SMART-Seq Total RNA High Input (RiboGone Mammalian) は、100 ng~1 μgのヒト、マウス、ラットのtotal RNAからインデックスを付加したイルミナ社次世代シーケンサー対応のライブラリーを調製するキットです。
RiboGone技術とSMART技術を組み合わせた一連の操作により、約5時間でリボソームRNA(rRNA)除去とstrand-specific RNA-Seqライブラリーの調製を行うことができます。
RiboGone技術により、ライブラリー調製前にtotal RNAの90%近くを占めているrRNAを効果的に除去することで、シーケンスコストを下げ、マッピングの精度(mapping statistics)を上げることができます。連続したSMART技術によって、方向性情報を維持しながら、逆転写反応、PCR増幅と同時にインデックス配列を付加することができ、コーディングRNAとノンコーディングRNAの両方の分析が可能なライブラリーを調製できます。
別売りのUnique Dual Index Kit(製品コード 634752~634756)と組み合わせることにより、最大384サンプルのマルチプレックス解析に対応可能です。
※以下のデータはSMART-Seq Total RNA High Input (RiboGone Mammalian)と同じ原理・性能のSMARTer Stranded Total RNA Sample Prep Kit - HI Mammalian(製品コード 634873~634878)で得たものを示しています。
図1. SMART-Seq Total RNA High Input (RiboGone Mammalian)を用いたライブラリー調製の概要
A:RiboGone技術によりtotal RNAからrRNAを除去
B:SMART技術により両末端に付加配列を持つ1st-strand cDNAを合成
C:PCRにより5'-、3'-両末端にIlluminaインデックス配列を持つRNA-Seqライブラリーを調製
表1.RIN値が異なるRNAから調製したライブラリーの評価
化学的にRIN 3またはRIN 7まで剪断したマウス肝臓RNAから本キットを用いてライブラリーを調製し、マッピングを行った。RNAの品質にかかわらず、高品質なライブラリー調製が可能であることが示された。
図2.テクニカルレプリケート間の再現性
100 ngのHuman Universal Reference RNA(HURR;Agilent)2サンプルよりRNA-Seqライブラリーを調製し、各ライブラリーのFPKMs(Fragments Per Kilobase Of Exon Per Million Fragments Mapped)の相関性を調べた。
両者間で高い相関を示し、テクニカルレプリケート間での再現性があることがわかった。
図3.RINが異なるRNA間の相関性テスト
化学的にRIN値3または7まで剪断したマウス肝臓RNA各1 μgからライブラリーを調製し、各ライブラリーのFPKMsの相関性を調べた。
RIN値が異なるサンプル間でも高い相関性を示した。
図4.RNA-seqデータとMAQCデータの相関性
SMARTer Stranded Total RNA Sample Prep Kit - HI Mammalian(製品コード 634873)を用いて各400 ngのHuman Universal Reference RNA(HURR)、およびHuman Brain Reference RNA(HBRR)からライブラリーを調製し、同じreference RNAを使用したMAQC(MicroArray Quality Control)qPCRデータとの相関性を調べた。
両者間で高い相関性を示した。
図5.RNA-Seqデータのダイナミックレンジと直線性
Human Brain Reference RNA(HBRR)にERCC Spike-In RNA MIX2を添加してライブラリーを調製した。
ERCC濃度と発現解析結果(FPKM)は高い相関性を示した。