製品説明
NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Midi/Maxiは、大容量のPCR反応液、アガロースゲルからのDNA断片精製に利用できるキットである。Midiでは4 mlまでのPCR反応液、4 gまでのアガロースゲル、Maxiでは10 mlまでのPCR反応液、10 gまでのアガロースゲルを処理できる。本製品では、Binding Buffer NTIにより、PCR反応液とアガロースゲルからのDNA断片精製に対応できる。このBufferにはpH indicatorが含まれており、サンプルと混合した溶液の色により、その溶液のpHがDNAのカラム結合に適しているかどうかを容易に確認できる。
PCR反応液などの酵素反応液からのDNA精製では、酵素、ヌクレオチド、塩類、その他不純物を迅速、簡単に除くことができる。
PCR産物の精製はPCR反応液にBuffer NTIを加え、アガロースゲルからのDNA抽出では、ゲルをBuffer NTI中で溶解させる。その後、溶液の色を確認して、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Midi/Maxiカラムへアプライする。エタノールを添加したBuffer NT3でカラムを洗浄し、不純物をカラムから除去した後、精製DNAはElution Buffer NE(5 mM Tris-HCl、pH8.5)で抽出される。
原理 | シリカメンブレン法 |
形状 | Midiスピンカラム | Maxiスピンカラム |
サンプル量 |
<4 ml PCR反応液 <4 g TAE/TBEアガロースゲル |
<10 ml PCR反応液 <10 g TAE/TBEアガロースゲル |
精製サイズ | 50 bp~20 kb |
回収率 | 70~95% |
A260/280 | 1.75~1.85 |
溶出液量 |
200~400 μl |
1000 μl |
精製時間 |
25分 |
30分 |
結合容量 |
75 μg |
250 μg |
pH indicator
PCR反応液またはゲルとBinding Buffer NTIを混合した溶液において、カラム結合のための至適pHは5~6である。Binding Buffer NTIにはpH indicatorが含まれているため、溶液の色によって至適pHかどうかをチェックできる。至適pHでない場合、Buffer NTIまたは4M 酢酸ナトリウム(NaAc、pH5.0)または少量HClを溶液が黄色になるまで加える。
yellow, pH<6 | green, pH<6~7 | blue, pH>7 |
サンプルのpHが至適 | サンプルのpHが少し高い →pH調整が必要 | サンプルのpHが高い →pH調整が必要 |
図1.PCR反応液中のプライマー除去
252 bp, 164 bp, 100 bp と 65 bpのPCR増幅DNAにプライマーを添加した後、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Midiで精製した。400 μl Elution Bufferで溶出した。精製前(1レーン)と精製後(2レーン)のサンプルを2%アガロースゲル電気泳動した。NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Midiで精製することにより、プライマーが除去できていることがわかる。
図2.アガロースゲルからの精製
2種類のインサートDNA(645 bp, 982 bp)をクローニングしたpGEM T Easyベクター(レーン1、5)をEcoR Iで切断後、電気泳動した(レーン2, 6)。各インサート(レーン3、7)とベクター(レーン4、8)のDNAを、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Midiを使用してゲルから精製した。ゲルからの切り出しにより、インサートとベクターを分離できていることがわかる。
内容
・Binding Buffer NTI
・Wash Buffer NT3 (Concentrate)
・Elution Buffer NE*
・NucleoSpin PCR and Gel Clean-up Midi Columns
またはNucleoSpin PCR and Gel Clean-up Maxi Columns
* 組成:5 mM Tris-HCl、pH8.5
本製品以外に必要な試薬、機器(主なもの)
試薬
・96~100%エタノール
器具
・15 ml 遠心チューブ(Midiの場合)、または50 ml 遠心チューブ(Maxiの場合)
・ピペットチップ(滅菌済)
・ピペット
・高速遠心器
・ヒートブロック
保存
室温
操作手順
用途
- PCR産物の精製
- アガロースゲルからのDNA抽出
- アガロースゲルからのRNA抽出:別途 Buffer NTC(製品コード 740654.100)が必要
- SDS含有サンプルのクリーンアップ:別途 Buffer NTB(製品コード 740595.150)が必要
- 150 bases以下のssDNAのクリーンアップ:別途 Buffer NTC(製品コード 740654.100)が必要
- 精製DNAはクローニング、シーケンス、PCR、制限酵素処理などに利用可能
NucleoSpinはマッハライ・ナーゲル社の登録商標です。