Viable Legionella Selection Kit for PCR Ver.2.0

操作方法

Viable Legionella Selection Kit for PCR Ver.2.0(製品コード 7714)

実験にあたっては、手袋、マスク、防護眼鏡を使用し、安全キャビネットあるいはクリーンベンチ内で操作する。
A. サンプル調製
下記は、「第4版レジオネラ症防止指針」に記載された「ろ過濃縮法」に沿ったサンプル調製の一例である。
なお、リアルタイムPCRによる検出は、非常に高感度である。実験環境や使用器具の汚染には極力注意を払い、コンタミネーション防止を心がけること。  例)
・可能な限り、使い捨て器具を使用する(採水容器やフィルターホルダーなど)。
・使い捨てにできないものは、洗浄後、乾熱滅菌処理を施す(ピンセットなど)。
・マイクロピペットは用途別に準備する(本キットを用いた検体前処理及びDNA抽出用とリアルタイムPCR試薬調製用を分ける)。

【試料の濃縮】
  1. フィルターホルダー(47 mmフィルター用)に、メンブランフィルター(直径47 mm、孔径0.22 μmまたは0.45 μm)をセットする。
  2. 試料水500 mlをメンブランフィルターで吸引濾過する。
  3. 吸引終了後、フィルターを滅菌ピンセットではがし、50 ml滅菌コニカルチューブに入れる。
  4. チューブに滅菌精製水5 mlを加え、ボルテックスミキサーで1分間混和する。
  5. 混和液2 mlを2 ml用マイクロチューブにとる。
  6. 13,000~15,000 rpmで4℃、5分間遠心分離後、上清(950 μl×2)を穏やかにマイクロピペットで吸い取って除去し、残渣液100 μlを残す。
  7. 残渣液100 μlのうち、40 μlを「B. サンプルの前処理(EMA処理)」に使用する。
    残りは氷上もしくは4℃で保存し、[残渣液 40 μl]を比較のための「前処理なしサンプル」として、「B. サンプルの前処理(EMA処理)」-7. の加熱殺菌の操作を行った後、「C. DNA 抽出」に使用する。
B. サンプルの前処理(EMA処理)
下記に示す標準的なEMA 処理条件、あるいは実験の進め方について【参考情報】に従って決定したEMA処理条件により、サンプルのEMA処理を行う。
光照射装置 [ LED Crosslinker 12(製品コード EM200)、LED Crosslinker ] を使用する場合*1
  1. Solution B-leg (EP2) をDilution Bufferで2倍に希釈する。(用時調製)
  2. 1.5 mlチューブに調製したサンプル40 μlを準備する。
  3. Solution A-leg(EP2) 10 μlを添加する。
  4. 1. で希釈したSolution B-leg (EP2) 5 μlを添加し、混合*2後、軽くスピンダウンする。
  5. 遮光して室温で15分間静置する。
  6. 光照射装置にセットし、15分間光照射する。*3
  7. サンプルをスピンダウンし、95℃、2分間ヒートブロックで加熱する。[加熱殺菌]

*1 光照射装置がない場合は、LEDランプ[Panasonic、EVERLEDS(エバーレッズ)LED 電球6.9 W(昼光色相当)、LDA7DA1]を用いて、氷上にチューブを横置きし、照射距離2 cmで上部から照射する。この方法で同等の結果が得られることを確認している。

*2 短時間の緩やかなボルテックスもしくは数回のタッピングで混合する。

*3 EMA処理を複数回行う場合は、4.~6. の工程を繰り返して行う。その場合、各回の処理で5分間光照射を行い、最後の回のみ15分間光照射を行う。

<ご参考>
ハロゲンランプ[岩崎電気株式会社、写真証明用アイランプ スポット(集光形)、PRS500W]を使用する場合は、氷上にチューブを横置きし、照射距離20 cmで上部から照射する。
ただし、6. の光照射は5分で行う。

C. DNA 抽出
DNA抽出法には、NucleoSpin Tissue XSによるカラム精製法とLysis Buffer for Legionellaによる簡易抽出法の2種類の方法がある。簡易抽出法は、操作が簡便で抽出効率も高いことから、塩素消毒が施された循環式浴槽の検体など汚染の少ない検体に適している。また、泉質によるPCR反応阻害が予想される検体にはカラム精製法が適している。
NucleoSpin Tissue XSを用いた方法(カラム精製法)
  1. B-7. で加熱殺菌を終えたサンプル全量(55~65 μl)に、それぞれBuffer T1を160 μl加える。軽く混合して、スピンダウンする。
  2. さらにProteinase K*1を16 μl加える。ボルテックスにて混合(5秒×2)して、スピンダウンする。
  3. 56℃ 10分間インキュベートする。
  4. スピンダウンしたサンプルにBuffer B3を160 μl加える。ボルテックスにて混合(5秒×2)して、スピンダウンする。
  5. 70℃ 5分間インキュベートし、ボルテックスする。
  6. 各サンプルが室温に戻ったことを確認して、スピンダウンしたサンプルにエタノール(96~100%)を160 μl加え、ボルテックスにて混合(5秒×2)して、軽くスピンダウンする。
  7. NucleoSpin Tissue XS ColumnをCollection Tube(2 ml)にセットする。
  8. 6. の溶液をカラムに添加し、11,000×g、1分間遠心する。
  9. カラムを新しいCollection Tube(2 ml)にセットする。
  10. カラムにBuffer B5*2を50 μl添加し、11,000×g、1分間遠心する。ろ液を捨てた後、同じCollection Tubeにカラムをセットする。
  11. カラムにBuffer B5*2を50 μl添加し、11,000×g、2分間遠心する。カラム上に液が残っていないことを確認する。
  12. カラムを1.5 mlマイクロチューブにセットする。
  13. カラムにBuffer BEを25 μl添加し、11,000×g、1分間遠心し、DNA溶液を回収する。(溶出1回目)
  14. 再度、13. の操作を行う。(溶出2回目)
  15. 得られたDNA溶液の液量がおおよそ50 μlであることを確認する。

*1 Proteinase K(製品コード 740901.50(50回用))の場合:Proteinase K(凍結乾燥品)20 mg(1 vial)に、Proteinase Buffer 1 mlを加え溶解する。溶解後のProteinase K溶液は-20℃で保存する。

*2 Buffer B5 Wash Buffer B5(concentrate)2 mlあたり、8 mlのエタノールを加える。


Lysis Buffer for Legionellaを用いた方法(簡易抽出法)
製品の説明書に従って操作すること。
(1)B-7. で加熱殺菌を終えたサンプル全量(55~65 μl)を15,000 rpm(最高速度)、4℃で5分遠心し、上清を除去する。
(2)(1)の沈殿物にLysis Buffer for Legionella 50 μlを添加し、ボルテックスで軽く混合した後、スピンダウンする。
(3)95℃で10分インキュベートする。
(4)ボルテックスで軽く混合した後、15,000 rpm(最高速度)、4℃で10分間遠心する。
(5)氷上で5分間静置する。
(6)上清25 μlをDNA溶液として回収する。
D. リアルタイムPCRによるターゲット遺伝子の検出
C-14. または(6)で調製したEMA処理あり及びEMA処理なしのDNA溶液を用いてCycleavePCR Legionella (16S rRNA) Detection KitによるリアルタイムPCRを行う。

CycleavePCR Legionella (16S rRNA) Detection Kitの説明書の「VIII.操作」の「VIII-1-2. 反応液の調製と反応開始」から、操作を行う。

E. EMA 処理効率の確認
EMA処理ありサンプルについては、Control Test Kit (Viable Bacteria Selection) を用いて、本キットの試薬中に含まれる反応確認用プラスミドDNAが、EMA処理操作後、qPCRで検出されないことを確認することにより、本キットによるEMA処理操作が正しく行われたことを確認することができる。

Control Test Kit (Viable Bacteria Selection) の説明書に従って操作すること。

  Viable Legionella Selection Kit for PCR Ver.2.0