Cellartis® human iPS cell line

【ユーザー様実施例】 ヒトiPS細胞のテラトーマ形成を抑える研究

自治医科大学 幹細胞制御研究部 准教授 菊池次郎先生

Cellartis DEF-CS 500 Culture System(製品コード Y30010)Cellartis iPS細胞株(製品コード Y00305)のユーザー様である自治医科大学 幹細胞制御研究部 菊池次郎先生らによる本製品を用いたiPS細胞のテラトーマ形成を抑える研究成果が、Oncotargetに掲載されました。
【論文名】
Lysine-specific demethylase 1 inhibitors prevent teratoma development from human induced pluripotent stem cells.
Osada N, Kikuchi J, Umehara T, Sato S, Urabe M, Abe T, Hayashi N, Sugitani M, Hanazono Y, and Furukawa Y. (2018) Oncotarget. 9, 6450-6462.
菊池先生よりご研究の内容や本製品についてのご感想をいただきましたので、是非ご覧ください。

■研究内容と結果

iPS細胞やES細胞など多能性幹細胞を用いた再生医療は、難治性疾患に対する画期的治療法として期待されています。しかしながら、臨床応用に向けて、移植した細胞に含まれる未分化な細胞を起源とする腫瘍(テラトーマ)の形成が、安全性の点で解決すべき大きな課題として残されていました。
私たちは、iPS細胞とiPS細胞から形成したテラトーマとの間で、エピゲノム制御に関わる分子の発現を網羅的に解析、テラトーマ形成に伴いリジン特異的脱メチル化酵素(LSD1)が強発現することを発見しました。そこで、iPS細胞を移植したマウスにLSD1阻害剤を投与の結果、テラトーマ形成を抑制できることを明らかにしました。

図1. LSD1阻害剤によるテラトーマ形成の抑制効果       
レンチウィルスにてルシフェラーゼ遺伝子を導入したChiPSC18細胞株から、シングルセルクローニングによりルシフェラーゼ遺伝子を持つChiPSC18細胞亜株を樹立、これを免疫不全マウスに移植し、LSD1阻害剤投与群と溶媒(コントロール)投与群の間で、テラトーマ形成能を比較した。LSD1阻害剤投与群ではコントロール群に比べて有意にルシフェラーゼ活性が低く、テラトーマ形成が抑制された。
Oncotarget. 2018; 9:6450-6462. より引用)
http://www.oncotarget.com/index.php?journal=oncotarget&page=article&op=view&path[]=24030&path[]=75555

■インタビュー

質問1. Cellartis DEF-CS 500 Culture Systemを使ってみようと思ったきっかけは何ですか?
タカラバイオの営業担当者の紹介で、細胞の維持が容易で初心者にも扱い易いことがわかったため。遺伝子導入亜株樹立のためのシングルセルクローニングも容易なため。
質問2. 実際に使ってみた感想はいかがでしたか?
維持培養がHEK293などの付着系細胞株と同様なため、iPS細胞にも関わらず培養が容易だった。初心者にも安心して培養を任せられた。シングルセルクローニングからの亜株樹立も付着系細胞と同等あるいはそれ以上の効率で可能だった。就職活動中の修士課程大学院生が3つの亜株の樹立に成功した。
質問3. まだ使われたことがない方に対して、一言お願いします。
iPS細胞の培養経験の乏しい方でも安心して維持培養が可能です。フィーダーも必要なく安定しており、シングルセルクローニングの効率も高いので、培地購入のコストも相殺されると思います。
- ご協力有難うございました -

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