)。
GenBank Accession No. AB003468
図1 pAP3neoの構造 クローニングサイト
1. Insert cDNAは、pAP3neoのBgl II */ Not Iサイトにクローニングしている。
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Adaptor, BamH I(Bgl II)-Sma Iを用いてクローニングしているため、クローニング後のBgl IIサイトは潰れている。 |
2. Xba Iサイトはdam methylaseの影響を受けている。
用途
新規あるいは既知のcDNAのPCRによるスクリーニング
製品内容
容量:5 μg
形状:10 mM Tris-HCl(pH8.0), 1 mM EDTA
濃度:200 μg/ml
ライブラリー作製法
ラット各種臓器由来のpolyA
+ RNAよりリンカープライマー法
1)を利用して以下の手順で各cDNAライブラリーを作製している(図2)。制限酵素
Not I認識部位を有するoligo(dT)
18リンカープライマーと
BamH I(
Bgl II)-
Sma Iアダプターを用いてunidirectional cloningしているが、制限酵素
Not I処理からcDNAを保護するため、逆転写酵素(RAV-2由来)による第一鎖cDNA合成時に5-methyl dCTPを取り込ませている。第二鎖cDNA合成、末端平滑化の後、アダプターを付加し、制限酵素
Not Iで切断している。遊離のアダプターと短いcDNA断片は、クローニングの前のサイズ分画によりある程度除去している。サイズ分画されたcDNAは
Not Iサイト側のみリン酸化されており、一方、ベクターは、制限酵素
Not Iで切断した後、脱リン酸化処理を行い、制限酵素
Bgl IIで切断しているので、ベクターは
Bgl IIサイトのみリン酸化されていることになる。これにより、cDNAとベクターとのライゲーションの際に、複数のcDNAがベクターに挿入されたり、ベクター 同士が連結する可能性を低減させている。cDNAとベクターを連結した後、XL1-Blue MRF′を宿主としてエレクトロポレーション法により形質転換を行うことによりcDNAライブラリーを作製している。作製したライブラリーは、液体培養法ではなく、プレート培養法により一度だけ増幅しているため、プライマリーライブラリーのポピュレーションがほぼ保たれている。プラスミド型cDNAライブラリーは、一度だけ増幅した菌体からプラスミドDNAを抽出精製して調製している。
図2 cDNAライブラリー作製法1)