In-Fusion® HD Cloning Plus

In-Fusion® PCR クローニングについて

In-Fusion Snapシリーズが発売されました。是非ご利用ください。

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Q1 In-Fusion酵素はどのような働きをしているのか?
A1 In-Fusion酵素は、ベクターとインサートの末端に設定する相同な配列(15塩基)間を融合させるという、一般的な相同組換えとは異なる特徴的なIn-Fusion反応を媒体します。
Q2 インサートとベクターの末端の相同な配列(15塩基)はどのように設定するのか?
A2 利用するベクターの末端配列15塩基分を、インサート増幅用PCRプライマーの5’末端に付加します。付加する15塩基の設計は、使用する線状化ベクターの末端形状(5’突出、3’突出、平滑末端)ごとに異なりますので、下図にてご確認ください。
また、In-Fusionクローニング用プライマーの設計には、便利なオンラインサポートツールをご利用いただけます。

Q3 ベクターやインサート断片の末端形状に制限はあるか?
A3 線状化DNAであれば特に制限はありません。平滑末端、突出末端(A の一塩基オーバーハングを含む)のどちらでも使用できます。ただし、環状化プラスミドのままでは使用できません。
Q4 複数のインサートを1回で反応できるか?
A4 はい、反応できます。In-Fusion HD Cloning Kitを用いて、3または4個のインサートのクローニングを効率よく行なった実施例があります。
複数フラグメントの同時クローニング
Q5 In-Fusion反応前にベクターやインサート断片の精製は必要か?
A5 インサートのPCR産物がシングルバンドで増幅されていれば、クローニングエンハンサー処理(※一部製品に添付)を行いIn-Fusion反応に進んでいただけます。PCRで複数の増幅産物が見られる場合には、目的バンドをゲル精製する必要があります。アガロースゲルからのDNA精製には、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up (※一部製品に添付)をお勧めします。
ベクターは制限酵素で切断して線状化した場合は、NucleoSpinなどで精製されることをお勧めします。制限酵素で切断して調製したベクターは、クローニングエンハンサー処理は行わないでください。
ベクターをPCRで調製した場合は、クローニングエンハンサー処理を行い、In-Fusion反応行うことが可能です。ベクターもインサートもPCRで調製を行い、シングルバンドで増幅されている場合は、クローニングエンハンサー処理とIn-Fusion反応を1本のチューブで同時に続けて行うことができるので、迅速に反応を行うことが可能です。
Q6 In-Fusion反応後のDNAを鋳型に用いてPCRを行えるか?
A6 反応後のDNAを、直ちにPCRの鋳型に用いることはできません。必ず大腸菌内で一度増幅し、ベクターとインサートDNAを正しく結合する必要があります。
Q7 Cloning Enhancerは何のために使うのか?
A7 インサートに使うPCR産物がシングルバンドの場合、そのままIn-Fusionクローニング反応に用いるための前処理に使用します。
この処理により、PCRに使用したプライマーや鋳型プラスミド、dNTPの影響を受けず、In-Fusion酵素が最大のパフォーマンスを示すことができます。カラム精製によるサンプルロスがなくなるので、少量のサンプルでも効率よくクローニング可能です。
Q8 ベクターやインサート断片のサイズに制限はあるか?
A8 大きい場合には特に制限はありません。インサート断片が10 kbを超えるような場合でも使用例があります。In-Fusion HD Cloning Kitでは、12 kbや15 kbの長鎖フラグメントも、高効率でクローニングした実施例があります。
長鎖フラグメントのクローニング
小さな断片の場合は、In-Fusion HD Cloning Kitを用いた場合は、50 bp以上のPCR増幅断片であれば反応可能です。
Q9 専用の大腸菌やプラスミドが必要か?
A9 標準的なクローニング用の大腸菌やプラスミドをお使いいただけます。大腸菌の種類により形質転換効率が若干異なりますのでStellar Competent Cells(製品コード 636763など)または、E. coli HST08 Premium Competent Cells(製品コード 9128)のご使用をお勧めします。
Q10 エレクトロポレーションで導入できるか?
A10 In-Fusion反応後、エタノール沈殿による精製を行えばエレクトロポレーションで大腸菌に形質転換していただけます。
Q11 インサートDNAのPCR増幅には、どのPCR酵素を使えばよいか?
A11 きわめて正確性の高いPCR酵素のPrimeSTARシリーズとの組み合わせを特にお勧めします。PCRによる増幅エラーがごくわずかで、確実なクローニングが可能です。また、その他のPCR酵素もご使用いただけます。
Q12 プライマーに付加する配列は15塩基に限るか?
A12 12塩基以下、または21塩基以上の相同な配列を用いた場合は、効率が顕著に低下することを確認しています。プライマーに付加する配列は15塩基(複数のインサートをクローニングする場合は20塩基)を推奨します。
Q13 線状化したベクター末端の脱リン酸化は必要か?
A13 DNA5’末端のリン酸基の有無はIn-Fusion反応の効率に影響しないので、ベクターの脱リン酸化は不要です。
Q14 In-Fusion製品のラインナップは?
A14 In-Fusionシリーズには、5×プレミックス試薬タイプとマイクロチューブに分注済みの凍結乾燥タイプ(EcoDry)があります。
また、基本キット、Cloning Enhancerおよびコンピテントセルとのセットもあります。
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製品名キット付属品製品コード容量
Cloning EnhancerSteller Competent Cell
In-Fusion Snap Assembly Master Mix63894950回
In-Fusion HD Cloning Kit639650100回
In-Fusion HD Cloning Kit w/Cloning Enhancer639635100回
In-Fusion HD Cloning Kit w/Competent Cells639644100回
In-Fusion Snap Assembly EcoDry Master Mix63895696回
In-Fusion HD EcoDry Cloning Kit63969196回


In-Fusion関連製品
Cloning Enhancer
PCR産物がシングルバンドの場合に増幅産物をそのままIn-Fusion反応に用いるための前処理試薬。この処理により、PCRに使用したプライマーや鋳型プラスミド、dNTPの影響を受けず、In-Fusion酵素が最大のパフォーマンスを示すことができる。


NucleoSpin Gel and PCR Clean-up
PCR産物が複数バンドの場合にゲル精製を行うスピンカラム


Stellar Competent Cells
高い形質転換能を持つコンピテントセル。長鎖プラスミドDNAの形質転換においても高い効率が得られ、同様の遺伝子型を持つ他のコンピテントセルと比較してコロニー形成速度が速い。pUC系プラスミドでの形質転換の際には、β-ガラクトシダーゼのα-相補性を利用し、X-Gal添加による組換え体の青/白選別を行うことができる。
Q15 In-Fusion酵素の取扱い注意点は?
A15 In-Fusion反応液に過剰な塩類を持ち込むと効率が低下することがあります。クローニングエンハンサー処理したDNAフラグメントをIn-Fusion反応液に持ち込む場合は、4 μl以下にしてください。また、EcoDryシリーズなどの凍結乾燥タイプは室温保存できますが、吸湿を防ぐために必ずデシケーターなど乾燥した場所で保管してください。
Q16 In-Fusionの使用にはライセンスの取得が必要か?
A16 営利施設でのご使用に際しても、研究目的であれば別途にライセンスを取得する必要はありません。多くの企業の研究者の皆さまにもご愛用いただいております。
Q17 In-Fusion Snap Assemblyになって向上した点は?
A17 In-Fusion Snap Assemblyは、In-Fusion HD Cloningと同じ簡単プロトコールでありながら、一挙に複数DNA断片を挿入するマルチクローニングの効率が向上しました。

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